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DecaGearまとめ(2020/10/29時点)

突然現れた新しい全部載せHMD

つい先日10/17にDecaGearなるHMDの情報がTwitterに流れたのは、皆様の記憶に新しいところかと思います。

私自身、次のHMD購入を検討していた事もあり、さっと目を通した時のスペックの高さやVRChat向けに製造されているという一文を見て、大変な驚きともにとても好意的に受け取りました。

VRCの運営某氏のツイートに、グッと背中を押されたというのもあります。
ただこれは後で梯子が外される事になるのですけども、それについては後ほど書きたいと思います。

まぁそれを抜いてもスペックとしてもの十二分に私の期待に沿うものでしたので、ほぼ躊躇なく$10を払ってプレオーダーをしました。


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そんな流星のごとく現れた新HMDのDecaGearについて、今まで得た情報をまとめてみようと思い、記事を作成させて頂きました。

発表当時に発売元の情報の少なさから来る心許なさと、上がり始めていた様々な指摘を理由に、少しネガティブな情報を流してしまった事もあり、公平性を保つためにこちらで訂正もしておきたいという意図もあります。

最初にお断りしておきたいのですが、私自身特にその分野に特別明るい訳でもなく、英語が堪能なわけでもありませんので、この記事の内容が間違って居る事もあるかと思います。
この記事によって損害等が発生した場合でも補償いたしかねますので、素人の日記の様なものだと思って参考程度に見て頂ければと思います。

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必要十分以上の基本性能

ディスプレイの片目解像度が2160×2160で、両目ですと4320×2160になります。1058ppi・90Hz・9.3Mpixels。このディスプレイはhpのREVERB G2と同じディスプレイを使用しているのではないか?という指摘もあります。
ちなみにquest2が片目1832×1920ですので、さらに解像度が高いという事になります。

視野角はディスコードでのQ&Aによると114度です。これは内側の赤外線カメラのスペースを確保した影響かそこまで広い数字ではありませんが、VIVE PROで視野角110度ですので特別狭いという訳でもないかと思います。

視野角が特別広い訳でもないですが、そこにこの解像度なので、その分とても高精細なディスプレイだという事をディスコードでDecaGearは強調しています。

ただ視野角について注意したいのが、レンズまでの距離で実視野角が変わるという事。当たり前ですが、顔の形状には個人差があり、レンズまでの距離が離れれば離れるほど視野角が狭くなります。
さらにメガネ等を利用されている場合はその傾向が顕著に表れるかと思います。

アウトサイドのトラッキングカメラについて、こちらもディスコードQ&Aからの情報で720P/60Hzのカメラを4点使っているようです。カバーするトラッキング視野角は225度になるようです。

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コントローラーは5本指トラッキングにも対応しており、片方のコントローラーにグリップの5本指をトラッキングする為の静電容量センサー、中指の握る力を感知する感圧センサーと人差し指のひとつのトリガー、ひとつのスティック、ふたつのボタンとメニューボタンが見えます。

ちょうどオキュラスのタッチとインデックスのナックルズを混ぜたような見た目をしていますね。

ストラップのヒモがコントローラーの尾部を貫通している事と、電池交換出来る様にフタが取れる様な構造は見えませんので、おそらく充電式になるのだろうと思いますがまだ不明です。

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オーディオ周りについてはデモムービーでも使用されておらず、どういった仕様になるのかはこちらもまだ未知数です。
個人的な予想としては、販売価格から見てミニプラグのジャックが装備されて最低限のクオリティのイヤホンでも付属するのではないか?と思っていますが、今後の発表に期待したいところです。


スタンドアローンHMD?

情報が出た当初にスタンドアローンの全部載せHMDだという情報も出ていましたが、これは残念ながら誤りで、DecaGearはスタンドアローンではなくPC接続が必要なPCVR機となっています。
標準状態ではデモムービーにもあるように、ディスプレイポートへの有線接続が必須となります。

ただし、バッテリーパック(7000mAh)兼無線通信ユニットの「DecaAir」を追加する事によって、PCとの無線接続通信を行う事が出来る様になります。
Wi-fi6(IEEE 802.11ax) をサポートしているとの事ですが、また日本では技適関連のクリアが確認出来ていませんので使用できるかがまだ不透明です。

5G通信にも対応しており将来的には描画にはクラウドレンダリングを無料で使える様になるとかならないとか。

DecaGearの販売元であるMegadodoGamesが目指すところは、そういった所も含めてのバーチャル上でのマネタイズを視野に入れた枠組み作り(彼らの間ではDecaSpaceと呼ばれている)のようですね。これはHPやインタビュー記事等でも語られています。

DecaGearの$450という驚くべき低価格についても、ここら辺にタネがあるのではないか?と個人的に考えていますが、まだまだ謎だらけですね。はい。

本体もコスパが恐ろしいぐらいに良いんですけど、バッテリ追加出来てWi-fi繋げられて後々は5Gも繋げられるこのDecaAirが+$49で付くんですから、価格設定が相場からするとほんとに安すぎます。アドしない理由が見つかりません。VIVEの無線アダプタが$300ですから、比べるまでもないですね。

今はグレーアウトされていますが、HP上の言語変更の項目に日本語がありますので、おそらく日本もマーケティングターゲットに入っていると考えるのが自然かと思います。
ぜひ日本でも無線接続が出来る様に取り計らって欲しい所ですよね。
技適が通って日本でも使用可能かどうか?でDecaGearシェアがかなり変わって来る様に思います。

あとはフィッティングとか重量バランス等も気になるところですが、まだプロトタイプが配布されていない今現在は、まったく情報は見当たりません。
DecaAirの見た目についても気になるところではありますよね。諸々細かいスペックや形状の発表が待ち遠しいところです。

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表情トラッキングとユニークな移動方法

DecaGearには内側に思いのほか大きな150度広角レンズの赤外線カメラが上下に2点ついています。それぞれ額から眉間に向けてと、鼻の下から顎までをカバーしていて、50もの表情筋をトラッキングする性能があるとの事です。
具体的には瞳や眉毛の動きやまばたき、リップシンクや口角や頬の動き等です。これにVRChatが対応するかどうかは未知数ですが、大変面白い機能だと思います。

ちなみにヘッドセットの中をカメラで撮影するために、ディスプレイのレンズの周囲に4つ、口元を照らすために2つの赤外線LEDが内蔵されています。

DecaGearがTwitterで発表された当初、VRChat運営のVRPill氏が、如何にも「VRChatに最適なHMDが発表された!」という風な言葉と共にDecaGearを引用RTで紹介しました。
かく言う私もそうでしたが、それによってこのDecaGearがもつ性能の全てが、VRChatで遺憾無く発揮されるものだと思った方は少なくないと思います。
ですが、残念ながらその期待は後からVRPill氏がツイートした「先程のツイートは個人的な意見で、公式の情報ではなく適当に呟いた事だ。」とのツイートがされる事で、無惨に打ち砕かれる事になるのでした。

ちなみにフェイストラッキングを利用してのアニメーション作成については、現在の所計画には組み込まれていないとの事でした。

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次に「DecaMove」を使った「ヒップベースナビゲーション」と呼ばれるユニークな移動方法です。
現在HMDでのプレイ中に移動方向を指定する主な方法としては、左右スティックを使っての方向転換と前進後進の組み合わせ、または視線を向けている方向(HMD基準の方向)へスティックを使って前進後進をする方法、このどちらかもしくは両方を組み合わせてとなっていますが、DecaGearに関しては移動方向の基準が腰(身体)が向いている方向に移動する事となります。

それを可能にするのが、DecaGearに付属する腰に取り付けるセンサー(トラッカー?)「DecaMove」です。これは腰の回転(身体の回転)を検知して、今は腰がどの方向に向いているのか?を検知するものになります。
これを利用する事によって、スティックで身体の向いている方向に移動しながら視線を左右や後方に送ったりする事が出来るようになります。
同じ事を現在のヘッドベースのナビゲーションでやると、歩きながら壁に突撃してしまったりするのは容易に想像出来るのではないでしょうか?
ヒップベースナビゲーション。どんな操作感なのか早く体験してみたいですね。

1点だけ気になる所としては、座っている状態でプレイしている場合です。
この場合DecaGearは視線を送っての方向転換が出来ませんから、スティックのみで方向転換をする事になるかと思いますので、スティックを操作する頻度が増えそうですね。そこら辺の対策ももちろん検討されているでしょうから、続報を待ちたい所です。

あと、フルトラッキングとの相性も気になるところです。
ディスコードにてKuntzman氏に、VIVEベースステーション等の併用で6ポイントトラッキングは出来るのか?とディスコードで質問したものの、親切な方が代わりに「おそらく出来ると思う」と答えてくれました。
いや、確証が欲しいからKuntzman氏からのコメントが欲しいなぁ・・・と思いつつ、“Kuntzman氏からは特に補足は入らなかった”ので、そういう事なんだろうと思う事にしました。



MegadodoSimulationGames(Deca)って??

ここが一番気になるところっていう方も多いのではないでしょうか?
実際見たことも聞いたこともない会社が、高パフォーマンスかつとんでもない低価格のHMDを発売すると聞けば、そんな美味い話があるのか!?本当にそんなこと出来るのか!?となるのが普通かと思いますので、これについて自分が把握している事を説明します。

【所在地】
HPに記載されている住所を検索すると、タイ・バンコクの大型コンドミニアム(マンション)でした。これはあり得る話ですが、MegadodoGames自体の所在地はGoogleMAPでは検索でHITしませんでした。(Linkedinには住所の表示はありますので、一応現地を見る事は出来ます。)
ブラジルサンパウロに開発オフィス、バンコクに生産拠点オフィス、シンガポールには小さなオフィス?(BoringOfficeとの事。Linkedinの記載上はこちらがメイン)があるそうです。

【企業情報】
検索すると2018から設立された会社で、代表CEOのOr Kuntzman氏が出資してスタートしたとの事。現在は別の投資家のサポートもあるそうです。

Kuntzman氏はDecaを立ち上げる前には、アドオン広告関係の会社を経営していたそうですが、売り払ってDecaを立ち上げたようです。

DecaやMegadodoSimulationGames自体のHPもまだ作成途中の箇所が多々あり、Twitterアカウントも昨月開設されたばかりでツイートも3つだけという状況です。これもこの会社が不穏な雰囲気を醸し出してしまう一因になっている様に思います。

余談ですが、CEOのOr Kuntzman氏はここ数日にお子さんが産まれるそうで、分娩室に入るための衛生衣姿をディスコードにアップされています。
正確な日付は公表されておりませんが、お子様のご誕生おめでとうございます。

あと本物かはわかりませんが、ディスコードにはOculusの共同創設者のBrendan Iribe氏を名乗る人物が現れ、一時チャンネルをざわつかせたりしていました。笑


結局DecaGearは買っても大丈夫なのか?


それは残念ながら現状では断言する事は出来ません。

ただ、Megadodoは会社としてDecaGearを開発している。という実態は確かにあると判断して差支えないかと、個人的には考えます。

しかしながら、それが購入して大丈夫だという根拠に値するかどうかはわかりません。
私は各自が情報を整理し考えうるリスクを導き出し、それに納得した人だけがプレオーダーに踏み切るべきだと考えます。

具体的に言うとハッシュミーの二の舞になっても、プレオーダーの$10が無駄になっても笑って済ませられるという人のみが購入すべきです。

そこで、私が持っている判断材料としての要素を以下に記載します。

【ネガティブ】
・会社の概要やバックボーンをしっかり確認出来ない事
(HPやTwitter等に作成途中の箇所が多々あり、ネット上の情報が少ない)
・PRビデオのなかで一部合成で作られた部分がある事
 (これはKuntzman氏も認めている所で失敗したと語っています。)
・製品の内容に対して価格が破格である事
・実際にこの価格で生産が出来るのかまだわからない事
・実機を確認したメディアがまだ一つもない事
 (これは広報用のプロトタイプがまだなので当たり前ですが。)
・無線アダプタの技適が通っているか?また通るのか?が不明な事
・小さい会社?であるが故にアフターサービス等の不安等がある事
 (日本法人が無いので、修理等に関してはタイに送る事になる?)

【ポジティブ】
・公式ディスコードの受け答えは複数人で行っており、それぞれの担当が比較的しっかりした運営・返答がなされている事
 (Kuntzman氏のほかに、技術関係・顧客対応等の係がそれぞれ居る)
・公式ディスコードで開発中のとても真実味のある写真や、3Dプリンター等の設備を写した画像がアップされている事
・DecaGearのロゴが今年3月にデザイナーから納品されている事
 (quest2がつまづいた事に付け込んだ詐欺の線が無くなる)
・VR情報サイトのRoadToVRが、Kuntzman氏に対して取材をする事に成功している事
・Valveが技術提供をしているという情報を掴んだVR関連メディアUpLoadVRがValveに取材した所、SteamVRの統合に関しての技術サポートをしたとの返答を確認している事
・HPで言語切り替えの「日本語」の項目が当初「日本人」となっていたが、指摘されると比較的すみやかに「日本語」へと修正された事
・今後VRChatでのプレイ動画や、多数の関連動画をアップロードしていくとKuntzman氏が語っている事
(何か粗があればすぐ気づく様な人も注視しているかと思うので、今後動画が増えるにつれ信頼度が上がっていくと考えて良いかと思います。)

上記の様な判断材料が今の所出揃っています。

またディスコードにおいて、今年12月中旬には開発者向けの登録ページが公開される事と配布されるプロトタイプが出来上がるという発言が確認出来ます。

同様にBrendan Iribe氏からの問い合わせに対して、生産プロセスは来年1月中旬から開始されるという返答がなされています。

今プレオーダーすると来年5月のファーストロットが手に入りますが、もし会社の信頼度や製品の信頼度に不安を感じられる方は、年末まで待って開発者や公式が発信する情報に耳を傾けてからのオーダーでも遅くはないのでは?と思います。

いずれにせよ、年末年始あたりにはDecaGearが本当に実現可能なプロダクトなのか?またその詳細についてやMegadodoの会社としての実態が見えて来そうな感じです。

私の個人的な決断としては、Decaを信じる事にして希望的観測を持ちながら、来年5月を待とうと思います。

もし無事にDecaGearがデリバリーされた暁には、しっかり実機レポをアップしたいと思いますので続報をお待ちください。

私自身VRCでの活動がかなり多忙でありまして、信じると決めた以上これ以降は能動的にDecaGearに関する情報を探る事を止めるつもりですので、これ以降さらに詳しい情報等問い合わせられてもお答え出来ない事を予めご了承下さい。

それでは最後までお読み頂きましてありがとうございました。

2020/10/29 青猫

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