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丸っとした自信と脳

自信に関する数多の研究がある。日常における自信って、具体的なタスクやスキルに関する自信というのもあれば、なんとなく自分全体の自信みたいなもののどっちもある。

しかし、多くの研究は具体的なタスクを与えて、どちらかというと具体的なパフォーマンスに対する自信を取り扱うことが多い。では、自分の存在丸っとしたタイプの自信は、どんな脳の機能によってもたらされるのか?

いずれにしても、自信と言っても、具体度の高いものから抽象度の高いものまである。それぞれにおいて、脳の使われ方は違うのか?そんな研究が、2020年にUniversity College Londonさんによって行われた。

具体度の高い自信に関しては、主にfrontoparietal networkというネットワークが主なのだが、抽象度が高まると、ventromedial prefrontal cortex (vmPFC)と precuneusという脳部位も活用されることが示されている。

面白い!というか、今までの脳のナレッジのコンビネーションで立てていた仮説がそのまま現れている感じ。

vmPFCは、いろんな価値判断なんかで活用されることが知られていて、価値判断できるというのは、それまでにその情報に関する感情的良し悪しを繰り返している、その帰結。強い記憶の足跡の反応として、vmPFCにパターン学習されていると考えられている。今回は、自分に関する価値判断なので、当然活用されうると。

そしてもう一つのprecuneus(楔前部)は、基本的にself、自分に注意が向いている際に活動しやすいことで知られている。だから、当然自信に関しても反応するのは、わかりやすい。

それはそうなんだけど、ぼくが勝手に面白いなぁと思ったのは、具体的なパフォーマンスジャッジには、これらがあまり使われていないという点。むしろ、frontoparietalネットワークが主に働き、自分に注意を向けるというよりも、起こっている事象や現象にフォーカスを当てて、自己評価しているような感じ。

これは一般的な学習モデルとも親和性が高そう。自己についての、いろんな自他によるフィードバック、価値づけなどは、まずfrontoparietalネットワーク(セントラルエグゼクティブネットワーク)によって個々の事象から自己の評価を学習していく。自分に関する点の学習が進む。

そして、よく振り返りとかでやる、より長い時間軸で、自己を見つめ直すのは、より自己の情報を俯瞰的に捉えて、点を結ぶ作業。前者と後者で脳機能は違うということ。自信を育むにせよ、自分をより知る、学ぶにせよ、前者だけでなく、やはり違う脳機能の後者も意識的に活用することは重要だろうし、意識しないとなかなか使われないだろう。

だからこそ、世の中でメタ認知が大切と言われることもここに通じるんだろうなぁとも。うん、まだまだいっぱい書きたいこともあったけれど、今朝出会ったこの論文さんは、自信といっても、具体と抽象があり、それぞれ脳機能、ちゃうよーということをしっかり押さえておくことを学ばせていただきました。

Rouault, M., & Fleming, S. M. (2020). Formation of global self-beliefs in the human brain. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 117(44), 27268–27276. https://doi.org/10.1073/pnas.2003094117

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