#ネタバレ 映画「マスカレード・ホテル」
「マスカレード・ホテル」
2019年作品
バディは替わるもの
2019/2/4 18:15 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
「 お父さんが観てきて、スッゴク良かったから、行って来いって … それで観に来たの。良かった! 」。
ロビーで聴いた、若い女性たちの話し声でした。
確かに、手慣れた感じがして安心して楽しめました。長尺ですが、眠くなることもなく最後まで。
ただ、満員で前から二列目に座ったので、画面はゆがんで見えるし、首は痛くなるし…。
でも、それでも観て良かった映画です。
★★★★☆
追記 ( ヒロインの告白 )
2019/2/5 9:46 by さくらんぼ
中盤に、誰かのこんなセリフがありました。
「グループの一人が、他のグループの誰かと、人知れず親しくなっている事がある」みたいな。
それを聞いた、ホテルのクラークであるヒロイン・尚美(長澤まさみ)は、後輩クラークとして潜入捜査をしている刑事・新田(木村拓哉)に、嬉しそうに話すのです。
あのとき尚美は、内心密かに、「自分が新田とコンビになっている事を喜んでいた」のだと思います。それは無意識にですが、事実上「好き!」と告白したも同然なわけです。
そして映画のラスト、事件が解決して新田が去って行くとき、ロッカーにホテルの制服を返している新田の、その後ろ姿を偶然見かけた尚美は、声をかけずに通りすぎました。哀しかったからですね。
これに対する返礼も、映画のラストにありました。
いよいよ新田がホテルを去って行くとき、支配人と尚美が見送るのですが、そのとき新田が、「今度は客として来ても良いですか。そして、我がままい言っても…」と言うのです。すると、すでに勘づいている支配人は、「もちろんです。そのときは彼女にお申しつけください」と。その言葉に、はにかむ尚美。
映画の文法的には、もうこれで、ヒロインとヒーローの、ハッピーエンドが確定でしょう。
しかもその後、二人が再会し、そのホテルの高級レストランで会食するエピソードまで挿入されたのです。このために映画が10分程度長くなりました。
観客へのサービスでしょう。その気持ちは感謝します。でも、私は蛇足だと思いました。
この作品、もし、それが無ければ★★★★★をさしあげていたところです。
追記Ⅱ ( みんな仮面をかぶっている )
2019/2/5 10:09 by さくらんぼ
映画「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」のレビューで、私は「だれでも不都合なことは隠蔽したがる」という意味の話を書きました。
これは警察や、その他の公務員、犯罪事件の犯人だけでなく、民間人にとっても当てはまることだと思います。
刑事の新田は、今まで犯罪者だけが仮面をかぶっていると思っていましたが、ホテルマンとしての修行もした事で、世界が違って見えるようになったのです。つまり、(潜入捜査をしている新田自身も含めて)その他大勢の善人たちも、みな仮面をかぶっている事が見えてきたのです。
その重要なシーンが、あのラスト10分にもありましたが、これは、例えば「新田が尚美と別れ、ホテルの外の、雑踏に入った時にでも、一瞬挿入すればことは足りた」と思います。
追記Ⅲ ( 新約聖書の言葉 )
2019/2/5 10:17 by さくらんぼ
第7章
7:1 人をさばくな。自分がさばかれないためである。
7:2 あなたがたがさばくそのさばきで、自分もさばかれ、あなたがたの量るそのはかりで、自分にも量りが与えられるであろう。
7:3 なぜ、兄弟の目にあるちりを見ながら、自分の目にある梁を認めないのか。
7:4 自分の目には梁があるのに、どうして兄弟にむかって、あなたの目からちりを取らせてください、と言えようか。
7:5 偽善者よ、まず自分の目から梁を取りのけるがよい。そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目からちりを取りのけることができるだろう。
( ウィキソース 「マタイによる福音書(口語訳)」 第7章より抜粋 )
追記Ⅳ ( お父さんの気持ちは )
2019/2/5 10:40 by さくらんぼ
>「 お父さんが観てきて、スッゴク良かったから、行って来いって … それで観に来たの。良かった! 」。(本文より)
この時のお父さんには、きっと、こんな気持ちもあったのでしょう。
「一流は一流を認める」、「一芸に秀でた者は、他の事への理解も早い」みたいな。
つまり、異業種であるクラークと刑事が、同じ舞台で切磋琢磨し、新たなる高みに登って行く姿は、仕事に対する姿勢を学ぶ上でも、参考になるのではないでしょうか。
追記Ⅴ ( 「コンピューター」 )
2019/2/6 9:25 by さくらんぼ
コンピューターの中には、人間の脳にあたる「CPU」と呼ばれる部品が入っています。「CPU」は四角くて、周囲にはムカデの足のように、多数の電極がでています。
画像のリンク https://economoto.org/illust/2679/
映画「マスカレード・ホテル」のチラシの写真、あの四角い構図は、「CPU」の記号だったのかもしれません。
この映画は、コンピューターの「ファイアウォールとセキュリティソフト」を、「クラークと潜入捜査官」に置き換えていたのでしょうか。
変装した犯人は、「トロイの木馬」と呼ばれるウイルスのようなもので、数字羅列の犯行予告は、「01011001…」みたいなデジタル信号の記号だったのかもしれません。そして、紙の上に置いた文鎮の向きがゆがんでいると、すぐ直すクラークは、アナログではなく、デジタル思考の記号でしょう。ちなみに部屋はファイルで。
つまり、映画の深層において、「マスカレード・ホテル」とはコンピューターだったのかもしれません。だとしたら、あの二人がベターハーフになるのは必然なのですね。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)
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