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誰に嫌われたいですか?―C.U.R.【Round4】

Corporate Identity Wording Project“Change Up Re”。
Round4の今回は、いよいよ本編であるミッションの考察に入る。その前に課せられた“ある質問”にメンバーは頭を悩ましていた。

重なる部分が少ない。

 セッションに入る前、前回の振り返りを行った。前回――「伝説の仕事」、「メモリアルワーク」、そして、経営者インタビューの回だ。
 その内容をパラドックスが分析するとこういう言葉が出てきた。「経営者の思いと仕事の現状で、重なる部分が非常に少ない」
 他社でも多かれこういう傾向は見られるが、当社の場合は極端に少ないことが現実としてある。社長と現場社員の「手段」の違いはあるが、経営者の思いと現実との“差分”をどう埋めていくのかが今回集まっている管理者や次世代社員に課せられた使命とも言える。
 その差分を埋めるために動きつつも、管理者側が制度なり、労働環境を整えていく必要性もある。
『理念実現を追い求めると現実とのジレンマも発生する。経営者、現場社員双方がすり合わせたり、折り合いをつけながら、いかにして理念実現に向けて取り組むかが大事です』
 この言葉を受け、今回のセッションがスタートした。

D'où venons-nous ? Que sommes-nous ? Où allons-nous ?

 いよいよ『ミッション』についての考察がスタートする。メンバーの中にはこれまでのセッションを受けた感想として「いつも使わない思考で頭が疲れた」と言っていたが、実はここからが“本番”なのである。
 ところで『ミッション』とはなにか?

《ミッション》           《ミッションワード》
■なんのためにやるのか? 大目的 → 見たままではない
■結局、何を売っているのか? → 強弱ではない違いを作る
■利益よりも優先すること → 人間の本性に根ざしている

 つまり、『ミッション』とは私たちの使命であり、存在意義。それも独りよがりではなく、“真のお客様が求めていること”にプラス、自分たちが提供できる価値・強みから導き出されるものでなければならない。
 ポール・ゴーギャンの作品に『D'où venons-nous ? Que sommes-nous ? Où allons-nous ?』(邦題:『われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか』)がある。まさにその心理と同じなのである。

D'où venons-nous ? Que sommes-nous ? Où allons-nous ?(Paul Gauguin)
【ミッションの考え方と関係性】

 他社事例などの説明があり、いよいよ今回のセッションとして「あぷりが“あえてやらないことはなにか?”」ということについて、ポストイットに書き出していくこととなった。
 日々、「ご利用者にこうしたい!」という思いで接しているため、改めて「“あえてしていない”こと」と言われて、ペンが止まるスタッフも少なくはなかった。

 しかし、じっくり考えていけば、すぐに分かる。私たちあぷりがあえてやっていないことはたくさんある。

  • 過剰な介護はしない

  • 睡眠薬に依存しない

  • 部屋に閉じ込めない

  • 味付けを薄くしない/刻み食をメインにはしない

…などが挙げられた。
あぷりでは「ご入居者様が動く」ことを是としている。もちろん、大事故につながらないよう細心の注意は払うが、転倒リスクがあることは契約時に了承していただく。「それでも寝たきりではなく、動いてもらいたい」というご家族様も多い。

その反対で「あえてやっていること」……これは、メンバーの筆が進む。最も意識しながら業務に取り組んでいることだからだ。

  • (原則)普通食を提供/豊富な食事内容のバリエーション(お刺身、ワールドグルメなど)

  • レクリエーションの充実

  • 動き回ってもらう

嫌われたい?!

次なる質問…「誰に嫌われたいですか?」―メンバーが最も頭を悩ました質問だ。「好かれたい、来てもらいたい」という、“想定顧客”は合っても、“非想定顧客”は想像だにもしなかった。

ポストイットに書くスピードが止まる。頭を悩ます。悩みながらペンを走らせる…その繰り返しをしながらも、メンバーはポストイット一枚一枚重ねていった。一方、「誰に好かれたいか」という質問に関しては圧倒的にスピードと枚数が加速した。
更に「あぷりが解決できる課題」にも言及した。ここにこそ、今回のセッションの目的である“ミッションワード”が隠されている。

「ここには関わらない」

ミッションワードの策定を進める中、三宅がこう言った。「ミッションワードの策定に自分は関わらない」―自分の意向が強くなってしまいそう。本来はみんなで決めていくことなので、オブザーバーに徹するということで、ミッションワードの策定から三宅は少し距離を置くことにした。

メンバーが挙げてきたミッションワードはどれも、その人なりの思い・視点・考えが込められている。なんら“外している”ものがない。それを知るからこそ、三宅はじっと腕組みをしながらうなずき、見ていた。

しかし、この日の終了時間が差し迫っていた。
「そろそろお時間なので……」
その言葉を聞いて、三宅は天を仰いで、こう言った。
「うーん、この残り時間でミッションワード決めるのは、相当難しいよね。経営者でも一日がかりだよ」
三宅とパラドックスで話し合った結果、「よし、次回にも持ち越そう! 焦って作る必要はない。それだけミッションは重要だから!」

ミッションワードの決定は、次回に持ち越された。それだけ熟成期間を置くこととなった。

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