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どれだけ新しい人に会っていないのか|6/9〜6/15

緊急事態宣言のなかで始めた日々の記録。火曜日から始まる1週間。ステイホームのリモートワーク。仕事と生活のあわい。言えることもあれば言えないこともある。ほぼ1か月前の出来事を振り返ります。

2020年6月9日(火) 市ヶ谷→自宅

Yahoo!トップニュースには「感染再拡大の兆候見られず、意識変容の結果か 宣言全面解除2週間」の見出し。4月7日、7都府県に緊急事態宣言。16日、対象地域を全国に拡大。5月4日、宣言を31日まで延長。14日、39県で宣言解除。21日、大阪、兵庫、京都で解除。25日、埼玉、千葉、東京、神奈川、北海道で解除。記事の図を見ながら、この2ヶ月を振り返る。東京都は「夜の街」関連以外はクラスターが発生していない。都幹部は「新型コロナウイルスと共存していく」と強調。ウィズコロナというやつか。
今日は30度を超える暑さ。朝から市ヶ谷に出社する。業務の評価面接とオフィスワーク。多摩美術大学美術館「真喜志勉 Turbulence 1941-2015」展の招待状が届いていた。これは行きたい。ABI(Art Bridge Institute)絡みの雰囲気がある。TOM MAX(真喜志さんの愛称)のことは展覧会の共同企画に名を連ねている町田恵美さんがABIのウェブサイトに書いていた記事で知っていた。ABIの関川歩さんにメッセージを送る。すぐに返信が来る。『ART BRDIGE』2号で取り上げた真喜志好一さんのお兄さんだった。そういえば展覧会に行きたいと思ったのは、いつぶりだろうか。知りたいことを確かめにいく。それは自分にとって美術館に行っていた理由のひとつなのだと思う。午後は在宅に移行する。

2020年6月10日(水) 自宅

終日在宅。この頃、気がつくと日記の日付や曜日を間違えている。何の兆候なのだろうか。午前にZoomのミーティングがひとつ。釜石と大阪と埼玉からオンラインで集まる。@リアス(特定非営利活動法人@リアスNPOサポートセンター)が震災以降に撮りためてきた写真を使うウェブ企画(Art Support Tohoku-Tokyo 2011→2021「復興カメラ  今月の一枚」)について話す。過去の写真を使うこと、現在の写真を撮って比べて眺めていくことを確認する。@リアスの川原さんの口から、コロナ、水俣など震災以外の出来事の名前が頻繁に出てきたことが、強く印象に残る。震災から10年。これも「節目」の効果なのだろうか。
「Art Support Tohoku-Tokyo 2011→2021」開始を知らせるブログ記事「10年目の手記」「10年目をきくラジオ モノノーク」のサイト掲載用情報の詰めを行う。今週中には情報公開。いよいよ、始まる。
「東京アラート」が12日に解除になり、ステップ3に移行する。その可能性を示唆したニュースが出ていた。これまでの展開からすれば、確実に解除と移行に進むのだろう。

2020年6月11日(木) 市ヶ谷

11日。東日本大震災から9年と3ヶ月が経つ。この日付を見るたびに何かをせねばと少し負い目を感じてしまう。忘れていないか、と誰かの声がするような。ここ数年は「震災」を入口に伝えるだけでは、本当に伝えたいことが伝わらない感覚もある。最後にそれは震災で気がついたことだったと伝えるようなやりかたが必要なのだと思う。それは震災を経験したことで他の出来事が見えるようになったことともつながっている。でも、その話法を使った途端に震災の経験を置き去りにするようで、また負い目がやってくる。
朝から出社する。暑い。オフィスの冷房が冷える。寒い。Zoomのミーティングは午前にひとつ。夕方からふたつ。係会(東京アートポイント計画のスタッフミーティング)ではメールニュースの新規登録者数が増えないことが話題に。名刺交換なんて、しばらくしていない。どれだけ新しい人に会っていないのか。
本当に気分は変わったと思う。警戒感は変わらない。それでも何をするのか、どう仕掛けていくのか、という話が急に増えた。昨日のSlackのやりとりにあった「いろいろ作業が詰まってきているかと思うので、無理せずで!」という返信が、けっこうな支えになる。
近々、出張があるんだという話を数人にきく。自分自身の移動は、まだ難しいだろうと思う。首都圏から外に出るということが。心持ちとしても。それでも羨ましさが疼く。久しぶりに自粛警察心が動く
帰り道は雨。関東が梅雨入り。「警戒」という言葉が使われていた。ここ数年で雨が続くことが災害を想起するようになった。東京アラートの解除が決定。12日午前0時からステップ3に移行。東京都の新規感染者数は22人。

2020年6月12日(金) 自宅

陰謀について。6月3日付で「福島原発の避難指示、未除染でも解除へ 国の責務に例外」というニュースがあった。Yahoo!ニュースのトップにも掲載されていた。唐突に現れてきた話に思えた。ましてや、いまは「解除」や「警戒区域」といった言葉を日常的に目にしている。もしかして、これまでのニュースは、この記事の印象を弱めるためにあったのではないだろうか。少なくとも、いま出せば他のニュースに紛れるだろうと思った誰かがいてもおかしくはない…。そんな勘ぐりをZoomのミーティングで話す。声が小さいと言われる。自宅のネットの弱さが際立つ。マイクの導入を考える。
Twitterで今日が1978年の宮城県沖地震が発生した日だと知った。揺れたとき、ベッドの上に立っていて、サーフィンみたいだった。父から聞いた話を思い出す。本当か嘘かは分からない。というか間違いなく脚色は入っている。でも、揺れの大きさは、よくわかる。その出来事は体験していないけれど、その話は体感的に覚えている。2011年以前に実家で語られる地震といえば、この宮城県沖地震と1960年のチリ地震だった。
「Art Support Tohoku-Tokyo 2011→2021」の情報解禁。アーツカウンシル東京のイベントページブログを公開。さて、これからだ。

2020年6月13日(土) 自宅

雨が続いている。断続的に大粒の雨が降る。不調。あいちトリエンナーレの名称変更が話題になっている。企画展「表現の不自由展・その後」への批判の影響で、仮称は「新・国際芸術祭」だという。ここにも、ことばの政治がある。

2020年6月14日(日) 自宅

マイク付きイヤホンを買うため、駅のほうまで出かける。バスは満員。渋滞で到着まで時間がかかる。店内も混んでいる。「密だよね」という会話が、ちらほら聞こえてくる。どこも人が溢れていた。雨が降っているからかもしれない。にしても、前はこんなに人がいただろうか。たかだか数軒の買い物に歩いただけで疲れる。体力の衰えか。無意識の気遣いか。たぶん、その両方。東京都の新規感染者数は47人。40人超えは先月5日以来とのこと。どこかで、この数字に納得してしまう。早速の家のなかでマイク付きイヤホンを試してみる。たいして音質は変わらない気がする。嫌な予感。

2020年6月15日(月) 自宅

朝から暑い。35℃を超えるという。小学校は今日から給食ありの通常登校。少し前に保育園の登園自粛も解除になっていた。noteにアップするため1ヶ月前の日記を整理していると、小学校休校と登園自粛のしんどさが滲み出ていた。喉元過ぎれば何とやら。始まりはニュースになるけど、終わるときは曖昧。梅雨みたいなものかと思う。
オンラインミーティングはなし。終日原稿をこねくりまわす。気が付けばメールよりもSlackでのコミュニケーションのほうが増えた。スレッドの追い方にも慣れてきた。
先週金曜日にリリースされた「アートにエールを!東京プロジェクト」の再募集と新たな支援事業の追加について、週が明けてから記事が目につくようになった。個人型に加えて、ステージ型も募集開始。「都内の劇場・ホール等で予定していた公演が中止・延期となった団体が、無観客や入場を制限して開催し、一定期間無料配信する公演を支援」。東京都の感染者数は48人。都は第2波に備えたワーキンググループを立ち上げた。

(つづく)