11月号 「Recommended books①」
こんばんは。
夏から一気に寒くなり、「秋はどこ行った??」といった感じですが、皆さん健やかにお過ごしでしょうか??
青二才も9月に素今歩の出店、10.11月はセカンドラインの【無関心】の発足、小田急新宿にて出店と有り難く忙しい日々を送っています。
9月号・10月号と少し堅いお話をしてきましたが、今月は少しラフに最近読んだ本の紹介をしたいと思います。
読者好きの多い青二才スタッフ。青二才やセカンドラインの無関心の世界観の参考になっていたりする本もあるので、もし気になった本がいれば是非読んでみて欲しいです。
読んだ感想とかInstagramのDMで送ってくれたりするとスタッフは喜びます。笑
今月紹介する本は 重松 清さんの「きみの友だち」という本です。
https://www.amazon.co.jp/dp/4101349223/ref=cm_sw_r_cp_api_glt_i_BNH8P605A5WA3JY053WW
わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる―。足の不自由な恵美ちゃんと病気がちな由香ちゃんは、ある事件がきっかけでクラスのだれとも付き合わなくなった。学校の人気者、ブンちゃんは、デキる転校生、モトくんのことが何となく面白くない…。優等生にひねた奴。弱虫に八方美人。それぞれの物語がちりばめられた、「友だち」のほんとうの意味をさがす連作長編。
「BOOK」データベースより
誰もが経験する集団生活。私がいて、きみがいる。
「きみ」とは友だちだ。友だちにも色々な友だちがいる。
大人になってから友だちとはなにか?
悩んだことがある人もいるのではないでしょうか。
本書では謎のある人物が語り手となり、主人公である恵美を中心に、恵美を含め恵美の関係のある人たちを「きみ」と称して、それぞれの視点から「友だち」とは何かをそれぞれの「きみ」がリアリティのある経験を通して見つけ語ってくれる物語となっています。
本書の凄いところは、語られるそれぞれのお話は時系列も視点もかなりバラバラなのですが、読み進めるほどに物語が一気に収束に向かっていき、最後に謎の語り手の正体も明かされます。
時系列等がめちゃくちゃなので、難しいかもと感じるかもしれませんが、ちゃんと理解できるよう物語は収束していきますので安心してください。
そんな中心となっている主人公の恵美はどんな人物なのか?
恵美は事故をきっかけに友達を失い、体が弱くて学校を休みがちの由香と自然とつるむようになります。
由香はお人よしで、鈍感で人に気を遣ってばかり。
恵美は自分とあまりに違う性格の由香にきつく当たりますが、やがてその優しさに触れ、彼女こそが本当の友だちなのだと気が付きます。
松葉杖をついて歩く自分はすぐみんなに追い越されてしまうけれど、由香となら並んで同じ速さで歩くことができると。
そう思ってからも、由香に対する恵美の態度はあまり変わりません。
傍から見たら不機嫌そのものです。
しかし、お互いに通じ合っているものがあり、わざわざ友だちだと言う必要がないほどの絆がそこにはありました。
他のクラスメイトからすれば二人は閉鎖的で、可哀そうに見えます。
それでも何人かはあれこそが本当の友だちで、本当に満たされているのだと気が付きます。
恵美は作中、悪い意味で『みんな』という言葉を何度も使います。
個人個人は悪くないけれど、それが『みんな』になると一つの意見にまとめられ、個人の感情に関係なく、それは時として悪意に変わってしまいます。
社会で生きていく以上、特に学生という閉鎖社会の中で人の意見に合わせていくことも大切ですが、それは自分の意思を持った上でのことだと感じました。
他人は関係なく、自分はどうしたいのか。
考えさせられる一冊となっています。
恵美の発する「みんな」という単語と同じようにそれぞれの物語には繰り返し使われるフレーズが隠されていて、この繰り返し使われるフレーズが何を意味しているのかを考えながら読むとまた面白いかもしれません。
皆さんには大切な友だちがいますか?
本書を読み終えた時、自分と関わってくれる友だちの存在に改めて感謝することと思います。
一生付き合ってくれる友だちなんて僅かです。
私は自分の結婚式をする時に呼びたいと浮かんだ友だち、それが本当に大切な友だちだと思います。