イエナプランの学校を見てきた!!
こんにちは!あおぞらです🌱
先日,世界一子供が幸せな国と言われるオランダの小学校を見学してきたので,そのまとめと,フィンランド,日本との違いについて書いてみたいと思います。
(国際比較の性質上,過度な一般化が起こっている場合があります。”フィランド/日本の教育は〜”と語っている部分が多いですが,もちろん全てがそうではないことを念頭において読んでいただけると嬉しいです。)
イエナプラン教育って?
教育に関わっている人であれば,誰しもイエナプラン教育という名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。
オランダ=イエナプラン,といったイメージを持っている人はとても多いと思うし,それもある程度正しいのですが,実はオランダ全体の学校の3%程度しかイエナプラン教育を取り入れている学校はありません。
オランダの中でもオルタナティブ教育の一部にすぎないということですね。
イエナプランの詳しい説明はここでは省きますが,
「自分や他者の良さや弱みを知り,社会で協働して積極的に活動できる大人を育てる」
ことを目的とした市民教育の一つの形です。
そのため,年齢や健常児/障害児の境界なくクラス編成が行われます。そのほかにも,対話や感情を大切にしていたり,ワールドオリエンテーションと呼ばれる教科横断型の学習スタイルを取り入れていたりします。
もっと詳しく知りたい方は日本イエナプラン教育協会などのHPを訪れてみることをオススメします。
オランダの学校を訪れてみて
オランダでは,一般の公立小学校とイエナプランの小学校,2校を見学してきました。
まず,オランダ(の小学校)の第一印象は
多様性ハンパない!!
ということです。
目で見て一瞬でわかる人種の多様性がハンパないです。
白人や,黒人,アジア人,ムスリム系の人達,など多様なルーツを持つ子供達が一つの教室で学んでいます。
先生の人種も多様だったのがとても驚きでした。
日本やフィンランドでは,子供も先生も日本人/フィンランド人がほとんどです。
そのため,多くの先生が口を揃えて言っていたのは,
多様性について教えようとしなくても,日々起こるトラブルから勝手に子供が多様性との付き合い方を学んでいく
ということでした。
そして,それが理由なのか,学校に訪れたときに多くの小学生が話しかけにきてくれました(英語で!!!)。
突然学校に来たアジア人にとても興味を持ってくれたのです。”見た目の違い”にオープンなのかなと思いました。
(フィンランド人の子供と仲良くなるのには時間がかかりました…)
そして,小学生が英語がペラペラなのもとても驚きました(また別のnoteで詳しく書きます)。
オランダ人は,自分の意見を言う(言える),ということをとても大切にしているそうです。
そのために,まずは自分の意見を言っても(人格を)否定されない,という安心感が場に必要です。
そしてフラットな関係性も必要。
そのため,対話のような場づくりでは,発言を強制することはしないし,先生の意見の方が正しいということもありません。
オランダ語には敬語もあるけど,敬語で話されることを嫌う人が多いらしいです。
なぜなら,人と人が話す時に立場や地位は関係ない,という考えが染み付いているからです。
イエナプランの学校に訪問する前にメールでやりとりをしていた時も,
「明日学校に来るときは,敬語とか気にしなくていいからね!!」
とメールをいただきました。
上司と部下も,先生と生徒も,親と子供も,人と人。
個人としてのリスペクトは必要だけど,立場はフラットです。
そして,これらは学校でも大切にされている価値観の一つです。
”先生だから”完璧である必要もない。先生も子供に授業のフィードバックを求めたり,相談することもあるそうです。
肩書きや属性(人種や性別など)を外してその人を見る,ということはとても難しいことですが,子供の頃からそれを学ぶことは,多様性を包摂する社会を作っていくために必要不可欠なことだと思いました。
ここで一つ注意ですが,自分の意見を言える,とは自分の意見を通す,ということと同義ではありません。
個人的に私は意思決定が苦手なので,みんなの意見を聞いた後に,どれか一つの意見を採用したとき,他の意見を切り捨ててしまうことにとても居心地の悪さを覚えていました。
でも,それは違う,とオランダ人の友達はいいます。
議論の中で,意見を言うのは,コミュニティとしてより良い可能性を模索するためであり,自分の意見を通すためではありません。
そのため,自分の意見を言えない空間は,居心地が悪いけど,自分の意見を言って,考慮された結果,別の意見が採用された場合には,居心地の悪さは感じないと言っていました。
そして,コミュニティの一員として平等に認められ,民主的に意思決定を行うことは,イエナプランでもとても大切にされていることです。
利己主義ではなく,個人主義。
どのように異なる人たちが心地よく共生できるかを,学校生活を通して学んでいきます。
フィンランドとの比較
さて,オランダの教育はフィンランドと比べると,どうでしょうか。
どちらの国も多様性とその包摂をとても大切にしています。
オランダが多様性への理解が進んでいるのは,納得ができます。
なぜなら多様性がとても見えやすい形で社会/教室に存在しているので,学ばざるをえないからです。
でも,フィンランドは違います。ヨーロッパの中でも移民は少ない方で,教室の中には,日本と似たような光景が広がります。ほとんどがフィンランド人なのです。
しかし,フィンランドも多様性に対しては,理解が進んでいる方だと思います。
何がフィンランドの多様性への理解を促進しているのでしょうか。
フィンランドの外の教育を見たことはその問いに少しのヒントをくれました。
オランダとフィンランドの教育で共通していたことは,
フラットな関係性作りと自分の意見を言うこと
を大切にしていたことです。
多様性を尊重するためには,自分とあなたは違うことを理解することが最初のステップだと思います。
オランダのように隣の人の肌の色が自分と違えば,そのステップはクリアされるわけですが,同じような見た目では,なかなか気付けません。
しかし,自分とあなたの違いを考慮せずにコミュニケーションを進めることは,マイクロアグレッションのようにさまざまな差別や生きづらさを生じます。
そのため,フィンランドでは,自分のあなたは違うことをさまざまな方法を通して学んでいきます。
まずは,自分を理解しないことには,相手とは比べられませんよね。
フィンランドでは,小さい時から「あなたはどう思うの?」と自分の意見を聞かれます。
自分の意見を持ち,自分の意見を伝えることを,学んでいきます。意見に正解はありません。
心地よく意見を言える環境を周りの人が作ることも大切ですね。
自分の意見を持ったら,自分と意見が違う人と対話をします。
なぜ,意見が違うのか,相手はどんなことを考えているのかをお互いに知ろうとします。
対話をするためには,フラットな関係性が不可欠ですね。
意見に違いはあっても,優劣はありません。
自分と相手は違う人間なんだと言う前提のもとで,分かり合えなさを分かろうとする。
そんな地道なコミュニケーションの先に違いが共生し,違いが恩恵をもたらす社会はあるのではないかと感じた,オランダの学校視察でした。
そしてこれは,教員のあり方次第で,日本でも真似できることではないかと思います。
フィンランド留学生活の様子は主にTwitterで投稿しているので,もし良ければ覗いてみてください^ ^
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