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覚えておかないと、あっという間にあの頃は戻ってくる|2/14〜2/18

佐藤李青(東京アートポイント計画)

コロナ禍の日々の記録。平日の仕事中心。土日祝休(例外あり)。2020年の1回目の緊急事態宣言の最中にはじめた日記はこちらから。3回目の宣言解除の日から再開。少し休んで「第6波」から再々開。

2022年2月14日(月) 市ヶ谷→錦糸町→市ヶ谷

昨日から今日にかけて大雪の予報が出ていた。が、今回も空振りだった。朝から午後のミーティングに向けた資料作成をする。アート、コミュニティ、交流、かかわりづくり……相手に合わせて、ことばと事例の塩梅を調整する。午後は、その資料を携えて、話をする。アートの作品や表現よりも、アーティストという人のことなんですかね、と言われる。そう、いつも「人」の話をしているのだと思う。アートをバックグラウンドとして持たない人と話をすると、こっち側が「アート」の代表のように思われることがある。そんなとき、一般的にイメージするアートではないんですよね、と答えるけど、たまには、そうなんです! と言ってみようか……なんてことを考える。
市ヶ谷のオフィスに戻って、事務を少々。3回目のワクチン接種の希望日が通らず、新たな日程を第3希望まで洗い出す。副反応で動けなくなることを考慮しつつ、カレンダーとにらめっこする。
東京都の新規感染者数は10,334人。前週から2,000人減。「前週からの減」は6日連続になった。このままどんどん下っていくのだろうか。都の重症病床の使用率は29.2%。この数字が30%~40%になった場合、緊急事態宣言の要請を検討する方針だったが、どうなるのか。そのシナリオはなさそうな気がする。

2022年2月15日(火) 市ヶ谷→自宅

午前は係会(注、東京アートポイント計画のスタッフ定例会)。休みの人も多いため、在室している人で対面のミーティング。いつもだと数名はZoomの画面越しに参加しているけど今日はなし。話題は相変わらず年度末までの締めの確認と来年度の動き出しについて。途中みんなでスケジュールを見ながら「2月中旬は今日だけど」ということばが出てきて、はっとする。2週間後は3月だ。
午後に予定していたZoomのミーティング用に会議室がとれなかったため、急いで在宅に移行する。オンライン化でオフラインの空間が不足する問題は、いまだ解決せず。感染者数が多い時期に出社する人が多くなると発生しやすい。
全国のコロナでの死者数は236人。先週木曜日の146人を大幅に超える最多更新。近しい人を亡くした経験は「折り合い」がつくものではない。区切りがあるのではなく、その人を抱え続けることが日々の生活に馴染んでいくようなものなのではないだろうか。その人が生きていたときよりも、その人のことを思い起こす。生前は思い出す存在だった人が「思い出してしまう存在」になる。それが生者と死者のかかわりの違いなのかもしれない。喪うとは、その存在を身にまとうようになるようなものなのか。

2022年2月16日(水) 市ヶ谷

朝からオフィスで、Wordでさまざまな文章のチェックと校正、Excelでの郵送先の整理に励む。正確に言えば(というか別物か……)ほとんどはGoogleドキュメントやスプレッドシート。この共同編集ファイルに手を入れるというのが、どうにも苦手だ。わざわざWordやExcelに落として編集してしまう(今日はしなかったけど)。これは慣れなのかもしれないけど、手を入れたことが固定化されない感じが、どうにも不安になってしまう。
年度末に発行する『Artpoint Reports 2021→2022(仮)』の記事、宮下美穂さんのインタビュー、事業のプラン、精算書類、発送物の郵送先リスト……確認や作成の作業するものがどれも年度末を思い起こさせるものばかり。
帰り道でこどもの保育園が明日から休園になると連絡がある。陽性者が判明、濃厚接触者の特定は終わっていないのだという。明日は必然的に終日在宅に変更せざるをえない。まいったなと思っていたら、電車が止まる。踏んだり蹴ったりだ。途中下車せざるをえなかった駅の構内をふらふらして時間をつぶし、ぎゅうぎゅうの電車に乗って、なんとか最寄駅までたどりつく。ソーシャルディスタンスとやらは、どこへ? コロナ禍で世界が、そして人と人との関係が変わってしまった。そう、口にしてしまいがちだけど、本当は何が変わったのだろうか? 何を変えたいと思ったのか? ちゃんと思い出し、覚えておかないと、あっという間にあの頃は戻ってくる。

コロナウイルスの「過ぎたあと」、そのうち復興が始まるだろう。だから僕らは、今からもう、よく考えておくべきだ。いったい何に元どおりになってほしくないのかを。

パオロ・ジョルダーノ「著者あとがき コロナウイルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないこと」『コロナ時代の僕ら』早川書房、2020年。

2022年2月18日(金) 自宅

昨日は保育園が休園のため、職免を取得して休む。その分を取り返すように朝から在宅でパソコンに向かい、手を動かす。午前は「多摩の未来の地勢図」のZoomミーティング。各プログラムの進捗や今後の見通しを共有する。午後は「Artist Collective Fuchu(ACF)」の事務局とのZoomミーティング。前回の会議と次回の会議の架け橋をつくるための話をする。
東京都の新規感染者数は16,129人、10日連続で前週の同じ曜日の数を下回る。全国は87,530人、前週の同曜日から10,825人下回るが、死者数は211人で、4日連続で200人を上回る。

2022年2月20日(日) 自宅

東京アートポイント計画の公募相談会にオンラインで対応。1時間のグループ相談会を3セットこなす。へとへとになる。でも、学ぶことは多かった。今回の公募でははじめて、ふたつのテーマ(「多文化・共生・コミュニケーション」と「災間・減災・レジリエンス」)を設定した。それによって課題に対する切実さやネットワークをもつ人たちと出会うことができているのかもしれないと思う。この機会を、次につなげるための一手を考える。施策の適切な運用だけが仕事ではない。そこから見えた可能性をいかす施策をつくることが必要だ。

(つづく)

佐藤李青(東京アートポイント計画)
アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー。東京アートポイント計画、Tokyo Art Research Lab、Art Support Tohoku-Tokyo(-2020)を担当。共著に『10年目の手記 震災体験を書く、よむ、編みなおす』(生きのびるブックス、2022年)。