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アハ体験と脳

テレビでよく見かける「アハ体験!」。神経科学的には、どんなことがわかってきているのでしょう?

難しい問題、創造力を要する問いに向き合い、、、「ぐぅお〜っ」ってなるんだけど、ある瞬間、「Aha!」と、その解であったり、道筋なんかが閃いたり、思いついちゃったり。

古くは、数学者として有名なアルキメデスが、お風呂で「Eureka!(ユリカ)」と、「見つけたぜ!」的に叫んだこと、その閃きの瞬間を、Eureka! MomentとかAha! Momentとか。

Unknown author, Public domain, via Wikimedia Commons
Greek philosopher Archimedes in his bath - 16th Century carving.

誰しもが大なり小なりアハ体験を経験してるはずです。クイズ番組なんかでも、「あ〜わかった!閃いた!」って瞬間がありますよね。けど、その瞬間のその不思議な体験が、脳のどんな仕組みであるのかってことは、なかなか語られることが少ない。ので、チェキラしたくなっちゃいました。(2018年のMartin Tikさんらによる論文より)

まず結論から言うと、アハ体験は、めちゃくちゃ大事!ですから、皆さん「アハアハ」いっぱいしましょう。アハアハアハァハァハァ、、、なんかやばい感じにもなっちゃいますが、アハ体験をいっぱい経験する人は、集中力や記憶力なんかも高めちゃう可能性が高いと推定できます。

これまでも幾つか、アハ体験の脳の活動のあり方がメンションされてきていましたが、そのほとんどが、大脳新皮質の活動性で、側頭葉とか前頭葉の機能が活用されるというようなもので、それはある意味、難題を解いていれば、それはそうだよねというような感じでした。主に認知処理的な側面の研究が多かった。

けど、Aha!ってなってる時って、そんな認知処理というよりも、それにまつわる感情的、情動的な特徴ある反応を感じませんか?認知面(cognitive)だけでなく、むしろ感情面(affective)に特徴がありそう。というわけで、Martin Tikさんらは、脳の表層的な大脳新皮質だけでなく、より深層の大脳辺縁系、中脳などの活動まで目を向けました。

そしたら、やっぱりそこに大きな特徴が出てきました。ドーパミン放出で有名なVTAという脳部位の活動性。その照射先である、NAccや海馬などの活動との関係性、加えて今まで注目されてた認知的部分への作用などが見えてきたのです。

この論文では、詳しくは考察されていませんが、これまで僕が学んできたことと統合すると、このAha!体験に伴うドーパミン性は非常に高くて、我々の学習力、集中力などをボトムアップ的に育む、まさに脳トレになりうると言えそう。

気になるお題に対して、好奇心をもって臨むことによるドーパミン。加えて、解を見出した時にも報酬系としてのドーパミン。これは、難題に前向きに自発的に臨んでいる時、その一定のプレッシャー(ストレス)がかかっており、そこからの解放、それを報酬として、脳にその心地よさを学習させる仕組みが働いていると説明する神経科学者もいらっしゃいます。

ドーパミンは、多くの実験で記憶定着、集中、時には挑戦する確率などを高めたりという効果が知られています。その脳を多く活用する習慣がある人は、その脳回路を使いやすくなるといえ、普段の学習やパフォーマンスにも貢献しうると推察されます。

ということは、普段からクイズを解けばいいってこと?となるかもしれませんが、そう単純でもない。いわゆる脳トレゲームと一般応用との間には、その能力を実際に活かすための、トランスファーエフェクトというものが存在し、活かすことをちゃんと意識し、設計しないと、クイズだけ解けても、実際には活用しづらいと言われていました。

しかし、だけどもだけど、クイズなどによってもAha!な体験をすること、Aha!の脳サーキットを日常的に、活用することは、ドーパミンネットワークを高め、好奇心などを育み、クイズ以外のことにも、興味や関心、好奇心を働かせ、学びが加速する脳になる可能性も否定できません。

学校でも、お勉強文脈でも、うまくAha!体験をデザインし、興味を駆り立て、知る楽しさ、学ぶ楽しさ、探求する苦しさと共に楽しさを学ぶこと、教育に必要な一つだろうなぁと改めて感じました。

詳しくは存じ上げませんが、メディアなどでも注目されている探究学舎さん、ワンダーラボさんは、その点をうまく活かされているのかなぁと感じました。

もちろん、クイズなどが全てではないですが、クイズをきっかけに、Aha!の表面積を増やし、学びをどかっと支えるドーパミンネットワークを育むことも一つの学びのあり方かなぁ、、、とそこから自発的に、自己の好奇心によって自分自身で、問いをみいだし、自分の内側に自分でクイズするようになる。そんな学びのフローを妄想して、ワクワクするのでした。

The important thing is not to stop questioning. Curiosity has its own reason for existing.
大切なことは問うことをやめないこと。好奇心はそれだけで存在意義がある。

Albert Einstein

いろんなことに、Aha!していきましょー!いろんなことにAha!できちゃう脳って素敵です♫


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