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成瀬は


#成瀬は天下を取りにいく
#成瀬は信じた道をいく
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我道を行く成瀬あかりに周りの人間が振り回される話で、そこまで特殊な作りとは思わない。

この本のちょっと変わっていて面白いのは、物語の中の成瀬あかりが外に飛び出し、現実の読者を巻き込み現実の世界を変えていってるかのよう。
周りの人間に共感するあまり読者までもが成瀬に振り回されているような気持ちになる。

膳所から世界へを本の中だけじゃなく聖地化や街興しなど、現実世界に持ち込み読者や滋賀の人間も巻き込んでいる。
小説を読む時は物語の中に入り込むものだが、物語の中のはずの時世に合わせた世界を成瀬が変えていくことで、物語から飛び出し現実世界も変えていってるようで面白い。

他にも心情や具体的な動機をかかない成瀬のキャラに理由があるかもしれない。現実では小説の人間のように内面が漏れてくることはない。何を考えているか分からない人間に巻き込まれるのはとても現実的だ。

膳所から世界へという成瀬のただひとつの感情が現実を変えていることで、動機などのない小説のキャラとしては不完全な成瀬をキャラとして存在させているのかもしれない。

あと文章がすごく読みやすい。

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