やどかり

蓮田隆秀1961.6.16生まれ。noteを始めた日2021.3.8~。映画と読書とツ…

やどかり

蓮田隆秀1961.6.16生まれ。noteを始めた日2021.3.8~。映画と読書とツイッターのまとめnoteにしようと思います。とりあえず俳句をアップしたいな。

マガジン

記事一覧

固定された記事

「聞き書き」のスタイルを築いた森崎和江

『奈落の神々』 森崎和江(平凡社ライブラリー – 1996) ETV特集で森崎和江の番組をやっていたので再アップ。 森崎和江は、ユネスコ世界記憶遺産となった山本作兵衛の絵…

やどかり
2年前
34

水仙や一本糞の破壊力

昨日は暖かかったな。もうフリースのパーカーで良かった。半袖Tシャツの若者もいたが、そこまではまだ成れない。久々の青空も気持ちがいい。 それでも図書館からネットカ…

やどかり
1日前
10

父が偉大なのはそれを伝える娘がいるからか?

『この父ありて 娘たちの歳月』梯久美子 題名に父とだけあるが、その陰には母がいるというエッセイも多く、また父の姿も立派な父だけではなくどうしようもない父もいて面…

やどかり
1日前
17

恋恋の変な気分や猫の恋

「猫の恋」は今頃か。初春というから、すでに晩春だものな。旧暦だと思えばいいのか?このへんの季語のずれは、俳句を作るときは困ってしまうのだ。俳句は座の文芸で、季語…

やどかり
2日前
15

ディストピア小説の金字塔

『1984』ジョージ・オーウェル,(翻訳)田内志文 (角川文庫) 最初に読んだのが1983年で本屋に積まれていたことを思い出す。オーウェルは『カタロニア讃歌』とかのようなノン…

やどかり
2日前
10

シン・俳句レッスン108

スズランスイセン 「スノーフレーク」だと俳句としてはイマイチかな。「鈴蘭水仙」漢字で書くと重たい感じか。軽くするにはどうすればいいのか。句跨りで分ける。 「空真…

やどかり
2日前
13

フーテンや風俗夢見て風狂よ

まだ桜が開花してないのに出店が出ている。来週ぐらいか?今、『西行桜花』を読んでいるから桜の和歌ばかりなんだが、西行は月の歌の方が好きだった。桜と女院(待賢門院)…

やどかり
3日前
19

シン・短歌レッス124

王朝百首 「やなぎさくら」は柳とさくらなのか?枝垂れ桜を「やなぎさくら」と称しているのか、よくわからないが、塚本邦雄は詩でやなぎとさくらをそれぞれ別の色に喩えて…

やどかり
3日前
8

自分勝手な政治学

『学きほびのん 自分ごとの政治学』中島岳志(NHK出版) 中島岳志のいう「保守」というのがやっと理解出来た。フランス革命を否定的に捉えたエドマンド・バーク行き過ぎ…

やどかり
4日前
9

60年代の重いテーマをコミカル・ドラマで呼び出すマジック。

『コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話』(2022年製作/121分/PG12/アメリカ)【監督】フィリス・ナジー 【キャスト】エリザベス・バンクス,シガニ―・ウィーバー,ク…

やどかり
4日前
8

シン・俳句レッスン108

切株 「切株」は季語ではないが、富澤赤黄男の名句があった。 今朝の一句。 字余り過ぎか? 整えた。「なくて七癖」が諺だった。こういうのは良くないのだ。 もうあの…

やどかり
4日前
9

突然のビニール傘や交差点はましろ

連続記録途切れてしまった。先に日記を書かなければいけなかったのに、昨日は「シン・俳句レッスン」から始めてしまって、途中でNHK俳句を見たりして日記を付けるのを忘れ…

やどかり
4日前
10

ルバーイヤートは末法思想だった?

『ルバーイヤート』オマル・ハイヤーム 著、岡田 恵美子 編訳 (平凡社ライブラリー) 第1章 創造、この不可解なもの すでにKindleで読んでいたのだが、こちらは絵入りと…

やどかり
5日前
11

待っている春を見つめている土竜(もぐら)

二度寝するとずるずる昼過ぎまで寝てしまうのは、寒すぎるからか。もういい加減そういうことも乗り越えていかなければならないのだけど怠惰な心はなかなか改心は出来ない。…

やどかり
5日前
17

美の概念もいろいろ、人生いろいろ

『人はなぜ「美しい」がわかるのか 』橋本治(ちくま新書) 逆説的であるのかもしれない。「わかる」というのは他者と分かち合うということで、美という時間が止まった状態…

やどかり
6日前
14

短歌にとってリズムとは何か

『短歌と日本人〈1〉現代にとって短歌とは何か』 和歌の呪術的な面と恋文のような相聞的な面は、ハレ(天皇の歌)とケ(恋文の歌)のように和歌の二面性を発展させていく…

やどかり
6日前
23
「聞き書き」のスタイルを築いた森崎和江

「聞き書き」のスタイルを築いた森崎和江

『奈落の神々』 森崎和江(平凡社ライブラリー – 1996)

ETV特集で森崎和江の番組をやっていたので再アップ。

森崎和江は、ユネスコ世界記憶遺産となった山本作兵衛の絵を辿っていく映画『作兵衛さんと日本を掘る』で知った。炭鉱所で保育園を開いて女坑夫から聞き書きをして『まっくら』という本を出したというので興味を持つ。『まっくら』は絶版だった(岩波文庫で再販されるそうです)ので、さらに労働史とし

もっとみる
水仙や一本糞の破壊力

水仙や一本糞の破壊力

昨日は暖かかったな。もうフリースのパーカーで良かった。半袖Tシャツの若者もいたが、そこまではまだ成れない。久々の青空も気持ちがいい。

それでも図書館からネットカフェという根暗な人生まっしぐらという感じになった。あと生命保険のオバサンに呼び出され、再契約を勧められる。辞めようとおもったのだが、丸め込まれてしまったな。死亡保険はもういらないと思うのだが、受取はどうせ妹なんだし、妹を喜ばせるばかりだっ

もっとみる
父が偉大なのはそれを伝える娘がいるからか?

父が偉大なのはそれを伝える娘がいるからか?

『この父ありて 娘たちの歳月』梯久美子

題名に父とだけあるが、その陰には母がいるというエッセイも多く、また父の姿も立派な父だけではなくどうしようもない父もいて面白かった。齋藤史と父の関係を読みたいとおもったのだが、最初に登場したのはその2.26事件で暗殺された渡辺錠太郎大将の娘だった。最初から濃いいドラマで圧倒される。島尾ミホは『狂う人』の続編のようなエピソード。また齋藤史は短歌中心で、二人の詩

もっとみる
恋恋の変な気分や猫の恋

恋恋の変な気分や猫の恋

「猫の恋」は今頃か。初春というから、すでに晩春だものな。旧暦だと思えばいいのか?このへんの季語のずれは、俳句を作るときは困ってしまうのだ。俳句は座の文芸で、季語は挨拶と思えば納得いくのだが。

以前猫を飼っていたときはさかりがついてやたら外に出たがるので困ったものだが、母と住むことになり母は去勢手術をしたらそういうこともなくなった。さかりの時期は野獣だよな。でも恋ばかり見つめていると変になりそうな

もっとみる
ディストピア小説の金字塔

ディストピア小説の金字塔

『1984』ジョージ・オーウェル,(翻訳)田内志文 (角川文庫)

最初に読んだのが1983年で本屋に積まれていたことを思い出す。オーウェルは『カタロニア讃歌』とかのようなノンフィクションの方が好きだが、『1984』はけっこう理屈っぽいというか、通常のSF小説のようには楽しめなかった。

それは反政府組織のリーダーであるゴールドスタインの理論書がまるまる引用(これも創作だが思想書を読んでいる感じ)

もっとみる
シン・俳句レッスン108

シン・俳句レッスン108

スズランスイセン

「スノーフレーク」だと俳句としてはイマイチかな。「鈴蘭水仙」漢字で書くと重たい感じか。軽くするにはどうすればいいのか。句跨りで分ける。

「空真澄 鈴蘭水 仙の雫」五六六だとおもったが五八四でもいいんだな。17音だった。

富澤赤黄男

坪内稔典・松本秀一編『赤黄男百句』。

昭和十二年作。当時は世界大恐慌。ネオンはモダニズムの灯りだったのか。無季。

枯原のは枯野ということで

もっとみる
フーテンや風俗夢見て風狂よ

フーテンや風俗夢見て風狂よ

まだ桜が開花してないのに出店が出ている。来週ぐらいか?今、『西行桜花』を読んでいるから桜の和歌ばかりなんだが、西行は月の歌の方が好きだった。桜と女院(待賢門院)との一夜の逢瀬が桜鑑賞会で、それから女院を慕っているのだが、鳥羽院が藤原得子を后としたため女院は用済みになり出家したのだった。鳥羽院方と息子崇徳院方の権力問題で摂関家の暗躍があり、やがて武士の世になっていくのだった。西行は歌僧として宮廷時代

もっとみる
シン・短歌レッス124

シン・短歌レッス124

王朝百首

「やなぎさくら」は柳とさくらなのか?枝垂れ桜を「やなぎさくら」と称しているのか、よくわからないが、塚本邦雄は詩でやなぎとさくらをそれぞれ別の色に喩えているから柳と桜なのだろう。素性法師という風狂な人だから桜より柳が最初なのかとも思う。どちらも街路樹としてよりもやはり庭木なんだろうな。広大な宮廷の庭がにしきなりけるというような。

NHK短歌

NHK俳句の第4週は句会で面白いのだけど、

もっとみる
自分勝手な政治学

自分勝手な政治学

『学きほびのん 自分ごとの政治学』中島岳志(NHK出版)

中島岳志のいう「保守」というのがやっと理解出来た。フランス革命を否定的に捉えたエドマンド・バーク行き過ぎた民主主義は、破壊するだけだというような。それで生者のための民主主義では多数決によって決定されるので、多数決によって決定されない立憲という立場。死者たちの民主主義というか、憲法が死者たちによって形作られたので、それをないがしろにしてはい

もっとみる
60年代の重いテーマをコミカル・ドラマで呼び出すマジック。

60年代の重いテーマをコミカル・ドラマで呼び出すマジック。

『コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話』(2022年製作/121分/PG12/アメリカ)【監督】フィリス・ナジー 【キャスト】エリザベス・バンクス,シガニ―・ウィーバー,クリス・メッシーナ,ケイト・マーラ,ウンミ・モサク,コーリー・マイケル・スミス,グレイス・エドワーズ,ジョン・マガロ

似たような作品にノーベル賞作家アニー・エルノー原作の『あのこと』という映画があったのだが、フランスとアメリカ

もっとみる
シン・俳句レッスン108

シン・俳句レッスン108

切株

「切株」は季語ではないが、富澤赤黄男の名句があった。

今朝の一句。

字余り過ぎか?

整えた。「なくて七癖」が諺だった。こういうのは良くないのだ。

もうあの世しかないというような。

菜の花は他の作物の肥料になるために利用されるのだがその最終形態が宅地開発なのだろうか?という象徴句のつもり。

富澤赤黄男

坪内稔典・松本秀一編『赤黄男百句』。

昭和10年作。『天の狼』は「青空文庫

もっとみる
突然のビニール傘や交差点はましろ

突然のビニール傘や交差点はましろ

連続記録途切れてしまった。先に日記を書かなければいけなかったのに、昨日は「シン・俳句レッスン」から始めてしまって、途中でNHK俳句を見たりして日記を付けるのを忘れてしまった。だから今日は二日分の日記だった。

でも一昨日の記憶はあまりなかった。こんなにも記憶力が落ちているのか、と愕然とする。映画は昨日見たのは、『コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話』で、これはかなり良かった。その前の日に観たのは

もっとみる
ルバーイヤートは末法思想だった?

ルバーイヤートは末法思想だった?

『ルバーイヤート』オマル・ハイヤーム 著、岡田 恵美子 編訳 (平凡社ライブラリー)

第1章 創造、この不可解なもの

すでにKindleで読んでいたのだが、こちらは絵入りということで借りた。翻訳者も違うので多少訳も違うのだろう。テーマごとに詩が分けられていて読みやすくなっているのか。最初に説明コラムがあり、筆者とイラン人の親友との文化の違いについて。「第1章 創造、この不可解なもの」は浅草で日

もっとみる
待っている春を見つめている土竜(もぐら)

待っている春を見つめている土竜(もぐら)

二度寝するとずるずる昼過ぎまで寝てしまうのは、寒すぎるからか。もういい加減そういうことも乗り越えていかなければならないのだけど怠惰な心はなかなか改心は出来ない。

映画もだらだら『男はつらいよ』を観ていた。録画していたが、二回目だったので流し見程度。吉永小百合がアンノン族役だった1972年作品。

読書は俳句レッスンで富澤赤黄男を読み始めた。富澤赤黄男の一句観賞は難しいと思ってしまうのは、連句だと

もっとみる
美の概念もいろいろ、人生いろいろ

美の概念もいろいろ、人生いろいろ

『人はなぜ「美しい」がわかるのか 』橋本治(ちくま新書)

逆説的であるのかもしれない。「わかる」というのは他者と分かち合うということで、美という時間が止まった状態では他者と分かち合うことが出来ない。合理性という美は結果でしか無く、例えば野茂英雄のサブマリンが美しかったと言えばそこに勝利という結果をともなったからとも言える(サブマリンじゃなかった。トルネードだった)。合理的な投球フォームではないと

もっとみる
短歌にとってリズムとは何か

短歌にとってリズムとは何か

『短歌と日本人〈1〉現代にとって短歌とは何か』

和歌の呪術的な面と恋文のような相聞的な面は、ハレ(天皇の歌)とケ(恋文の歌)のように和歌の二面性を発展させていく。ハレ(公用的な)部分が強すぎると権力者に利用されたりもする。そして戦後に「第二芸術論」が出て和歌のリズムが奴隷の旋律と言われたりする中で、戦後は七五調のリズムをどう崩したりしていくかでモノローグ的な短歌も増えていくのだが、一方で俵万智が

もっとみる