#1 律儀なほどすみやかに、わたしから離れてゆくものごとについて。
ほとんどのすべてのものごとは、
忘れ去られてゆく。
日々の慌しい生活がみんなの心を占領し、
多くの大事なことたちが、
冷えてしまった古い星のように、
意識の外へと悲しげな面持ちで去ってゆく。
ふと我にかえったその刹那に、
どれほど尊さを、
どれほど美しさを、
どれほど愛おしさを、
見つけたのだとしても、
それらはまた等しく、
律儀なほどすみやかに、
そうして流麗に、
わたしからスイスイと離れてゆく。
そんな車窓に流れるような日常に潜むきらめき。
今となってはもう掴み所を探すこともなく、
ただただその一瞬の豊穣に間に合うよう急いで、
心をさらしてみたり。
「あゝ、素敵 」とその後つぶやけるだけの健やかな潔さをもって。
万事は始まりと終わりのひと揃い。
それでも終わるからこそ価値があり、
前に進んでこそ、
人生は長く感じられるのでしょうから。
2023/6/12 冷房が効きすぎた職場より セス・プレート
追伸
雨は好きだけれど、梅雨は洗濯物が干せませんよね。
ほんとに大切だと思うものを時折改まって大切だと考えてみる、
そんな時間が幼少から気ばかり多いわたしをシンプルにしてくれます。
そのあとにちょっと目の奥が熱くなって、よく眠れますのです。
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