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『ネット興亡記』ひたすら熱量に圧倒される一冊

本のタイトルそのまま、数多のインターネット企業の興亡記である。しかし、著者の杉本貴司氏による圧倒的な熱量で語られており、IT業界に身を置いたことのない私でも、最後まで「そうだったのか!」を連発しながら、どの章も興味が尽きずに読み終えることができた。

この本を読み終えた後、日本のIT業界を俯瞰的に見れるようになった気がして、経済ニュースを知る面白さが増したように思う。それもそのはず、著者の杉本氏は日本経済新聞の編集委員なのだ。取材力と構成力は折り紙付きの実力であることに異論の余地はない。

各章で、その時代を代表する若手起業家に焦点を当て、それぞれの激動の半生を深掘りするというスタイルも読みやすくてよかった。読み進めるに連れて、以前の章で紹介された人物と絡み合っていくのが絶妙な描写であり、まるで長編小説を読んでいるような錯覚に陥った。

特に、サイバーエージェントとインテリジェンス、ヤフーとソフトバンク、ライブドアとラインの知っているようで知らない話は、ウィキペディアで単なる時系列に記載された情報から窺い知ることができるものではなく、ノンフィクション本を読む醍醐味を堪能できた。

単行本で760頁(Kindle版で682頁)の大作は読み応え抜群だ。著者の杉本氏の熱量に圧倒されながら、いつの間にか最後まで読み切った後、読後の余韻を長めに浸ることになったのは私だけではないはずだ。

#読書の秋2020 #ネット興亡記

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