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#ネタバレ 映画「ヴィレッジ」

「ヴィレッジ」
2004年作品
女性たちのロングスカートも魅力的
2004/9/13 22:03 by 未登録ユーザ さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

( 映画「サイン」と映画「ヴィレッジ」について書いてありますので映画を未観の方はご注意ください。)

これは映画「サイン」と兄弟の関係にある作品だと思いました。

あの映画については過去に色々書きましたが、結局のところ映画「サイン」は「マスメディアに秘そかに忍ばせたシグナルで情報操作される事の恐ろしさ」を描いていたと思いました。「サイン」とはその「シグナル」をシンボリックに表現したものだったのでしょう。

空からやってくる宇宙人は電波(情報)でもありテレビ等の受信機の暗喩でもあります。アルミ箔の帽子がオマジナイになるのは電磁シールド(電波を防ぐ)だからです。学校で目撃された宇宙人は無垢な子供への脅威を、水で退治される宇宙人はテレビが水に弱いからだと思いました。

さて、今回の映画「ヴィレッジ」では外界と隔絶して「無垢なまま生きる事の難しさ」を描いていたようです。映画「サイン」で描かれた「情報の暴力」だけではなく、こんどは「肉体への暴力」も脅威として加わっていました。

自然保護区の中、飛行機も飛ばないところで無垢に育つ子供たち。

しかし、その楽園を作った大人たちは無垢ではありませんでした。

大人たちは子供たちを守るという大義名分で情報操作をしていたのです。どこに行っても情報操作からは逃れられないのでしょうか。都会の穢れに傷つき逃れてきた人たちなので気持ちは分からぬではありませんが・・・しかし、その楽園もホコロビが出始めていました。

年頃になった子供たちの中で、あるいは大人たちの中で育つ「愛」、本来美しく安全なはずのその情熱は、バランスを保つには意外にも「謀」を必要としたのです。

「握手」さえも心を読まれる心配のため、秘めたる恋をする相手とはうかつに出来ません。

しかし、ヒロインの無垢な姉は、犬の様にストレートに愛を表現して失恋します。知的障害らしい無垢な青年も、愛憎の念を抑えきれずに事件を起こします。意外にも無垢な人間が加害者になりました。

そして「素直に愛など表現して何になる」などというセリフを吐く、人生を斜に見つめたような、(無垢ではない?)寡黙な男が被害者になります。

また、彼を助けるためにヒロインは、森に住む怪物の正体を明かされ、危険な外界とも接触し、とうとう殺人まで犯す(無垢ではない?)事にもなるのでした。やはり無垢なままでは生きては行けないのでしょうね。

2本の映画とも陰に隠されたテーマはなかなか高尚だと思います。

しかし、けっして硬い映画にはせず、それをB級テイストで味付けし観せてくれました。

特に映画「ヴィレッジ」は宇宙人が出てこない分だけ真面目な雰囲気が漂いますので、万人受けする様に思います。人を楽しませるのが大好きなシャマラン監督が好きになりました。

追記
2004/9/20 6:28 by 未登録ユーザさくらんぼ

映画に登場したシンボル・カラーの赤色は「情熱」の色であり「性的興奮」の色でもあります。ですから怪物の赤い衣装の意味は、それが極まったひとつの姿である「嫉妬」だと思いました。

また、怪物のお面にはどこか日本の般若の面を思い出しました。

聞くところによると「般若」には「嫉妬に狂った顔」の意味があるようです。そうすると、怪物の衣装は嫉妬に狂った男の為に最初から用意された物になるのかもしれません。

怪物の事を村人は「語ってはならぬもの」と呼んでいるようです。

その「語ってはならぬもの」は「素直に愛など表現して何になる」という被害者の男のセリフにつながりました。

「素直に愛など表現しないために」は「握手」さえもしない事がありました。

「赤い色」「赤い木の実」はご法度で、すぐ始末されました。

村の指導者たちの間では「恋愛の恐ろしさ」は常識だったのかもしれません。いや、シャマラン監督が、理想郷を内側から崩壊させる脅威なるものは恋愛の力だと思っていたのでしょう。

映画の終わりごろ、森の中で嫉妬に狂った男が、怪物の真っ赤衣装を着て、ヒロインに追いつきました。

その時ヒロインの周りにも真っ赤な木の実が実っていました。

ワンシーンで表現した愛憎の一騎打ちです。

どなたかも書いておられましたが、その結末に一滴の「嘘」が混じっている事が恐ろしい事です。

一番心身ともに美しいと思っていたヒロインが、人殺しをしたことを嘘で封じ込めた事は、そして、直後に指導者達がついた嘘も、後からジンワリと効いてくる恐ろしさでした。

追記Ⅱ ( 秘境の温泉 ) 
2015/12/17 18:10 by さくらんぼ

近隣にあって、昔からときどき名前を聞く、いわゆるローカルな温泉地と言うものがあります。

ネットで見るとお湯も良いらしく、「源泉かけ流し」とか書いてあることも。さらに料理の評判も良くて、「穴場」だと評価している人もいたりします。

それで、私はさっそく近所の旅行社へ行ってパンフをもらおうとしたのです。そうしたら「申し訳ありません。弊社では契約しておりません」とのこと。

規模もごく普通なのに…業界の内部事情は知りませんが、そんなミステリーもあるのですね。

近隣の住民は、旅行社が扱っていなくとも、たいていその温泉の存在を知っていますし、ネットを見なくとも、評判が悪くはない程度のことは知っています。でも、遠方の方には、いわゆる「地図にない街」状態になっているのでしょうね。

ほんとうに、この情報化時代にも、まだ、そんなこともあるのですね。

そんな「秘境」に魅力を感じ、ネット予約で行ってみたいと思いながらも、今回はパンフに載っている宿の予約をしてしまいました。

私は、そんな小心者です。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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