ちょっとお高めのタンブラーが教えてくれた事
僕はおいしい物を食べることが大好きです。
そして、おいしい物と一緒にお酒をいただく事も、また大好きです。
夕食を食べながら、のんびりとお酒を飲む―
それが一日のちょっとした幸せ。
量はたくさんじゃなくて良し。
お酒も、高い物でなくて良いのです。
餃子にはビール!
お蕎麦には日本酒!
チーズにはワイン!
その時その時の食事にあったお酒をいただくのが、好きなのです。
癒しの時間の相棒
以前は、楽天で買った琉球グラスで晩酌をしていました。
何かの記念日にプレゼントで買ったペアのグラスです。
綺麗な色味で、なかなか味もあって気に入っていたのですが、先日、うっかり割ってしまいました。
仕方なく、ここしばらくはガラスのコップを使用していたのですが なんか味気ない・・・。
お酒の中身は一緒なのに、いまいちテンションが上がりません。
新しいコップを買おう
そんな折、散歩で立ち寄った梅が丘の駅前で、
食器の販売市に出くわしました。
そこでふと思いついたのです。
そうだ。新しいコップを買おう!
「おちょこ」や「ぐいのみ」だと日本酒には良いけど、ウィスキーやワインを飲むには小さいから「タンブラー」にしよう!
我ながら、休日の午後にふと思いついたにしては
ちょっと小粋なナイスアイディアではないでしょうか。
実は以前、散歩中に見かけて気になっていたお店が近くにあったのです。
豪徳寺の駅近く。小さいながら、洒落た器がたくさん並んでいるお店―
それが「うつわのわ田」さんでした。
前回は、世田谷線沿線沿いをず~~~っと歩くぞという企画?中にお店を見かけたのですが、その時は何せ散歩中でしたので、陶器は荷物になるな・・・と思って眺めるだけで終わったお店でした。
でも今日は「タンブラーを買うぜ!」という確固たる目標が定まっていたため、意を決して再訪です。
やっぱり洒落てるなぁ。
〇〇焼き、××焼きとか、
まったくわかりませんが、何か高貴な雰囲気を醸し出しています。
ええい!よくわからんがこれにしよう!
色味も、模様も、それっぽい雰囲気があって、味がある気がする・・・!
と、琥珀色のタンブラーをチョイス。
「これくださいな」と、お会計をお願いすると
「ありがとうございます」と、店主さん。
器を包んでくださる店主さんの隣で、奥様が何やらガサゴソと棚を開けて探し物をされている様子。
なんだろう?と思ってみていると、一枚の紙を取り出して器と一緒に入れてくださいました。
「この器は、大分で焼かれたんですよ。
山の中にある10軒くらいの小さな集落で、電気を一切使わないで、水車で臼を挽いて、ろくろを回して。
職人さんが1個1個焼いたものの一つなんです。」
おおおおおお。
なにそれすごい。
普段、何気なく使っている食器にそんな物語があるのか。と思わず感動。
「ありがとうございます。大事に使いますね」
と店主さんにお礼を告げて、お持ち帰りさせていただきました。
物の価値とは
店主さんが添えてくださった紙によると、このタンブラーは大分県の山あいに位置する皿山地区で作られた「小鹿田焼き(おんたやき)」と呼ばれる焼き物だそうです。
初めて小鹿田に足を踏み入れた時、あまりの美しさに息を吞みました。
豊かな緑、静けさ、集落を流れるせせらぎの清らかさ、時が止まっているのではないかと思うほどでした。
そして、その中で陶土を焼く唐臼の音だけが時を刻んでいました。
うーむ。そうか。このタンブラーは九州の土から生まれて、雄大な川の流れの力で作り上げられたものなのだなぁと思うと「なんとなく立派そうな器」の背景に、ストーリーが見えてきます。
最近では、楽天でもおしゃれな食器がお手頃な価格手に入りますし、セリア、3コインズといった格安ショップでも品質の良い商品を買うことができます。
しかし、こうして、遠い地の職人さんが、世代を超えて脈々と受け継いできた技術で作ってくださった器だと思うと、心なしか器に満たされたお酒が2割増しくらいおいしくなった気がするのです。
高価な物を買うということは、ただ物質を買うのではなく、その背景、バックボーンを買う事なのだなと教えていただいた日曜日でした。
遠い九州の地、大分に想いを馳せ 今夜も乾杯
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