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6月10日「ベーマガの思い出」

今日6月10日は「マイコンBASICマガジン」の創刊日だと言うことらしいので、今日は「マイコンBASICマガジン」略して「ベーマガ」の思い出を語ろうと思います。

あれはいつだったか、「ラジオの製作」という名前の月刊誌を買ってもらったのをおぼえています。父親に本を買ってもらうくらいの年齢だったのでしょう。

外国のどこかの港、巨大なチーズの丸いかたまりがいくつも積み重ねてある、その鮮やかな黄色が印象的な表紙でした。

そんなチーズの写真を見るのもはじめて、「ラジオの製作」に書いてあることの9割以上はちんぷんかんぷんでした。まだハンダごてを握ったこともないころです。アマチュア無線とか、ハンディ無線とか、海外ラジオとか、そんな話題や機械が載っていたと思います。

わたしの目当ては、この「ラジオの製作」についていたミニ冊子、「マイコンBASICマガジン」でした。

「マイコンBASICマガジン」に載っているのは、ほとんどがプログラムリスト。数字と英字と記号の連なりが何ページにもわたって掲載されています。「ラジオの製作」の本文以上にわけがわからない、読もうにも読めない代物でしたが、読めなくてもわたしにはわかっていることがありました。

「ここに載っているリストをがんばってマイコンに入れたら、ゲームができる」

ベーマガは、読者投稿のゲームプログラムが、さまざまなマイコン・パソコンの機種用のゲームプログラムが、所せましと掲載されている雑誌付録なのでした。

PC-6001というパソコンのスイッチを入れて、

リストとテレビ画面を何回も見比べては、ぽちぽちとキーを押していきます。

何時間もかけてすべてのリストを入力しおえたら、実行RUN

待望のゲームができたときの達成感はものすごいものがありました。

ゲームはものすごく奥深くて面白いものもあれば、単純すぎてつまらないものもありました。それでも、プログラムが掲載されているということはいろんな楽しみ方ができるということでした。

敵のビームが強すぎると思ったら、乱数を変えて撃ってくる頻度を減らしたり、自機のはじっこにビームが当たっただけならセーフにしたり。

簡単すぎてつまらないのなら、敵を強くすることだってできます。音を変えたり、自機の絵を変えたり、得点を10倍にしたり、出てくるテキストをアホな文章に変えたり……

他の機種のゲームは遊べないので眺めるだけなんですが、それでも画面写真やストーリーを読むだけで、いったいどんなゲームなんだろう、とわくわくしたものでした。時にはリストを読み解いてゲームの内容を知ろうとしたりもしました。

評判のよいゲームは、別の投稿者によって別の機種に移植されたりもしていました。

もう少し自分に根気やセンスがあったら、ゲームを作って投稿していたかもしれないのですが……もしあのころに投稿していたら、いまごろはゲーム製作の道に進んでいたかもしれません。

やがてベーマガは単独で発売されるようになり、「プログラム投稿雑誌」としてぶいぶい言わせるようになります。

わたしが、自分の小遣いで買えるようになったのはそれから何年か後になりました。

プログラム投稿雑誌なのですが、その他の投稿も広くうけつけているのが非常に身近に感じていました。4コママンガやイラスト、雑誌の欄外に設けられたコーナーには読者からのおたよりがびっしりと載っていました。

プログラム情報も満載なのですが、その時のパソコン少年が興味持ちそうなことは、エッチ方面以外は貪欲に紙面に載せていく編集方針に好感を持っていました。ファミコンゲーム攻略も載るし、ビデオゲームも載せる。コンピュータと関係のない、ゲームブックや小説や卓上ゲームについても、わたしがベーマガで初めて得た知識はいくつもあります。

なんとなくですが、今の「インターネット」に似た雰囲気の雑誌だったと思います。

パソコン通信やインターネットが全盛になってくると、「リストを打ち込む」という行為自体が「通信でダウンロードする」に取って代わられてしまい、屋台骨の「プログラム投稿」自体が縮小してしまいました。

わたしもインターネットに夢中になっている間は、ベーマガのことをすっかり忘れていた、そんな状態だった気がします。

ですが、わたしを構成する雑誌のひとつだと、今でも思っています。

記念日おめでとうございます。すばらしい雑誌をありがとうございました!

以上、ここまで読んでいただいて、ありがとうございました!

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