#ネタバレ 映画「ノマドランド」

「ノマドランド」
2020年作品
さがしものは何ですか
2021/4/5 17:20 by さくらんぼ　（修正あり）

（　引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。）

ヒロインである中年女性、どこかで観たことがあると思ったら、映画「スリー・ビルボード」のヒロイン（フランシス・マクドーマンドさん）でした。

（　 参考・黒澤監督の映画「生きる」への、オマージュの可能性がある、映画「スリー・ビルボード」　 ）

彼女は、男とか女とかを超越した魅力にあふれた名優だと思います。

これは、そんな彼女を観る映画だと言っても良いぐらい。

荒涼とした風景と、もの哀しいドラマと、たくましい彼女が一体となった、雰囲気満点の良作です。

★★★★☆

追記 （ 「アマゾン」 ） 
2021/4/5 17:26 by さくらんぼ

＞さがしものは何ですか（タイトルより）

だから、

彼女がアマゾンさんでバイトをするのは、

モチーフのワンピースなのかもしれません。

追記Ⅱ （ 分離された心身 ） 
2021/4/6 9:46 by さくらんぼ

リーマンショックの影響で、ある企業城下町が壊滅し、郵便番号さえも抹消されました。

運悪く、町と同時に夫も亡くした、ヒロインである60代の女性・ファーン。

彼女はマイカーを住処とするようになりました（彼女によればホームレスではなくハウスレス）。あちこちでバイト（ノマド）をしながら生活をするのです。

①　映画の中盤、ファーンが悩めるノマド仲間に言うセリフがあります。確か、かつてファーンの結婚式で友人から送られた言葉。要約すると「後ろではなく、前だけを見て歩け」というものでした。

②　映画の終わり、かつてファーンが夫と過ごした家に戻ってくるシーンがありました。今は廃墟です。そこに入った彼女は、荒れた室内を眺めた後、裏口から出て、そこに広がる荒野に歩いていきました。

この映画「ノマドランド」のファーンは、（残っているはずもない）夫と過ごした楽しい日々、リーマンショック前の、まだ生きていた街の面影を探して、あてもなく放浪していたのでしょう。

つまり、①彼女は前を見て歩いているつもりでも、それは体だけであり、②心は後ろを見ていたのです。

倉庫に保管していた荷物を処分したので、少しはふっ切れたのだと思いますが、その姿勢に大きな変わりはなさそうです。

追記Ⅲ （ 映画「永遠の０」 ） 
2021/4/6 9:55 by さくらんぼ

映画「永遠の０」 私のレビュー追記Ⅲ（ ああ人事異動 ）～ 追記Ⅳ （ 第１チャクラからの信号 ）をご覧ください。

心身の分断について書いてあります。

追記Ⅳ （ さがしものは何ですか ） 
2021/4/6 10:24 by さくらんぼ

「ノマドランド」の原作は２０１７年に発表されたようですから、文字通りリーマンショックのエッセンスは入っています。しかし、新型ウイルスの流行による人々の孤立は想定外だったと思います。

でも映画は、新型ウイルスという時代の空気を描いた作品として作られた可能性はあります。

さらに、２０２０年末からの時代の空気は、米国民の人気を二分するトランプさん退陣による、ファンの喪失感も重ねて見ることができそうです。

ちなみに、ファーンが求婚されても振った男性は、トランプさんよりは、バイデンさんに似てなくもありません。

追記Ⅴ （ 映画「天国にいちばん近い島」 ） 
2021/5/3 9:04 by さくらんぼ

『 少女が一人はるばる南の島へやってきて、自らツアーから離れ、「ここじゃない、ここもちがうわ」などと言いながら放浪しています。

少女は日本から遠く離れた南の島に来てまでも、実は自分の心の中を旅していたのです。

人はどこへ行っても、誰に逢っても、結局死ぬまで自分の心からは出られないのです。たまには気分転換に出たいと思っても。

そう言えば聖書か何かでこんな言葉を読んだことがあります。「君の心に指一本触れられない人を恐れる必要はない」。

そうですね、拷問をしても他人の心には直接触れることは不可能なのでした。

嬉しくもあり、恐ろしくもある現実です。 』

（ 　映画「天国にいちばん近い島」2008/7/14  by さくらんぼ より抜粋 　）

映画「ノマドランド」から、映画「天国にいちばん近い島」を連想しました。

映画「天国にいちばん近い島」で、ヒロインの目に映っていた天国・ニューカレドニアも、クライマックス以外は、映画「ノマドランド」の灰色を連想させるものだったように思います。チラシを見ると。

追記Ⅵ　2022.6.23　（　お借りした画像は　）

キーワード「荒野」でご縁がありました。美しく出口のなさそうな青ですね。無加工です。ありがとうございました

（　最後までお読みいただき、ありがとうございました。　

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。）

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