糀の甘酒
こたつの甘酒
子どもの頃、祖母がこたつで作ったという甘酒を飲んだことがある。こたつと言われて、狭く薄赤い空間に、父や弟の靴下と並ぶお鍋を想像して引いた。掃除をあまりしない家だったから、本当に引いた。砂糖を使ってないのよ、すごいでしょと誰かに言われたけれど、酒粕の甘酒が好きで砂糖に慣れた子どもの舌に、発酵の繊細な甘味は単に薄かったし、粒々の食感が馴染まなかった。今おもうと、あれは未完。充分発酵した甘酒はこってり甘いから。
炊飯器の甘酒
大人になって、糀の甘酒は体に良いとテレビで特集していたのをみた。少食で色々弱い子どもたちに効果があればと、紹介されていたように炊飯器でお粥を炊いて水を足して糀を混ぜて布巾をかけてフタを閉めずに放置した。とんでもなく甘くて私が虜になった。炊飯器はご飯を炊くのに使うので、甘酒メーカーを買って炊飯器は甘酒から釈放した。
甘酒メーカーの甘酒
うちの甘酒メーカーの仕様では、お粥ではなく普通に炊いたご飯を使う。余り物で良いのだ。少し硬くなってきていても、ちゃんと美味しい甘酒になった。
ところで、実家が数年前の新米を余らせて困っていた。もったいなくて捨てられないというので、全部もらってきた。普通に炊いたら、昔の土間の納屋の匂いがして、ぽろぽろのぱらぱらで酸っぱかった。でも、糀を混ぜて発酵させたら、ちゃんと美味しい甘酒になった。数年前の新米はまだ使いきれない。1合ずつ炊いて甘酒にしている。