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西洋医学メモ

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鍼灸師として興味があることをどんどん書いていきます。せっかくですのでゆっくり読んでいってください。よろしくお願いします!!
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血圧の基礎知識

血圧の基本概念 血圧とは、心臓がポンプのように動くことで血液が血管壁に与える圧力を指します。心臓が収縮する際、血液が全身に送り出されるときに生じる圧力が「収縮期血圧」と呼ばれ、逆に心臓が拡張して血液をため込むときの圧力が「拡張期血圧」となります。この二つの血圧は、心臓の機能と血管の健康状態を示す重要な指標です。 血圧は健康の重要な指標であり、心臓や血管の状態を示します。異常な血圧は、特に高血圧が続くと動脈硬化を引き起こし、脳血管疾患や心疾患のリスクを高めることが知られて

血液型の定義

概要 血液型は、赤血球の表面に存在する抗原によって決定されます。これらの抗原は、糖鎖やタンパク質の構造に基づいており、主にABO血液型とRh血液型に分類されます。ABO血液型はA型、B型、AB型、O型の4種類に分けられ、各型は特定の抗原の有無によって識別されます。例えば、A型の赤血球にはA抗原が存在し、O型には抗原が存在しません。このように、血液型は生理学的な特性に基づいて多様に分類され、輸血や臓器移植の際に重要な役割を果たします。 輸血において最も重要な血液型はABO血

脳機能と腸内細菌叢

序論近年の腸内細菌研究の進展により、腸内細菌と脳機能の関係が注目されるようになってきています。腸内細菌は単なる消化吸収の役割だけではなく、ストレス応答や行動特性、さらには精神・神経疾患の発症にも深く関与していることが明らかになってきました。 このように、腸内細菌と脳機能の関係は非常に重要であるといえます。この分野の研究を進めることで、様々な精神・神経疾患の発症メカニズムの解明や新しい治療法の開発につながる可能性があります。そのため、本論文では、腸内細菌と脳機能の相互作用、

慢性疼痛に関するガイドラインとその理解

慢性疼痛の定義慢性疼痛は、通常の治癒期間を超えて3ヶ月以上持続する痛みとして定義されます。この痛みは、急性の痛みとは異なり、身体の損傷や病気が治癒した後も続くことが多く、患者にとっては日常生活に大きな影響を及ぼします。慢性疼痛は、身体的な要因だけでなく、心理的な要因も絡み合っており、治療には多角的なアプローチが求められます。 慢性疼痛の特徴として、痛みの原因が明確でない場合が多いことが挙げられます。特に神経障害性疼痛や心因性疼痛は、身体的な損傷がなくても痛みが持続すること

ドーパミンのメカニズム

ドーパミンの役割ドーパミンは、快感や意欲を生み出す神経伝達物質であり、脳内の報酬系を活性化することで幸福感をもたらします。この神経伝達物質は、私たちの感情や行動に深く関与しており、特にやる気や幸福感を引き出す重要な役割を果たしています。ドーパミンの適切な分泌は、日常生活の質を向上させるために不可欠です。 ドーパミンは運動調節にも重要な役割を果たしています。特に、大脳基底核におけるドーパミンの働きは、運動の促進と抑制に関与しており、パーキンソン病のような運動障害はドーパ

セロトニンの生理学的メカニズム

セロトニンの基本概要セロトニンは、主に脳と腸で生成される神経伝達物質であり、体内の約90%が腸で作られています。腸内で生成されたセロトニンは直接脳に入ることはありませんが、脳内でのセロトニン合成に必要なトリプトファンは腸から脳へと送られます。このように、腸と脳は密接に関連しており、腸内環境が脳の機能に影響を与えることが示されています。 セロトニンは、気分の安定や睡眠の調節において重要な役割を果たします。脳内でのセロトニンは、ストレスを軽減し、精神を穏やかに保つために必要不

ノルアドレナリンの生理学的影響

ノルアドレナリンの基本機能 ノルアドレナリンは、神経伝達物質およびホルモンとして、交感神経系の活動を制御する重要な役割を果たします。特に、ストレスや危機的状況において、体を迅速に反応させるための準備を整えます。ノルアドレナリンは、心拍数や血圧を上昇させ、身体を「戦うか逃げるか」の状態に導くことで、生命を脅かす状況に対処するための生理的な基盤を提供します。 ノルアドレナリンは、ストレス反応を促進し、心拍数や血圧を上昇させることで、身体を迅速に行動できる状態にします。このホルモン

痛みの仕組み

序論慢性痛は、3ヵ月以上持続する痛みと定義され、感覚的および精神心理的体験を伴う疾患概念です。慢性痛には、上行性疼痛伝達系の機能亢進や内因性疼痛抑制系の機能低下が関与し、心理社会的問題も強く関与することが特徴です。慢性痛は、原因が明確な二次性と、原因不明で心理社会的要因に関連する一次性に分類されます。 慢性痛における心身相関の重要性を強調し、本論文の目的は、慢性痛のメカニズムと効果的な治療アプローチを明らかにすることです。具体的には、慢性痛の悪循環メカニズム、心理的要因の

オプソニンのメカニズムについて

オプソニン化の定義と機能 オプソニン化は、免疫系が病原体を効果的に識別し、排除するための重要なメカニズムです。この過程では、オプソニンと呼ばれる分子(主に抗体や補体系の成分)が病原体の表面に結合し、その病原体を食細胞による食作用のために「標的化」します。これにより、病原体は食細胞によって認識されやすくなり、迅速かつ効率的に摂取され、排除されるのです。  オプソニンは、病原体を食細胞が識別しやすくするタグのような役割を果たします。具体的には、抗体のFab領域が病原体の特定

血球の分化メカニズム

造血幹細胞の概要造血幹細胞は、骨髄に存在する未分化の細胞であり、赤血球、白血球、血小板などの血球に分化する能力を持っています。これらの細胞は、体内の血液の源として機能し、血液の恒常性を維持するために不可欠です。造血幹細胞は、特に骨髄という特殊な環境で活発に活動し、血液の生成を支えています。 造血幹細胞は、自己複製能力を持つため、持続的に血液を供給することが可能です。この自己複製は、造血幹細胞が分裂することで実現され、分裂の過程で未成熟な血球に分化していきます。このプロセスは

免疫の基本

免疫の基本概念 免疫とは、体内に侵入した異物を認識し、排除するための生体防御システムです。このシステムは、細菌やウイルスなどの病原体から体を守る役割を果たします。免疫は、自己と非自己を区別する能力を持ち、非自己を攻撃することで健康を維持します。具体的には、免疫は液性免疫と細胞性免疫の二つに分かれ、前者は抗体を介して、後者は免疫細胞を介して異物を排除します。 免疫系は、自己の細胞と異物を識別する能力を持ち、異物を排除することで感染症や病気を防ぎます。自然免疫は生まれつき

インターロイキン24の生理学的特徴

インターロイキン24の概要 インターロイキン24(IL-24)は、IL-10ファミリーに属する多機能サイトカインであり、免疫応答、組織恒常性、宿主防御、発生生成を調節する重要な役割を果たしています。特に、IL-24は炎症反応の調節に寄与し、さまざまな免疫細胞の機能を調整することで、体内のバランスを保つ役割を担っています。これにより、IL-24は自己免疫疾患や炎症性疾患の発症に関与することが示唆されています。 IL-24は、特にIL-20RA/IL-20RBおよびIL-20RB

マクロファージの生理学的役割

マクロファージの基本機能 マクロファージは、体内に侵入した異物を貪食し、病原体を分解する能力を持つ重要な免疫細胞です。これにより、体内の異物を迅速に除去し、感染の拡大を防ぎます。マクロファージは、細胞の破片や病原体を認識し、食作用を通じてそれらを分解します。この過程は、体の健康維持に欠かせないものであり、特に感染症の初期段階で重要な役割を果たします。 マクロファージは、貪食した異物をT細胞に提示することで、免疫応答を活性化します。このプロセスは抗原提示と呼ばれ、マクロフ

樹状細胞の機能とがん治療への応用

樹状細胞の基本機能樹状細胞は、免疫系の司令塔としての役割を果たし、体内に侵入した異物を認識し、他の免疫細胞にその情報を伝える重要な役割を担っています。これにより、免疫系は迅速に異物に対する防御反応を開始することができます。樹状細胞は、異物を取り込み、その特徴を覚えることで、免疫系全体にその情報を伝達し、適切な免疫応答を引き起こします。このプロセスは、免疫系が効率的に機能するために不可欠であり、樹状細胞が免疫系の中心的な役割を果たしていることを示しています。  樹状細胞は、