見出し画像

状況は厳しいという認識を共有する|8/24〜8/27

コロナ禍の日々の記録。平日の仕事を中心に。土日祝は休みます(例外あり)。2020年の1回目の緊急事態宣言の最中にはじめた日記はこちらから。3回目の緊急事態宣言解除の日から再開。しばらく続けたい。

2021年8月24日(火) 市ヶ谷

昨日は3日目の夏休みを消化。こどもの小学校からは8月31日まで夏季休業期間延長の連絡(午前に1時間半のみの分散登校日が1日ある)。休み中、午前は「低学年を中心に、やむを得ない事情で自宅に児童を見守る方がいない家庭の児童のみを対象」とした「児童の居場所」が設けられ、午後は学童保育が開くことになった。小学校から届くメールに一喜一憂しながら、去年の休校期間の記憶がフラッシュバックする。
朝から蒸し暑い。汗をかきかき、出社する。午前の係会(注:東京アートポイント計画のスタッフ定例会)では、2ヶ月先までの事業の実施可能性を議論する。感染者数は減らないだろう。人が対面で集うプログラムは延期か中止を考える必要があるかもしれない。方法は対面かリモートだけではない。いまなら、まだやりかたに工夫ができるのではないだろうか。当面は遠距離の出張も難しいだろう……。1年前も同様の議論をしていた。ただ、そのときより感染者数は圧倒的に多い。状況は厳しいという認識を共有する。
オフィスは人が少なかった。定時で帰宅。パラリンピック開会式が20時開始だったことを忘れていた。途中から少しだけ見る。式がはじまってから制作・演出チームのメンバーが公開されていた。Twitterでは随分と評判がいい。リアルタイムのツイートでは、布袋寅泰の登場で盛り上がる。
政府は北海道、宮城、岐阜、愛知、三重、滋賀、岡山、広島の8道県に対し、緊急事態発令の方針を固める(明日正式決定)。これで合計21都道府県が緊急事態宣言下となる。東京都の新規感染者数は4,220人。首都圏では県境をまたぐ「越境搬送が困難に」。こどもの感染拡大も話題になっている。

2021年8月25日(水) 市ヶ谷

今日も暑い。朝イチでZoomミーティング。場所がなかったため、三番町のオフィスから歩いて7分ほどの九段ファーストプレイスに移動する(注:アーツカウンシル東京はオフィスがふたつある)。オンラインミーティングの増加に比例した物理的な空間不足は相変わらずだ。理想は、周囲の音を遮断する仕切りがある部屋がいい。現実は、音が流れても気にならないエレベーターホールのミーティングスペースからつなぐ。ACF(Artist Collective Fuchu)の新規事業「ラッコルタ」のミーティング。アーティストを検討し、この状況下でのワークショップ実施の方法を議論する。
午後は次年度以降の東京アートポイント計画の動きを議論する「戦略ミーティング」。かたちにすべき項目は見えた。あとは落としこむのみ……と頭ではわかっていても手が追いつかない。そんな案件が、目の前に、いくつもゆらゆらしている。集中してこなす時間をつくらねば……。
9月25日から10月5日に開催予定だった三重国体が中止。ひとまず無観客とし、9月4日に開催可否を判断することにしていたが、県内自治体の要望等もあり、早期の判断を下す。政府のコロナ分科会で尾身会長は学校再開で感染拡大と医療ひっ迫の懸念を示す(休校までは求めず)。東京都の新規感染者数は4,228人、重症者数は277人で過去最多。大阪府2,808人、沖縄県809人で最多更新。

2021年8月26日(木) 国立→自宅

朝からしっかり暑い。国立市役所でのミーティングに向かう。家を出て、少ししてから、こどもの保育園で陽性者が判明し、しばらく休園になると連絡が来る。当然だけど、こういうことは突然起こる。ミーティングは先方都合も考慮すると先延ばしできない(したくない)。あたふたと対応し、午後は休みを取得する。
こどもを保育園に預けることは、本人の感染リスクを上げることになる。こどもが感染したら、自分も出社不可になる。だからといって、登園や登校を自粛すれば在宅勤務か休みの取得が必要になる。ジレンマをかいくぐるように日々の生活を組み立てる。自助の限界はとっくに訪れている。そもそも「何を自助しているか」の見え方が、その人の置かれている状況(属するコミュニティ)によって違う。当初から乖離はあった。1年以上の時間が経って個々人の自助が、ほかの人たちにとって不可視化された「前提」になりつつあるのであれば分断は深い。もやもやと考えてしまう。
モデルナ製ワクチンに金属と見られる異物混入が明らかに。同じ製造過程でつくった約160万回分が接種見合わせ。混入が見つかったロット番号を確認し、「当たった」というSNSの投稿が流れている。文化芸術関係者向けの職域接種が異物混入の影響で中止。9月23日から26日に開催予定だった六本木アートナイト2021は延期。東京都の新規感染者数は4,704人。

2021年8月27日(金) 市ヶ谷→秋葉原→蔵前

厳しい暑さは続く。朝から市ヶ谷のオフィスに出社。タスクは山積みだ。昼過ぎに打合せのため、3331 Arts Chiyodaへ。歩きながら、何度も「暑い」とつぶやいてしまう。打合せでは、Tokyo Art Research Lab(TARL)で重点的に取り組んできた「アーカイブ」の議論を振り返る。『アート・アーカイブ ガイドブック』(2011年)、『アート・アーカイブ・キット』(2014年)、『アート・アーカイブの便利帖』(2016年)の制作。それと並行したレクチャーや実践……当時のゲストや参加者は、いまどういう取り組みをしているのだろうか? 成果を振り返り、これからの活動の「更新」を狙う。 
オンラインと対面が入り混じった打合せは、終わり方が難しい。対面でいる人たちとは本題が終わった後に雑談をはじめることがあるけれど、そうするとZoomの画面の向こうの人は置いてけぼりになってしまう。では、打合せはこの辺で、と言ってオンライン側の人の退出タイミングをつくる。画面の向こう側でブツっと終わる姿を想像する。それはそれで置いてけぼりか……。
3331の1階のポコラート世界展「偶然と、必然と、」に立ち寄る。もりもりと「つくる」ことへの意欲が湧いてくるような内容。日々の鬱々とした気分が晴れるような心持ちになる。いきおい、齋藤彰英さんの個展「東京礫層:Tokyo Gravel」に向かう。東京を山の上から俯瞰した風景写真の前には、いくつもの小石(礫)が並んでいる。会場には地質調査の報告書もあった。いずれも写真の風景からは見えてこないものだけど、それによって風景の見方は変わる。数日前に齋藤さんにもらったメールに書かれていた東京を「地下から見上げる」という表現が腑に落ちた。そして、数年前のArt Bridge Institute(ABI)のサイトでの齋藤さんの連載記事を思い出す。あのときの線や道の話とつながっているのだろうな、と。

厚労相は東京城東病院を「コロナ専門病院」にすることを明らかに。同病院の理事長は政府のコロナ分科会の尾身会長。文化芸術関係者向けの職域接種は代替ワクチン確保により30日再開。場所は国立新美術館から帝京科学大学(足立区)に変更。東京都の新規感染者数は4,227人。重症者数は過去最多の294人。

(つづく)

▼ 1年前は、どうだった?(2020年の日記から)

▼ Art Support Tohoku-Tokyo 2011→2021「2020年リレー日記」。1年前の8月の書き手は、岡村幸宣さん(原爆の図丸木美術館 学芸員)→山本唯人さん(社会学者/キュレイター)→谷山恭子さん(アーティスト)→鈴木 拓さん(boxes Inc. 代表)→清水裕貴(写真家/小説家)さんでした。