渋谷(2010年)

画像1 原作は藤原新也氏の同名の小説。ドキュメンタリータッチで、10年くらい前の渋谷らしい風景がとても自然に目に入ってくる撮り方がいい。
画像2 駆け出しのフリーカメラマン(またしても出ました、カメラマンw)水澤は、ある雑誌の特集で渋谷の今に生きる女の子を取材することになった。取材モデルの募集をかけたら、送られてきた中にこんなものが。プロフィールは顔写真のマンガの顔だけ。
画像3 そして、紙面の片隅に「わたしをさがして」の文字と携帯番号。連絡してみると若い女の子が出たが、会話が続かないまますぐに切れた。
画像4 街に出た水澤は、センター街で母親に罵声を浴びせて突き飛ばし、足早に去っていく派手な身なりの少女を目にする。母親役は松田美由紀。ホントにキャストがこれでもかってくらい豪華です。
画像5 少女が落としたキーホルダーを届けるために彼女を追うと、なんと彼女が入って行ったのはファッションヘルスの店。帰る場所もない彼女はここで「ユリカ」として働いていたのだ。
画像6 わざわざ指名してきたのに、ただ話がしたいという変な客に戸惑うユリカ。
画像7 母親を突き飛ばしたところを見られていたことを知り、その理由を話してくれと訊ねる水澤に不信感を抱き、強い嫌悪を示して追い返してしまう。
画像8 編集長(石田えり)に取材の企画を話すも、表面的な部分しか人間が描けてないとダメ出しをくらった水澤は、彼女の話が聞きたくて再度店を訪れた。今まで誰にも打ち明けたことのない出自をユリカに話す。するとユリカも少しずつ自分の過去や、今の自分の素直な感情を打ち明け始める。
画像9 病気の母親に優しく接することができないまま死別したことを深く後悔していた水澤は、シャワーを浴びながら蘇る記憶と自分の不甲斐なさに声を上げて泣く。シャワーで涙が隠れてしまうけど、水澤の内面がよく伝わる。都会に憧れて10代で上京した剛くん本人が演じることもリアル。若者の勢いとか身勝手さとか甘えとか、優しさや温かさを伝える重要なシーンだと思う。
画像10 するとユリカも自分はかつて優等生で母親の期待に応えて喜ばせるために必死で、自分がどこにいるのか見失ってしまった、母親を心から疎ましく思って反発して生きてきたことを打ち明け始めた。ストーリーやキャラ的にはよくあるパターンだけど、心を通い合わせた2人が濡れそぼつこのシーンはとても美しかった。
画像11 ユリカを好演している佐津川愛美。震える声や、感情があと少しで溢れ出てしまいそうなギリギリの演技とか、表情のお芝居が特に上手な女優さんだと思います。彼女の他だったら誰がこの役を出来るかな?と考えたけど、甘くて幼い声と純粋な目と、風俗嬢を演じる上でむっちりした体型はやっぱり佐津川さんかな。若くてまだまだ世間知らずで弱く繊細で、虚勢を張るのに怯えたようなユリカは彼女がハマり役だと思う。
画像12 水澤が家でただ卵かけごはんを食べるだけのシーン。卵の白身がお茶碗からドゥルンと滑り落ちるのがあるあるで、あーーーもうっ!!の顔には笑みが溢れてしまいます。そして、卵かけごはんがやたら食べたくなっちゃう!
画像13 そんな折に履歴書の女の子の番号から着信。彼女は会いたいと言ってきたが、自分がどこにいるかわからないという。送られてきた写真の風景を頼りに場所を特定してタクシーで向かうが、彼女は顔写真を送ることを拒み、結局はその日は会えずに終わる。
画像14 翌日女の子の番号から送られてきたメールに添付されていた写真…え、これ…ユリカ?2人の顔が重なり合う映像にドキリ。
画像15 ユリカが店を辞めていたことを知り、水澤は少女に電話した。
画像16 故郷に帰って母親とまた向き合いたいと語った少女は、深夜バスに乗っていた。表情が柔らかくなってる。水澤は1人を掘り下げることで、その人から渋谷という街を知れたのかな。これからもきっと彼は良い記事を書くだろう。少し蒼いけど温かくて、胸の奥がキュンとする映画です。
画像17 おまけに。最初にちょい役で出てるこの若者、斎藤工!!文句なしにカッコ良いな。。
画像18 途中、歩道橋のシーンで出てくる今日泊めてくれる男を探してる家出少女、大島優子!!昔の作品のキャストを今見返すのって、こういう楽しみがある。ちなみにこのあと水澤は1万円を渡してどこかに泊まれと言ってやるのだ。良い大人もいるんだよ〜。
画像19 風俗店の店長は井浦新が昔の芸名の頃のARATAさん!!なんかこの役、少ししか映らないのに存在感あってすごくハマってるw

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