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「オミクロン株対策が行われるよりも前の扱い」に戻す|5/16〜5/20

コロナ禍の日々の記録。平日の仕事中心。2020年の1回目の緊急事態宣言の最中に開始。3回目の宣言解除の日から再開、少し休んで「第6波」から再々開。すぐに途切れて、再々々会。もう3年目。

2022年5月16日(月) 自宅

在宅で粛々と作業を進める。この頃は「作業」が多いが、時間がかかるだけで、きらいではない。これといって特筆すべきことはなし。

2022年5月17日(火) 市ヶ谷

曇り空で肌寒い。この1ヶ月くらいは寒暖の差が激しい。出社して、すぐに短いZoomミーティングをひとつ。Tokyo Art Research Lab(TARL)ウェブリニューアルにあたっての作業方針を議論する。
係会(注:東京アートポイント計画のスタッフ定例会)。来月から来年度の予算要求が本格化する。例年よりも状況は厳しくなりそう。求められるのは、エビデンスとニュース。実績の見せ方と切り口に頭をひねる。材料がないわけではない。どう調理するか(調理しようとしていくのか)。それを考えるのは、きらいじゃない。

2022年5月18日(水) 市ヶ谷

『災害特派員』を読みはじめる。一気に「あのとき」に引きこまれる。著者の「個人的な震災取材の体験を綴った「手記」」であり、「回想録(メモワール)」なのだという。2011年の出来事を、10年が経ってから、この生々しさで、どうやって書いたのだろうか。気になって「あとがき」を先に読んでしまう(この本に限らず「あとがき」は先に読みがち)。

著者は、2012年に本書の「骨子」を「個人的な記録」として書き残していた。編集者に「震災10年」に向けて書くことを依頼された後に作業を重ね、2020年には関係者にコンタクトをとって、事実関係の確認をしてから発刊をしたのだという。そのやりとりのなかで「当時の情景」が思い起こされることが、「私に取っての「震災10年」になったのではなかったかと思う」と記されていた。
それを読んで『震災後、地図を片手に歩きはじめる』を書いたときのことを思い出した。2011年から10年担当してきた「Art Support Tohoku-Tokyo(東京都による芸術文化を活用した被災地支援事業)」のことをまとめたものだ。書こうとする出来事には常に「相手」が存在した。自分の見てきたものを誰かとのかかわりのなかで書かざるをえないのは中間支援という立ち位置の特性なのだろう。これを書いたら、どう思うだろうか? 書きながら気がかりだったのは「間違い」がないかということだった。なんとか書き上げ、おそるおそる関係者に確認を出した。返ってきたのは「そう見ていたんですね?」だったり、「自分にとっても10年を振り返る機会になった」ということばだった。書くことは自分の見方を相手に提示することだった。それは相手の見方を引き出すものともなった。本をつくることは、経験をかたちに残すことでもあるけれど、「つくる」プロセスが互いの関係を切り結び直すいい機会になるのだとも気がついた。

artscapeのメールニュースで知った保坂健二朗さんの「滋賀県立美術館のディレクターズダイアリー」を読む。その後にSNSで見かけた瀬尾夏美さんの2022年3月11日の日記(「陸前高田、名前をなぞる指先」)も読む。どちらも読みごたえがあった。noteは「記録」のため……と言い聞かせることで書き続けてきたけれど、やっぱり、ただ続けるだけでは駄目で、読み手のことを考えた文章じゃないと意味はないのではないだろうかと思ってしまう。定期的に訪れる無意味感……。

2022年5月19日(木) 市ヶ谷→谷保

ヘトヘトになる。徒労感、疲労感、無力感。甘いものを食べる。

2022年5月20日(金) 市ヶ谷→清澄白河→秋葉原

昨日の疲れが、まだ抜けない。市ヶ谷のオフィスで作業をしてから、東京都現代美術館へ。「Tokyo Contemporary Art Award 2020-2022 受賞記念展」で藤井光さんと山城知佳子さんの展示を見る。どちらも政治的な「力」を可視化し、知覚させるような作品。この2人がいま「中堅アーティスト」の「賞」に選ばれるという時代なのだなと思う。それから、3331 Arts Chiyodaに移動し、ROOM302のアーカイブの今後についてミーティング。ひとつの未来を構想する。上手くいけば、いい話なんじゃないだろうか。
「政府 マスク着用の考え方公表 屋外で会話ないなら着用必要なし」というニュース。熱中症対策としても外すことや、2歳未満のこどもには「引き続き」着用を推奨せず、2歳以上の未就学児は「オミクロン株対策が行われるよりも前の扱い」に戻すのだという。秋葉原の路上にはメイド喫茶への呼び込みの人たちが戻っていた。

(つづく)

▼ 2020年(2年前)は、どうだった?