見出し画像

20200807 創作とラジオ

せっせとラジオにメッセージを投稿し始めて数ヶ月になる。「ハガキの投稿」と言わなくなったことに時代の変化を感じる反面、頻繁に投稿する人達のことは今でも「ハガキ職人」と呼ぶため、この世には変わるものと変わらないものがあるのだと不思議な気持ちになる。

好んで聴いているのは主にTBSラジオと、ニッポン放送を少し。TBSラジオの番組は雰囲気が柔らかい気がするので、いつも疲れている自分にはちょうどいい。知的好奇心も突っついてくれるので、ラジオを聴き始めてから本を買う量が倍になったことは、良かったのか悪かったのか。朝から元気を出したい時はオールナイトニッポンを聴く。とにかく笑える。それからパーソナリティの元気が良い。深夜の生放送のはずなのに、なんでこんな熱量で話が出来るのだろう。オードリーのオールナイトニッポンで、若様が佐久間宣行さんのことを「話したいことが沢山ある人」と形容されていた。すごく羨ましかった。私には話したいことが無い。厳密に言うと、話したいことはあるが、誰も聴いてくれず、聴いてもらえたとしても理解されないことばかりの人生だったから、話すことを諦めてしまった。とにかく話すことが下手だ。声も妙に鼻にかかっていて気持ちが悪い。だから私は文章に逃げる。

ラジオ局にハガキ……ではなくメッセージを投稿し始めて、つくづく感じたことがある。ラジオ番組に投稿するためには、投稿者が心がけるべきことがある。ふだん小説や詩を書くときに、全く意識していなかったこと。

まず、パーソナリティが読みやすい文章を心掛ける。句読点の碌に無い、平仮名や漢字が続く文章は声に出して読みづらい。息継ぎのタイミングを考えて、適度に句読点を配置する。読みづらい漢字は敢えて平仮名に置き換える。その逆もやる。単語の使い方にも気をつける。「いりょうひん」という言葉は「衣料品」とも「医療品」とも取れる。「洋服」や「病院で使うもの」などと言い換える。言語に対するこだわりが異常に強い私なりの、最低限のマナーのつもりだ。

そして何より大切に思ってはいるが、難しくてなかなかできないことがある。「ユーモアをラジオ番組に"チューニング"すること」だ。ただお便りテーマに沿っていればいい、というわけではない。時間帯やリスナー層など、配慮すべきことならたくさんある。このチューニングが少しでもズレると、お便りはパーソナリティの手元に届くことなく、虚しく電子の藻屑となる。私は「スタッフが目を通してくれてさえいれば満足(誰でもいいから読んでくれ!)」という心持ちの人間なので、読まれなかったからといって残念がることはないのだが、日々、ラジオ投稿の難易度をヒシヒシと感じている。

私は私の書く文章が好きだ。読みやすいし、面白いと思っている。文章を外へ放出することを始めたきっかけも、幼少期から自分の脳内で繰り広げている自作のフィクションが大好きで、この広い世界のどこかにシガツハツカ原作の脳内ドラマを面白がってくれる人がいるのではないかと思ったからだ。だから文章を公開し始めた。この手の文章は1人で書いて、1人で校正して、1人で納得して発表をする。時々自分で読み返して、やっぱり面白いなと思って大満足。全てにおいて自分勝手。ただの完璧な箱庭。

これがラジオでは全く通用しない。
ラジオにはラジオの世界があって、そこには当然のように特有の常識が存在するから。

ラジオに投稿するお便りには、ラジオが求めている文章を作る必要がある。たとえば、深夜ラジオのノリを昼間のラジオに持ち込むことは御法度だ。TBSラジオ、ACTIONの水曜パーソナリティにCreepy NutsのDJ松永が抜擢されたとき、その以前から人気のあった、ニッポン放送のCreepy Nutsのオールナイトニッポン0のヘビーリスナーから、ACTIONへ多くのメッセージが届いたそうだ。ラジオネームはそのままに、投稿内容の雰囲気を見事にガラリと変えてみせたリスナー達へ、DJ松永は「(昼のラジオ向けに)真人間の皮を被ってメッセージを送ってくれて、全員抱きしめたくなった。」という言葉を送った、という逸話がある。そしてそのDJ松永も、深夜と日中では雰囲気がかなり変わる。彼の持つユーモアや愛されるべきキャラクターはそのままに、環境に合わせて鮮やかに変身を遂げる。まるでカメレオンのように。

私にはまだラジオの常識が理解できない。
文章の、ユーモアのチューニングが出来ない。

私の投稿する文章は、ラジオが求めているものではない。

つまらないのか、焦点がズレているのか、内容がそぐわないのか、分からない。フィードバックなんてものはない。だから投稿し続けて、読まれた投稿から分析をし続けるしかない。しかし私の投稿は読まれない。

私は元来、何かに自分を合わせて、型に当てはめることが大嫌いだ。想像するだけで胸元がざわざわと波打つ。吐き気さえ催す。

好きなことを何でも書けるから、小説という媒介をえらんだ。ここ最近はポリコレだの配慮だの細かいことを気にしなければいけないが、私のような読者のいない弱小文筆家はそんなこと気にしなくても誰も何も言わない。気づかれもしない。全く陽の当たらない、人通りもない路地裏で好き勝手に葉を伸ばしていられる、素晴らしいご身分だ。

しかしラジオには、チューニングを合わせたい。パーソナリティまで、私の書く面白い文章が届いて欲しい。クスクスと、笑って欲しい。もちろんリスナーにも。有名になりたいなんてことは微塵も思わない。ただ楽しいと思って欲しい。もし一瞬でもスタッフの目に止まれば、それでも最高に幸せだと思う。願わくば、私の文章でスタッフさんが一瞬でも、笑ってくれればいい。

これが、愛なのかもしれない。

最後に、どうせ伝わるはずはないけれど
鬱々とした人生に毎日の楽しみを提供してくれるラジオ制作スタッフ、パーソナリティ、ハガキ職人の皆様へ感謝の意を込めて。

〖 視聴ラジオ〗
TBSラジオ
ジェーン・スーの生活は踊る(スーさんの声を聞くと落ち着く)
ACTION(幸坂アナウンサー、大好きです。)
ハライチのターン(いっっっちばん好き最高 団地の忍者復活して)
安住紳一郎の日曜天国(なんだかんだ1番長く聴いてる)

ニッポン放送
Creepy Nutsのオールナイトニッポン0(1番好きなタイプの「男子ノリ」)
佐久間宣行のオールナイトニッポン0(深夜のあの時間帯にこんなにアクセルふかせる人、いるんですねえ)
オードリーのオールナイトニッポン(面白い以外の感想がない)

ラジオ日本
前野健太のラジオ100年後(ただただ前野健太が大好き、ライブ行きたい)

NHKラジオ
夏休み子ども科学電話相談(今このラジオのために生きてる)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?