「ロシア」「ウクライナ」に関係する内容の可能性がある記事です。
極端な内容・真偽不明の情報でないかご注意ください。ひとつの情報だけで判断せずに、さまざまな媒体のさまざまな情報とあわせて総合的に判断することをおすすめします。 また、この危機に直面した人々をサポートするために、支援団体へのリンクを以下に設置します。 ※非常時のため、すべての関連記事に注意書きを一時的に表示しています。
見出し画像

「絵図」を共有するやりかたが必要なのだろう|2/21〜2/25

佐藤李青(東京アートポイント計画)

コロナ禍の日々の記録。平日の仕事中心。土日祝休(例外あり)。2020年の1回目の緊急事態宣言の最中にはじめた日記はこちらから。3回目の宣言解除の日から再開。少し休んで「第6波」から再々開。

2022年2月21日(月) 自宅

在宅で終日パソコンに向かう。Zoomのミーティングはひとつ。あとは淡々と溜まっている作業をこなす……だけだったのだけど、やたらと考えることが多い一日になった。ひさしぶりの知人から連絡が来る。文化とケアの接点をつくるようなフォーラムを企画していて、それが面白そうだなと思っていたら、チラシを送ってくれるのだという。そしたら「佐藤さんがずっと関わってらっしゃる震災にまつわる動きも、わたしはケアの系譜の一つだと感じていて」というコメントもくれて、ありがたみを噛みしめ返事をする。

そうですね。まさに、震災の後、ケアの議論はいつも傍にあって、この頃はその視点での語り直しが必要かなと思っています(非常時ではなく、平時にフィードバックする議論として)。とくに東日本大震災後に動いた人たちは鷲田清一さんの思想が裏支えしていたり、「災害」分野の人たちはケアの議論が中心的なトピックだったりもするので当然といえば当然なのですが。流行りに乗るわけではないですが、人が生きるうえで抱える多様な困難を分野でわけるのではなく、地続きで語るためにケアは議論の接点になるのではないかなーと漠然と考えています。

あ、そんなことを考えていたのか。書きながら、気がつく。頭のうえをふわふわと漂っていたピースがはまるような感覚。次は、もうちょっと踏みこんで言葉に出来そうな気がする。書くって、そういう効果がある。
今月末の発送作業に向けて、一括で発送予定のドキュメント(8種類)のゲラから印象的なことばを抜き出す(例年、発送に同封するレターや箱には、その年のドキュメントから引用したことばを掲載している)。過去のやりかたを確認するなかで、数年前に書いた記事が出てくる。読み返して、結構いいこと言っているじゃないかと思う。でも、最後の「気がします」のところは、いまだ解決していない。

デザインとは見え方をつくるだけでなく、物事のやり方(仕方)をつくっていくことも指すのだと思います。見栄えが良くなると前者の「デザイン」は見えやすくなり、後者の「デザイン」の痕跡は見えにくくなっていきます。むしろ、見えなくなるほどにデザインは上手くいったともいえるかもしれません(これは東京アートポイント計画の取り組みの評価とも繋がっているような気がします)。

各事業のドキュメントを読んでいると「アートとは、なんだ?」と問う派、人と人との出会いかたを考える派、土地の歴史や文脈をたどる派の議論があるように思える。わからないことに飛びこむことが出来たのは、この土地の寛容さがあったからだ、という発言も複数あった。この議論の「重なり」を分解しすぎると片手落ち感が出てしまい、一緒に伝えると捉えにくくなる。ここに東京アートポイント計画の「わかりにくさ」があるのかもしれない。
東京都の新規感染者数は8,805人、1ヶ月ぶりに1万人を下回った。

2022年2月22日(火) 市ヶ谷

朝からオフィス勤務。オフライン/オンラインで3本のミーティング。じわじわとあった頭痛が、帰り道で一気に強まる。熱はない。夕飯も食べれず、倒れこむようにして就寝(後日談:新しいメガネをかけていたことが原因だったようだ。修理から返ったメガネに戻したら、頭痛はしなくなった)。

2022年2月24日(木) 自宅

Artist Collective Fuchu(ACF)のZoomミーティング。ここまでの議論の自分なりの見方を伝えるために、手書きの図を手元のノートに書いてみる。それをスマホで写真に撮って、データを画面共有しながら話す。もっといいやりかたはあるはず……そう思いながらも手書きがてっとり早い。ベストは尽くした。ACFが標榜する「Collective」というかたちにとって、互いに思い描く「絵図」を共有するやりかたが必要なのだろうと思う。それぞれの実践は、ばらばらで構わないけど、互いの動きを意識し(位置確認し)、ときに連動させ、有機的に物事を動かすための書き換え可能な絵図をもつ。そのために、誰が、どう描くかも課題になる。
阿蘇山の火山活動が急激に高まり、噴火警戒レベルを「入山規制」の3に引き上げられた。気象庁は「噴火の可能性が高い」との見通しを示す。
ロシアがウクライナに全面侵攻を開始した。ウクライナでは「非常事態宣言」が発令。SNSでは現地の状況や「戦争」に対する態度表明が飛び交っている。いま起こっていることと、これまで起こっていたことの両面で情報が流れる。戦争の「はじまり」の実感の湧かなさが、無数のビジュアルイメージを見ることでリアリティを獲得しはじめる。

2022年2月25日(金) 自宅

知恵を絞らなければならない案件。パワーポイントに図を描いてみようとしたり、前例の書類を読みこんで書き換えをしてみたりする。何が懸念点となるか、そもそもこの考えかたで進めて、先方が前提としている理解とずれていないかが気になりはじめて手が止まる。そういうときは相手に聞いてみるしかないので、とりあえずメールする。
午後はACKT(アクト/アートセンタークニタチ)のZoomミーティング。今年度は事業立ち上げで、国立市内の遊休スペースのリサーチに加えて、国内の先例を訪問し、取材を行っている。これからどんな事業をつくっていけばいいのかの、いいイメージづくりになったのだという。国立市の行政の人たちなど一緒に事業を進める人たちも、今後は「その場」に同行するのがいいのではないかという話が出る。いいアイディアだと思う。具体的な拠点づくりがACKTの活動の鍵にはなりそうだけど、「拠点づくり」に委ねるイメージを関係者間で共有する難しさも抱えていた。「拠点をどう使うか」というより「拠点がどんな作用をもたらすのか」の説明があるといいのかもしれないと思う。まちに、かかわる人に、どんなことが起こるのか。事例は近いものでもいいのだろう。
次年度の東京アートポイント計画の新規事業パートナーの公募が締切となった。当初の予想を超えて、多くの申請が届いた。今回は、はじめてテーマ(「多文化・共生・コミュニケーション」と「災間・減災・レジリエンス」)を設定した公募だった。パートナー選定だけでなく、これだけの意思表明があったことを、どう受け止め、次のアクションにつなげていくか。
ニュースはウクライナの情勢一色。SNSではリアルタイムの現地映像や短い言葉での態度表明が飛び交い、一夜過ぎて「冷笑主義」への批判が強まっているようにも思える。ロシア軍がチェルノブイリ原発を制圧という話も出てきた。
おととい、上の子の小学校で陽性者が発生し、クラスが休みとなり、昨日は下の子の保育園が同様の理由で休園になる。どちらも休みの連絡が来てから、新たな陽性者の連絡が続き、下の子は今日濃厚接触者になった。国内の感染者数は減少傾向にあるけれど、エリア的に波が来ているのだろうか?

(つづく)

※ この3月、Art Support Tohoku-Tokyo(2011-2021)の活動をきっかけに、本と音楽(CD)が生まれました!


佐藤李青(東京アートポイント計画)
アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー。東京アートポイント計画、Tokyo Art Research Lab、Art Support Tohoku-Tokyo(-2020)を担当。共著に『10年目の手記 震災体験を書く、よむ、編みなおす』(生きのびるブックス、2022年)。