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エッセイ #嫌いな人から学んだこと


こちらの企画を見た時に、『私、嫌いな人いないんだよな〜』とのんきに思いながら、4人の顔が浮かんで笑った。
あれ、私この人たちのこと、嫌いだったんだ。
いや違うな。
『この人』を嫌いなのではなくて、この人達との、ある『出来事』を嫌いなんだ。
なぜなら、最終的には和解していたりする。だから『この人』は、私からひととき嫌われていたことを、知らないのかもしれない。


古い記憶から話すと、一人目は中学校の国語教師。私の部活の顧問でもあった。
全員に嫌われていた。
なぜならこの人は、授業中に人を嘲り、執拗に追い詰める傾向があった。
部活中は言葉遣いも悪い。女性で、人相も悪い。
この人を心底嫌いになったのは同級生の男の子を精神的に追い詰めて、食欲不振にさせて学校を休ませた時。大嫌いになった。
だけどそれはほとんど全員が同じ気持ちだったから、この人は学校から罰を受けた。それによって問題は解決されたけれど、私はこの人を嫌いな期間、この人を徹底的に『目に入れないようにした』。
周りからは『青豆、◯◯に好かれてるよね』、贔屓されていると言われていた。
私は、具体的に言うと、顔を見ないようにしながら『普段どおり』過ごしていただけ。
教師で顧問ならば避けられない人だ。だからこのときの対処法は、『心では無視する。だけど態度は残す』。

二人目はお客様。年は彼女の方が随分上で、結婚しているが子供はなし。美しさにこだわりがある。
アシスタントとして失礼のないように接していても、どこか態度に棘があった。『男のスタッフにはケラケラ笑っている…』ひとによってあからさまに態度を変える、この人を嫌いになった。
私のこのときの対処法。
このお客様が来店されたら、普段より元気な挨拶をして、積極的に荷物を預かりに行く。それだけ。
それだけなのに、段々苦手意識は遠のいた。おそらく、あちらも何か感じ取って態度が丸くなったのだと思う。
私がこの人から学んだのは、『避けられない嫌いな人には先手を打つ』。

三人目は職場の先輩。
偉そうだった。直接仕事を教えてくれる教育係だったので、これまた避けられない。
とにかく偉そうな先輩の態度にものすごく頭にきた夜があった。
私はバックヤードで悔しくて泣いた。そうしたら一人の先輩が共感してくれた。
このときの対処法。嫌いな先輩の教えを徹底的に聞いて、早く『もの』にする。
技術職だったので、技術を身につければうるさく言われることもない。
だけどこの先輩から学んだ一つの事柄については今でも役に立っているし、その後はいい関係に戻れたので、この先輩は『嫌いな人』ではない。

四人目は地域の女。
なぜだか私を気に入り、すり寄ってきた。
『一緒に飲みに行きたい。こんなに色々話せる人はなかなかいない』と彼女は喜んでいたが、彼女といる時私は完全に聞き役だった。話す隙がないし、彼女の話に共感する部分がないので聞くしかない。
彼女は目を閉じて話すタイプだった。こういう人は人への観察力が弱いのか、自分語りが多い。
私と付き合っても、なんのメリットもないのに。
そういう意味で、純粋に私と喋りたいのだと思ってしばらく様子をみたが、彼女と会った日はもやもやが止まらない。私はそのもやもやを誰かに話して解消する必要があった。
そこで『私、この人を嫌いなんだ』と理解。
その後は静かに私の方から離れた。誘いをやんわり断って、会った時もほどほどに話を聞いて、爽やかに去る。それを繰り返すことで関係は程よく切れた。そして彼女は他の人とトラブルを起こして、完全に去っていった。
『自分語りが多い人は他人の意見を受け入れないので、トラブルも多い』
彼女のことは、冷たい言い方をすると、好き嫌いと表現できるような関係にすらなれなかった。私のなかでは。

『嫌い』と表現するにはある程度時間がかかる。それは私が意識的に嫌わないようにしているから。
あとは私の趣味として、変わった人に興味を持つので、他の人がヒソヒソ言う相手と仲良くしたりする傾向もある。人と比べて、嫌いに到達するまでの距離は長いかもしれない。

嫌いという感情と違って、『苦手』というセンサーはよく働く。だけど瞬時に『苦手』センサーが反応した場合は、案外誤作動も多いので、誤作動を起こさないように今も訓練中。それには、偏見を取っ払うこと。
『嫌いな人』なんて少ないほうが良い。
4人の嫌いな人(出来事)から学んだことはなんだろうと、考える。
「負けない」こと。同時に、いつも逃げ道を確保すること。
人との付き合い方を学んだ。




#エッセイ
#嫌いな人から学んだこと


山根さんの個人企画からヒントを得て書きました。
企画の募集要項・主旨にそわない内容かもしれません (1人に絞ったエピソードでもありませんし…)。
ですが、書きたかったので書いてみました°・*:.。.☆


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