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全店舗閉店して会社を清算することに決めました

 出版が決まりました 

私が起業したきっかけ、カフェの開業、事業拡大、そして全店舗閉店して会社を精算するまでの全て書いた本の出版が決定しました!

2020年11月2日発売
『全店舗閉店して会社を清算することにしました コロナで全店舗閉店、事業清算、再出発を選んだ社長の話』(実業之日本社)

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https://amzn.to/3mLughG

※写真はお店を片付けた時に従業員と記念に撮ったものです。

こんにちは。東北地方でカフェなど飲食店を数店舗展開する株式会社イロモアの代表をしている福井寿和(@aomorio)と申します。

社名の「イロモア」はAOMORIを反対から読んで付けました。

初noteです。

この度、新型コロナウイルスの影響により、将来的に会社の経営が立ち行かなくなると判断し、弊社が運営する飲食店を全て閉店して、会社も清算することに決めました。

休業ではなく閉店です。会社も清算します。


弊社が拠点を置く青森県では、GW明け5月7日(木)から休業要請が解除されました。とは言え、状況が急に変わるわけもなく、依然としてソーシャルディスタンスを求められます。根本的にコロナのリスクがなくなったわけでもありません。

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▲5月7日(木) 19:00 青森市の繁華街にある駐車場。コロナ以前はいつも満車で、停められたらラッキーの駐車場がこの時間でもガラガラでした。


今後の経済についてをどう考えるべきか。
どちらかというと、コロナを悲観して考え、自分たちがコントロールできる範囲で、会社の数字を現実的に突き詰めて考える必要があると考えました。

結論、弊社が運営する飲食店の業態と会社の財務状況では、仮に3ヶ月以内に売上が70%程度に回復したとしても年内倒産が濃厚です。

融資や助成金で当面のキャッシュを確保することも可能でしたが(実際に政策金融公庫から提案もありました)、返済が始まった後のキャッシュフローをどうするのか?ウィズコロナ・アフターコロナに則した収益モデルへの転換、そのための資金と労力なども考えると来年以降も非常に厳しい状況が続くと考えました。

・座席の間隔を開けて店を営業して採算はとれるのか
・一日に何度も共有部分を消毒する労力とコスト
・万が一コロナが発生した場合の経営リスク
・お客様からの指摘、クレームによる現場の疲弊

など、コロナ以前の飲食店運営とは明らかに状況が変わることは容易に想像できます。

他にもいろいろありますが、諸々の条件を総合して考えると、

私の中では飲食店+αで復活する将来像が描けず、新規事業をやるには飲食店を運営している事が重荷になってしまう、という結論に至りました。


もう少し続けることも可能なのでは?と考える方もいると思います。

小さな飲食店ながらも多くのファンの方がいてくれて、インスタに投稿した閉店のお知らせにはたくさんのコメントをいただきました。

もうテイクアウトなども終わりということですか……残念です……
悲しい気持ちとともに、どうしたら再開できるんだろう…
何かできることはないのだろうか…
子連れで気兼ねなく行けるカフェが仙台に出来て、本当に本当にに嬉しかったのですが、ショックです…(T_T)コロナの事憎いです(T_T)何か出来ることはありませんか?

などなど。

このようなコメントをいただくと、

お客様の期待に応えられなかったことには本当に悔いが残ります。テイクアウトやネット通販を強化してもう少しできることもあったのでは?と思わないわけではありません。

しかし、コロナの傷が浅いからこそ早期の事業整理を決断しました。

今はまだ取引先へのご迷惑も最小限に抑えることができます。従業員にもしっかり手当を出せます。
会社の状況を考えれば、守るべき人たちを最低限守れるのは今のタイミングしかないと考えました。

「食べ納めしたかった」「コロナが終わったら行きたかった」と言ってくれたお客様には本当に申し訳なく思います。。

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▲一店舗ずつ片付けて本社に物を集約したらものすごい量になりました。大量の皿、調理器具、消耗品など...。みんな手伝ってくれてありがとう。


世間では政府の対応が遅すぎること、休業に対して補償内容がパッとしないことなど様々な批判が飛び交っています。多少思うところはあっても、私自身は行政に対して恨むようなことはありません。

このような結果になったのは、全て経営者としての私の力不足です。

コロナを乗り越えてより強くなる経営者もたくさんいます。私の周りでは今だからできることをチャレンジし続けている人たちでいっぱいです。私は乗り越えられないと判断して廃業を選びました。

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▲従業員もお客様もいない店内の電気を消した時、寂しさと悔しさで涙がこぼれました。今でも賑やかな店内がフラッシュバックします。


Facebookでは私の決断を応援してくださるコメントをたくさんいただきました。

https://www.facebook.com/100001020958350/posts/3199019530142047/?d=n

めちゃくちゃ英断だね!
すごく尊敬します!
損切り大事👍
私も常々、引き際が大事だと感じてました
福井さんの引き際は見事です、このような決断に至るまでの苦悩をお察しします
新たなステージで活躍できるよう応援いたします!

このように言っていただけると、本当に周りに支えられてやってこれたんだな...と思い、感謝の気持ちが込み上げてきます。

それと、私の決断が正当化されるような気がして気持ちが落ち着く一方で、コロナに負けてしまった感も強く感じるようになりました。

この決断が良かったかどうかは今はまだわかりません。
半年後、1年後、もしかしたら数年後に「あの時決断してよかった」と思うのかもしれません。おそらく、これからどのような行動をしていくかで、この決断が正しいものに変わっていくだのだと思います。


私の事業を期待してくださった方、応援してくださった方には本当に申し訳ないと思っています。

先日パンケーキミックスの販売もやってみて、何とか生き抜く道を見出そうと思いました。

それでも飲食店を経営していることが今はあまりにも重すぎます。
ほんと力不足で申し訳ありません。。

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▲片付けが終わった日に寄せ書きをもらいました。後で読んでみたら「今まで仕事を楽しいと思った事がなかったけど、この会社に入って弘前のみんなと出会えた毎日がこんなに楽しいと思いませんでした。」と書いてました。ちょっとは良い職場を作れたのかなって。こっそり泣きました。


"形"としては店も会社もなくなりますが、私自身は人生を悲観しているわけではありません。むしろこれからは全くの無になるので、どのような形で社会に貢献していくか前向きな気持ちもあり、少しずつですが次に向けてのワクワクも芽生えてきています。


もし店を閉めたくても閉められずに困ってる人がいたら、今回の私の経験はお伝えできるのでご連絡いただければと思います。

Twitter、Facebookやってます。ご連絡ください。
Twitter:https://twitter.com/aomorio
Facebook:https://www.facebook.com/toshikazu.fukui


最後に、

「これからどうするの?」とよく聞かれます。

正直に言います。

何も決まっていません。

数日後にはただの無職です。
妻、息子(3歳)、娘(1歳)、3人のにぎやかな家族がいます。

この投稿が現実になりそうです...(笑)

お父さんがんばります。


追伸:

店を廃業したり、会社をたたんだりする人はそれなりにいると思いますが、ほとんど表に出てきません。私も穴があったら入りたいですし(苦笑)

でもこういう時だからこそ、実際に廃業してる人間に価値があると思います。

廃業しても元気に前向きに生きていることを伝えていくのが使命なのかなと。

今後はお店を廃業したらどうなるのか?会社をたたんだら?そんな話をnoteに書いていきたいと思います。

応援よろしくお願いしますm(_ _)m


■2020/5/13 9:00
補足で新しい記事を投稿しました。ぜひご覧ください。

「全店舗閉店」の記事を読んでいただきありがとうございました
https://note.com/aomorio/n/na204987eb25e

新型コロナウイルスの影響により会社経営が立ち行かなくなると判断したため、2020年5月に会社を清算することにしました。この経験を広く伝えていきたいと思いますので、応援よろしくお願いしますm(_ _)m