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宙ぶらりんから

かなり久々になってしまったnoteの更新。

試験勉強等でドタバタしているあいだにもう11月、今年も残り2ヶ月を切ったなんて…

思えば今年はコロナ騒動でまともに学校に通うこともできず慣れないオンライン授業に戸惑い、数ヶ月間狭い部屋に引きこもるしかない状況でむず痒い日々を過ごしていた。その分自分と向き合う時間が増えたり、普段の何気ない生活のありがたさを知ることは出来たがなんとも不完全燃な一年だったと思う。

2020年10月28日。丁度私がイタリアに着いて3年の月日が経った。

私が留学を決意したのは高校三年生の5月頃で、当時同級生達が大学受験への準備を着々と進めているなか、自分だけが宙ぶらりんの状態だったのを覚えている。確か留学手続きを開始する申し込みが出来るのが入学試験を受ける年の5月頃だったのでそれまで具体的に事を進めることが出来なかったのだ。

周りが受験勉強に励んでいるあいだに私もイタリア語や音楽の実技試験に向けて勉強を進めていたが、どこか先の見えない遠い未来のための準備をしているような気がしていた。
当時はまだ自分が海外で生活をしながら学校に通うことが想像出来なかったし、音楽も専門的に長い期間勉強してきた訳でもなく、さらに語学勉強も始めて一年未満でまさか入学試験に合格するとは思っていなかったのだ。
さらに、ネットで留学の情報を探しても高校卒業後すぐにイタリアの音楽院へ入学をしたという例はほとんど見つからず、相当難しいことに挑戦するのだと思っていた。

そんな無謀で前例の少ない挑戦を、普通は反対して大学進学を進められてもおかしくはないのに当時の高校の担任は応援してくれて本当にありがたかった。
いま思うと、イタリア留学を決意する前からオープンキャンパスや進路説明会などをことごとくサボって他人事のように思っていた気がする。既に心のどこかで留学を考えていたんだっけ…

そんなこんなで2017年の春、宙ぶらりんのまま無事に高校を卒業しフリーターになった。

映画館でバイトをしつつ、面倒な留学手続きを進めて東京のイタリア文化会館で行われる語学試験にも合格し、やっとイタリアへと足を運び入学試験を受けることに。
当時の心境としては、別に今年ダメでもまた一年勉強して来年挑戦しよう、くらいの軽いものだった。

音楽院で最初に行われた語学試験は面接で、ヨーロッパ外から受験する生徒達が集められた。ガチガチに緊張しつつ待合室へ入ると、想像以上に和気あいあいとしていたのを覚えている。
面接も校長を含めた3人の面接官の前で自己紹介をして、何故か出された本の朗読をさせられて終了。そしてあっさり全員合格。厳つい面接官に文法問題やら作文やらさせられるのかと怯えていた私は拍子抜けした。
さらに試験後、同じく試験を受けに来ていて仲良くなったロシア人のタトゥーアーティストのお姉さんに待合室でヘナタトゥーをしてもらった。入試に来て初対面のロシア人に試験の待合室でヘナタトゥー描いてもらう…なんというか、カルチャーショック。

約一週間後に行われた実技の試験は私一人で20分ほどのプログラムを歌った。

試験直前の緊張した面持ち。伴奏をお願いした方が撮って下さって後に母がインスタに上げてた。

↑同じ場所、今はレッスンで利用してる。最初は厳かな雰囲気にびびったけどもう慣れたもんよ。表情が違いすぎでしょ。

歌い終わると数分間外に出されて、その間先生達が何やら相談をしていた。そして中に呼び戻されサラっと合格を言い渡される。まさかこんなにすぐに合否がわかるとは、そしてまさかの合格とは!

今まで宙ぶらりんだった足を突然猛スピードで地面に叩きつけられたような感覚だった。

そんな入学試験からあれよあれよと言う間に月日は過ぎ、もう3年。
その後始まったイタリア生活では語りきれないほどの苦労や経験を今までしてきた。何度も、もし日本で進学をしていたらこんな苦労もしなかったのにと後悔をすることもあったが、それ以上にその苦労が報われたとき、自分の成長を感じたときの喜びは辛さを遥かに上回るもので自分の選択は正しかったと思える。

この3年という月日は短いようで長く、長いようで短かかった。
もう3年経つと私は25歳。また違った景色が見えているだろう。その頃は宙ぶらりんから地に着いた足に根が生えていることを願う。

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