「不在証明」 青山勇樹
「不在証明」という詩を紹介します。
そこにいる
ただそれだけの理由であなたを愛せる
これは不遜な考えだろうか
たとえば〈たとえば〉という言葉ひとつで
あなたについて語ろうとするのは
名づけることで
それは私のなかで息衝きはじめる
不在証明とは
だから名前を消し去ることだ
名づけられないものたちは
ついに私のなかに住むことはできない
瞳 唇 肩 腕 胸
あなたのすべてについて
いったいどうして名づけることができよう
こんなにもあなたはしなやかで
こんなにもあなたはまぶしいというのに
私のなかにあなたはいない
まだ名づけられない
あなたの破片がころがるばかりだ
だから〈だから〉という言葉ひとつで
あなたについて語れないだろうか
いま
私の腕のなかで
あなたのからだが叫びをあげる
おお とも うう とも
それは私に名づけられない言葉で
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あなたの心に、言の葉を揺らす優しい風が届きますように。光と戯れる言葉のきらめきがあふれますように。