メモに動かす手が追いつかないほどに、いろんなことが動いている|8/16〜8/21
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メモに動かす手が追いつかないほどに、いろんなことが動いている|8/16〜8/21

コロナ禍の日々の記録。平日の仕事を中心に。土日祝は休みます(例外あり)。2020年の1回目の緊急事態宣言の最中にはじめた日記はこちらから。3回目の緊急事態宣言解除の日から再開。しばらく続けたい。

2021年8月16日(月) 自宅

週末は大きなニュースが多かった。昨日はアフガニスタンの首都カブールをタリバンが占拠。ニュースでは国外脱出を試みる人たちが空港に押し寄せる姿や、離陸する米軍機にしがみつく人たちの映像が流れている(後に民間人が少なくとも7名が空港の混乱で亡くなったと判明)。九州では大雨が降っている。パラリンピックは無観客となった。学校単位での観戦は希望があれば認めることになり、議論となっている。
連日の猛暑から一転し、涼しくなった。終日の在宅勤務。Tokyo Art Research Lab(TARL)ディスカッション初回レポートを公開に向けて整理する。今日は夏休みのスタッフも多い。世の中的にはお盆なのだろう。帰省がないと季節感もない。オンラインミーティングもない。メッセージのやりとりも、ぐっと少なくなる。静かにパソコンに向かう。
東京都の新規感染者数は2,962人で月曜日としては最多、重症者数は268人で最多を更新。緊急事態宣言は20日から7府県を追加し、6都府県の宣言期限は9月12日まで延長となった。「まん延防止等重点措置」も10県を追加し、9月12日まで延長。7月12日に沖縄県は宣言延長、この日に東京都は宣言下に入った。今回の延長で丸々2ヶ月は宣言中になることが確定。

2021年8月17日(火) 自宅

曇り空で涼しい。エアコンをつけずに終日の在宅勤務をやりきる。午前中は係会(注:東京アートポイント計画のスタッフ定例会)にZoomで参加。TARL研究・開発アセンブル1「Multi Cultural Film Making ルーツが異なる他者と映画をつくる」のメンバー募集が定員を大幅に超えたのだという。Facebook広告を使ったこと、英語での発信を行なったことが功を奏した。募集対象を考慮して「やさしい日本語」バージョンのチラシも用意されていた。当然のように、ことばを変えると集まり方が変わる。TARLでは手話のレクチャーをしている。いくつものことばを使うことは可能性であり、いま取り組むべき課題でもあるのだろう。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは何なのだろうか? この頃、よく聞くようになったけど漠然としたイメージしかない。ハンドブック『GDX:行政府における理念と実践』を読みはじめる。
「DXとは何か?」という問いは、冒頭で「ユーザー中心」であると、はっきり答えられていた。そして「「ユーザー中心」ということばを絶対的な原理原則として、あらゆる業務、あらゆる意思決定の判断軸とすることができるかどうか」が大事で、「ユーザー中心」が「具体的な業務の「行動指針」であることだ」が求められているのだ、と(若林恵「なぜ DXを説明するのに7万字も必要なのか」)。なんだか耳が痛い……。「デジタル」とのかかわりは次のように語られていた。

「DX」がこれまで語られてきた「IT化」と何が違うのかといえば、デジタル・トランスフォーメーションは、まずもって、社会全体のデジタル化によってもたらされた状況に対して、いかに適応し、あらゆるシステムをつくり直すかという点にありまして、その意味ではデジタル化がもたらした「結果」に対応するものなんですね。その対応策のなかには、もちろんこれまでデジタル化されていない領域をデジタル化することも含まれますので、当然「デジタル化」もそこには含まれているのですが、ゴールはそこではなく、むしろ、それは前提なんです(14頁)

しばらく、ここに書かれたことばを、日々の業務のなかで思い出しそう。
東京都の新規感染者数は4,377人。重症者は276人で最多更新。

2021年8月18日(水) 市ヶ谷

汗ばむほどの暑さ。朝から市ヶ谷のオフィスに出社。午前中は「移動する中心|GAYA」のミーティング。サンデー・インタビュアーズのメンバーが映像について気になったことを調べたり、誰かに「きく」というステップに入りつつある。そんなときに配慮すべきことやツールに何があればいいかを洗い出し、議論する。本人の動機を削がず、相手とのやりとりが形式ばりすぎない方法はあるだろうか(ただ親しい人の場合は、形式があったほうが「きく」という距離はとれるかもしれない)。肝心なところをおさえつつ、事務局が用意しすぎないこと。必ずしもみんなが行動に移さなくともいい。「ききたいという動機が育つことを待つ」。やりかたと考え方を確認しつつ、時節柄、ディスタンスのとりかたも話題にあがる。

夕方はZoomで「多摩の未来の地勢図」の進捗をきく。メモに動かす手が追いつかないほどに、いろんなことが動いている。とくに、この事業では学校の先生や、社会的に困難を抱えている人たちと向き合う支援者の人たちとかかわることが多い。それぞれの仕事の範疇では獲得しづらいスキルを共有する場をつくる。外からかかわることで、コミュニケーションを変える。時間をかけて課題や関係をときほぐし、かかわった個々人が状況に向き合う選択肢を増やしていく……。そこではイベントを実現させるプロセスとは異なる、日々の丁寧なやりとりが求められる。そして、そんな現場にかかわるのは、けっこうな覚悟が求められる。「外からは見えにくい」という成果の可視化は課題だけど、同時にその現場のリアリティを伝えていく必要もある。
今日だけで近しい家族が陽性になった話を複数きく。都内で家族全員が感染し、自宅療養していた40代の母親が亡くなった。東京都の新規感染者数は5,386人。全国は23,000人を超えた。重症者数は1,716人で6日連続で最多更新。27府県で感染者数の最多更新。厚労省は40都道府県が「爆発的感染拡大(ステージ4)」に相当と発表豊岡演劇祭2021が中止を発表。20日から開催のフジロックフェスティバル'21に対するアーティストの態度表明がSNSでは飛び交っている。アメリカではワクチン接種の3回目(ブースター接種)を9月下旬に開始する計画を発表。国内で1週間以上続いた記録的大雨も明日から収束の見通し。アフガン情勢のニュースも続く。

2021年8月19日(木) 市ヶ谷→上野→自宅

朝は市ヶ谷のオフィスに出社。午後は東京都美術館の「TURNフェス6」へ。美術館の入口では持ち物検査。「TURNフェス6」の入口では「アクセシビリティ」という言葉が、まず目に飛び込んでくる。例年の「人がいる」という感じよりも、展示空間としての色合いが強い。聴覚的な作品が多い印象をもったのはアクセシビリティと関連するのだろうか。
隣で開催されていた企画展「Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる」にも立ち寄る。せかせかと見るものじゃないなと思う。木こりを引退し、83歳から絵筆をとり、99歳まで水彩画を描き続けた東勝吉さん。最晩年に体調を崩し、描くのをやめたときに語った「描けば、前の絵を汚す」ということばにしびれる。

2021年8月20日(金) 市ヶ谷

市ヶ谷のオフィスに出社。午後は今後の東京アートポイント計画のありかたを検討する戦略ミーティング。これまでの実績を振り返り、次の「はじめかた」の議論を重ねる。あとは粛々とデスクワークを。
全国知事会は国への緊急提言として「ロックダウン」の検討を要求。国内の東京都の新規感染者数は5,405人。国内は25,417人で3日連続で最多更新(14府県で最多更新)。
フジロックフェスティバル'21が開催。出演アーティストが陽性になることや自らキャンセルすることが相次いでいた。SNSでは批判的な意見もあり、開催中止を求めるハッシュタグも生まれた。
観測史上初めて、グリーンランドの山頂で14日に降雨を確認のニュース。

米国立雪氷データセンターの研究員テッド・スカンボス氏はCNNに対し、この現象はグリーンランドの温暖化が急速に進んでいる証しだと述べ、「これは単純に気候パターンが変動する中で10年か20年温かさが続くといった現象ではない」「前代未聞だ」と指摘した(CNN.co.jp

2021年8月21日(土) 秋葉原

TARLディスカッション「災間の社会に生きる術を探る」の2回目。口々に「あっという間ですね」と話す。冒頭で14日に『震災後、地図を片手に歩きはじめる』のことばが「折々のことば」で紹介されたことに触れる。本書では鷲田清一さんの著書『素手のふるまい』から「生き抜く術(すべ)としてのアート」という言葉を引用をしていたこと、「折々のことば」で引かれた「ただいる」という言葉は鷲田さんの著書『「待つ」ということ』も意識していたことを話す。ゲストのCODE海外災害援助市民センター事務局長の吉椿雅道さんのトークには鷲田さんの『「聴く」ことの力』が登場する。狙ったわけではなかった。異なるフィールドの話に、鷲田さんのことばで橋が架かる。その影響力の大きさも実感する。
吉椿さんの話は土着知(local knowledge)や民俗知がキーワードだった。「災間」には(忘却されつつある?)土地の「知」を呼び覚ますことが必要であるのと、同時にそれでは対応できない(更新された)現状に対して新たな「知」をつくりだしていく所作が必要なのだろうと思う。それは震災後にあった「アート」の土地の文化を呼び覚ますような活動、新たな「物語」をつくるような試みと重なってくる。ディスカッションは盛り上がり、いい意味で話し足りなさの余韻が残る。内容としても次回(ゲストは瀬尾夏美さん)へのいいパス出しになる。
本編終了後、ゲストを交えた運営メンバーでの振り返りでも議論は続いた。「災間」を、どう定義するのか? すでに使われている意味ではなく、自分たちなりの説明を、このディスカッションシリーズを通してつくっていけるといいなと思う。ことばの新たな用法をつくる。それは「ディスカッション」を掲げたシリーズに相応しい課題だろう。
東京都の新規感染者数は5,074人。4日連続で5千人超え。全国では25,492人。3日連続で2万5千人超え。1日の感染者数では過去2番目に大きな数字。

(つづく)

▼ 1年前は、どうだった?(2020年の日記から)

▼ Art Support Tohoku-Tokyo 2011→2021「2020年リレー日記」。1年前の8月の書き手は、岡村幸宣さん(原爆の図丸木美術館 学芸員)→山本唯人さん(社会学者/キュレイター)→谷山恭子さん(アーティスト)→鈴木 拓さん(boxes Inc. 代表)→清水裕貴(写真家/小説家)さんでした。


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アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー。東京アートポイント計画、Tokyo Art Research Lab、Art Support Tohoku-Tokyo(-2020)を担当。近刊は『震災後、地図を片手に歩きはじめる』(アーツカウンシル東京、2021年)。足しびれがち。