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軍隊の恐ろしさを描く映画

『ビースト・オブ・ノー・ネーション』(Netflix/2015)監督キャリー・ジョージ・フクナガ 出演イドリス・エルバ/エイブラハム・アッター


解説/あらすじ
物語の始まりは、内戦下にありながら日々の生活はまだ平和だった頃。アグーは仲の良い家族に囲まれ、たわいない毎日を送っていた。しかし、腐敗政権に対抗する反乱軍を弾圧すべく政府軍が村に押し寄せてきたとき、アグーの目の前で幸せな日常が音を立てて崩れ去ることとなる。母と幼い妹は大混乱の村から避難し、アグーは父と兄と共に村に残ることになるが、その直後政府軍の攻撃から命からがら逃げ切ったときには、たった一人で恐怖に身を震わせていた。身を潜めていた森の中で、圧倒的な支配力を持つ指揮官の率いる武装軍に見つかり、否応なしに一味に加わわることに。訓練・儀式の名の下の暴力やいじめ、指揮官の武力肯定演説が繰り返される中、気の合う同世代の友人、口のきけないストライカとの時間がアグーにとって唯一の安らぎだったが…。

アフリカの内戦での少年兵の物語。軍事クーデターで父と兄を殺され、逃げたところがジャングルのゲリラの支配地域だった。そこで捕まり殺されない為に少年兵の教育を受ける。10歳ぐらいの少年がわからないままに逆らえない状況での兵士教育。これが現実。

日本のアニメ『キングダム』とか見ていると闘うことが男のロマンみたいな描かれ方をして、戦争には犠牲は付きもの、王制への絶対主義の中での平和を描いているけどとんでもない。戦争下での現実は、一部の支配階級意外はこの少年のようにわからないまま狂気の世界を進んでいくのだ。

司令官の男に可愛がられる。それは肉体的奉仕も含んでいる。目的のためには殺人もいとわず、周りの者が次々と死んでいく中で不毛な闘いを続ける。その過程での麻薬による現実逃避、薬物依存とか呪術的な呪いとか、ある部分この映画がキリスト教側から描かれてはいるものの、恐ろしい世界だ。

やはり子供時代は自由に遊んでいられる環境が望ましい。その中での平和教育。少年兵になった少年の告白、すでに子供時代を失った老人であり、ビーストで悪魔なのは自分なのだという言葉の重み。そういう人間に誰がした。軍事政権体制を打倒するために武器を持つということ。軍事では解決しない。

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