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【税理士がズバっと指摘する】資金繰りが苦しいからって損益計算書ばかり眺めていても何も解決しないよ。見る資料を間違えているよ。というお話

梅雨入りですね。植物が生き生きと輝く季節です。
雨が降っている時に畑は耕せない。と、私は良くお話します。経営改善は晴れか曇りの時にしかできません。雨が降っている時は資金繰りに窮していて、正常な判断ができなかったり、目の前の現金に飛びついてしまったりします。当たり前ですが…。

さて、前回
資金繰り苦しいからって損益計算書ばかり眺めていても解決しないよ。
とラストに書きました。
資金繰りの質問を受ける事めっちゃ多いです。我々税理士ですら、以下のように答えてしまう人は多いです。

クライアント「どうすれば資金繰り良くなりますかね?」
税理士「もっと売上出しましょう!」

こんなやりとりね。
これは完全なる間違いであると指摘します。なぜなら、損益計算書は、会社のオカネの流れを表すものではないからです。
売上増えるとむしろ資金繰りは悪くなります。

唯一の例外は、売上を全額現金でその場で受け取っている場合(クレジット不可のラーメン屋さんとか?)のみです。その場合は、売上をあげましょう。の指摘が間違っているとは言い切れません。

まだ読んでいない人は ↑ このnoteを見てください。
損益計算書はオカネの流れを半分しか表現していない。という事が手にとるように分かります。

断言します!
資金繰りを改善したかったら「貸借対照表」を見てください!

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貸借対照表というと難しいから図で解説します。
私の図(入金2種類、出金2種類)で言うところの、下の→(入金)矢印→(出金)を言います。
銀行や社長から借りたり、返したり。というオカネの流れです。


貸借対照表を見ると2つの解決策がイメージできます。

①銀行から借りる(資本金を増やす)
解決策の1つめは銀行から借りる事です。実に単純。500万円借りれば残高が500万円増えます。但し、返済が始まるので、損益計算書で出さなければならない利益額も増えます。バランスを考えましょう。
返済したくないのであれば、資本金を増やすという手もあります。自社のビジネスモデルをプレゼンして、出資してもらいましょう。株式として出資してもらうのが正統派ですが、プレミアを付けてクラウドファンディングするのもアリですよね。

②売掛金と買掛金の差について考える
売上とは商品販売や役務提供をした瞬間に認識されます。お客様からオカネをもらって無くても売上になる。という事です。ちょっとムズカシイな。例を挙げます。

6/10 100万円のモノをお客様にお渡しして納品書を置いてきた。
6/30 当社の決算月でした
8/31 法人税の納付期限です
9/10 100万円が入金されました

こんな商売のやりとりがあったとします。
9/10に100万円が入金された時が売上発生ではないのです。
6/10が売上の発生日になります。
簡略化するため、この1取引しかないとしましょう。6/30の当社の決算では、売上100万円 経費0円 利益100万円という決算書が出来上がります。それに伴って法人税の納付義務が30万円発生します。
8/31に法人税30万円を納付しなければなりません。100万円がまだ入金されていなくてもです。

このように、売上は発生しているがまだ入金されていないオカネを売掛金(うりかけきん)と呼びます。逆に、仕入れたけどまだ代金を払っていないものを買掛金(かいかけきん)と呼びます。この売掛金・買掛金の入出金も、私の図で言うと→下の矢印→です。


この売掛金と買掛金(一般的には売掛金のほうが多くなります)の差額こそが資金繰りのツボです。
会社の通帳の中には、売掛金マイナス買掛金の差額、を常に置いておく必要があります。売掛金500万円、買掛金100万円、であれば常に400万円を切る事のないように通帳に残高を残しておく。これめっちゃ大事です。

以上、解決策2つでした。
特に②が大事ですね。銀行は②をめっちゃ見ています。売り買いの差額、などとよく言ったりします。貸借対照表は資金繰りを考える上でベストな資料なのです。

【延長します】
ここまで一気に押さえてしまいましょう!
資金繰りを良くするために、売上あげてください!とアドバイスしたらどうなるかイメージつきますか?

そう!売掛金と買掛金の差額はむしろ開くのです。資金繰り悪化します。
今期は好調だから業績良くなるな〜という会社さんは、最初にオカネを借りないと回らなくなるのです!


長くなったのでここまで!
今日までの知識がベースになります。ここまでのベースで8割、経営が決まると言っても過言ではありません。
次回からは残り2割の話と、ベースの8割をさらに強化する多角的な話をしたいと思っています。

戦略→経営者・経営幹部が会議室で決める
戦術→戦略を現場に落とし込むとこういうアクションになるよね

という話を前々回にしました。
戦術→戦略を現場に落とし込むとこういうアクションになるよね
は4つの手があります。
次回からは、その4つの戦術について確認していきたいと思います。
ではまた!

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