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#ネタバレ 映画「トップガン マーヴェリック」 父と子の確執の物語

「トップガン マーヴェリック」
2022年製作/131分/アメリカ
2022.5.31

( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

伝説と言っても良い映画「トップガン」(1986年日本公開)は、ご承知のとおり、公開されて約36年になるのに、いまだにドッグファイトの凄さが語られ続ける良作です。

実写撮影が多用されたせいもあってか、その後増えてきたCGを多用するアクション映画にはなかなか出せぬ戦闘機の重量感に、観客が無意識に萌えたこともヒットの要因かもしれません。

映画「トップガン」を封切りで観た私には、 映画「トップガン マーヴェリック」を劇場で観る事には、感慨深いものもありました。

映画「シン・ウルトラマン」の冒頭もそうですが、こちらもオールドファンの琴線に触れるような演出がなされており、映画が始まり、あの懐かしいテーマ曲とともに空母からの離陸シーンが見えた瞬間、「映画館に来てよかった!」と思えました。

これも一作目に勝るとも劣らぬ良作です。

週末の映画館で、缶ビールでも飲みながら鑑賞する幸福感を味わってください。

ちなみに、映画「トップガン マーヴェリック」からは映画「スター・ウォーズ」を連想しました。オマージュかは現段階では分かりません。

★★★★☆

追記 2022.5.31 ( お借りした画像は )

キーワード「宇宙」でご縁がありました。神秘的で美しい宇宙船ですね。無加工です。ありがとうございました。

追記Ⅱ 2022.5.31 ( 映画「スター・ウォーズ」 )

ならず者国家が核施設を地下に建設しているというので、米国は破壊する作戦を立てました。

このミッションは(山の谷間を飛ぶ曲芸飛行)のような技術を要求する上に、2分半ぐらいで勝敗が決定してしまう難しいものでした。

その山の谷間を飛ぶエピソードは、映画「スター・ウォーズ」に出て来るデス・スターの、赤道上の谷間を飛ぶエピソードを連想させます。赤道上の谷間を飛んで、デススターのへその様な穴にミサイルを入れるというアレです。

そのエピソードを思わせるようなシーンが、映画「トップガン マーヴェリック」にもありました。

しかも、ミサイル誘導用のレーザー誘導装置が壊れ、射手は勘(フォース)で発射せざるを得なくなるのです。

父と子の確執の物語で、しかも、クライマックスの攻撃シーンまで似ているので、他にも記号はないかと探しました。

そうしたら・・・

映画の冒頭、マーヴェリックがマッハ10の新型機の試運転をするエピソードがありましたが、調子にのって10以上出して、火災が起きてしまうのです。その後、なんとか地上に帰還できて、住民に「ここはどこ?」と聞いたら、「地球」と教えられたのです。この「宇宙レベルの会話」、今思えば重要記号ですね。

頭がクルクル動く「R2-D2」 → 頭がクルクル動くレーザー誘導装置。 両方とも途中で故障します。

「C-3PO」 →  レイア姫みたいなパイロットとペアになる射撃手。トップガンのメンバーに似合わぬ、一人だけ少々ピエロ的なキャラでした。

スターウォーズの冒頭で若き日のハリソン・フォードさんが射撃手になっていた、クルクル回転する大砲の様な武器 → クルクル回転する迎撃ミサイル発射装置。

他にもあるでしょうが、とりあえず思いつきましたので。

追記Ⅲ 2022.5.31 ( 映画「スター・ウォーズ」② )

これも想像ですが、映画「スター・ウォーズ」(1977年公開)に影響を受け、映画「トップガン」(1986年日本公開)が作られた可能性は無いでしょうか。

スター・ウォーズがCGの凄さを売りにしていたとしたら、トップガンは実写の重量感を売りにして。

この時はまだ良きライバルというか、対抗意識に燃えていたのかもしれませんね。目論見通り、実写のすごみでトップガンも伝説の映画になりました。

そして今回、オマージュ的な色彩をさらに強めて、映画「トップガン マーヴェリック」が生まれたとしたらどうでしょうか。

対抗意識に燃えていた前作と違い、オマージュ的な色彩が強くなったことが、(父と子の確執と和解という物語に昇華)されていても不思議ではないような気もします。

今回の映画「トップガン マーヴェリック」が、実写で再現した映画「スターウォーズ」に見えてきました(もちろん映画「トップガン」と共に、CG等がゼロだとは思っていませんが)。

追記Ⅳ 2022.5.31 ( 映画「スター・ウォーズ」③ )

では、「ライトセーバー」はどこでしょう。空中戦の映画だから地上戦の刀は無いのでしょうか。

そんな事を考えていましたが・・・

それにしても、戦闘機が離着陸する空母の甲板に、戦闘機のキャノピーみたいな、四角いのぞき窓が目立つこと。映画の冒頭などに、これ見よがしにアップになるのです。

あれは、何となくダース・ベイダーのヘルメットというか、マスクを連想させます。

もし、あれがダース・ベイダーの記号なら、甲板に張られたロープは彼のライトセーバーでしょうか。光らない? ジェットエンジンの炎が光るから勘弁してください。

着陸する戦闘機のフックもライトセーバーなら、両者は火花を散らす真剣勝負をしている構図にもなります。

追記Ⅴ 2022.5.31 ( ジャケットに戻ってきた日章旗 )

映画「トップガン」では、主人公・トムが着ていたフライトジャケットに日章旗があって日本人を喜ばせましたが、かつて、映画「トップガン マーヴェリック」の予告編では消えていました。

当時、「中国に配慮したのでは」との声があがりましたが、本編では、映画の前半に、アップにこそなりませんが、しっかりと日章旗を見せてくれました。ニンマリしたのは確かです。

追記Ⅵ 2022.6.1 ( 「考えるな行動しろ」 )

36年前の映画「トップガン」では、マーヴェリックの天才的なドッグファイトに驚いた教官が、「考え方を教えて欲しい」と質問すると、マーヴェリックは「考えていない。考えていたら負ける」と即答するエピソードがありました。

そして今、映画「トップガン マーヴェリック」での、マーヴェリックの口癖は、「考えるな行動しろ」だったのです。

どうやら「考えるな行動しろ」は、この二作の基調低音のようなものかもしれません。

もちろん物事には熟考が必要なものもありますが、この場合の「考えるな行動しろ」は、そんな基本の話ではなく、そこを卒業した人への、もっと高次元の話でしょう。

身近な例で言えば、ブラインドタッチで、意識して指を動かす練習から、無意識で指が動く次元に移行するようなものかもしれません。基本が出来ているからこそ出来る、最終形の技能です。

映画「トップガン マーヴェリック」では、その「考えるな行動しろ」を攻撃作戦の物語に昇華していたようです。

曲芸飛行のように高速で谷間を飛び、敵の、へその様な一点の穴に、ミサイルを複数撃ちこんで帰還する。

この間2分半ほど。

タイムリミットは秒単位で決められています。

失敗してもUターンして再攻撃している時間はありません。すぐに敵の反撃が始まりますから。

レーザー誘導装置が壊れたら、フォースに頼るしかありません。信じる信じないではなく、信じるしか道が無いのです。

この、考え過ぎず、タイムリミットを決めて行動に移すという習慣は、時に、私たちも必要なのかもしれません。

追記Ⅶ 2022.9.30 ( 映画「栄光のル・マン」に観る対照的な美学 )

①映画「トップガン マーヴェリック」の宣伝がネットでも流れてくるようになりました。繰り返しそれを観ている内に、ふと、②映画「栄光のル・マン」を思い出しました。

同じ「天才ドライバー」でありながら、二人の主人公の描き方は対称的です。

①は日陰者がヒーローになる話であるなら、②はヒーローが日陰者を演じ切るお話です。

②でも、ヒーローとして表彰台に立てるチャンスがあったのに、彼は立場をわきまえたのです。そのせいか、米国人にはあまり受けなかったようですが、多くの日本人は、そこに男の美学を見たのでした。

ラスト、群衆の中、主人公たちのスローモーションが泣かせました。


( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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