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スマホは薬にも毒にもなる

「スマホ脳は、サピエンス全史みたいな本だね。スマホを使うことについて、随分と考えさせられるよ。めっちゃおすすめ。」

写真家の保井さんと一緒に朝活していた時に、スマホ脳という本をかなり勧められました。自分も気になっていた本だったので、読み始めると、これが随分と面白くて、重厚な内容だったんですね。

最近は午前中オフラインの時間を作ったり、意識的にスマホやSNSから離れるようなことをしていたのだけれど、そこで感じていたことの裏付けをしっかりもらったような内容でした。

精神不調の人がどんどん増えている。その大きな原因の一つがスマホであり、それを生物学的な観点から解き明かしている本。これは自分の中にしっかりと刻まなければ行けないなと思って、久しぶりに読書メモを書きます。


すべての感情には理由がある

・生まれて初めて息を吸ってから、人生最後の吐息の瞬間まで、あなたの脳はたったひとつの問いに応えようとしている。それは「今、どうすればいい?」という問いだ。脳は昨日起きたことなんて少しも気にしていない。すべては現在と未来のため。たった今置かれている状況を判断するために記憶を活用し、感情を元にして正しい方向に自分を動かそうとする。

・感情という形で回答を返してくれる。「すごくお腹が空いた、だからサンドイッチを食べよう」あなたの祖先も同じように、空腹を感じて蜂蜜を取ったのだ。それで大変な目に遭う可能性は低いと判断した場合、もしくは究極に飢えていた場合は。危険が大きすぎると判断すれば、恐怖を感じてやめておく。

・恐怖を感じた瞬間に、脳はコルチゾールとアドレナリンを放出する指令を出す。心臓が速く強く打ち始め、筋肉に血液が送り出される。逃げるにしても、攻撃に出るにしても、最大限に力を発揮できるようにだ。お腹が空いているときに食べ物を見ると、脳がドーパミンを放出し、食べたいという欲求を促す。ドーパミンはオキシトシン[訳註:子宮収縮ホルモン] と同様に、性的に興奮するときにも放出され、他人との絆も感じさせる。そのおかげで、テレビ画面ではなく隣にいる人に集中できるのだ。

・ネガティブな感情はポジティブな感情に勝る。人類の歴史の中で、負の感情は脅威に結びつくことが多かった。そして脅威には即座に対処しなければいけない。食べたり飲んだり、眠ったり交尾したりは先延ばしにできるが、脅威への対処は先延ばしにできない。 

・人間は強いストレスにさらされると、脳の中で最も発達したはずの人類特有の部分を使わずに、進化の初期の原始的な部分へと退行する。迅速に全力で対応はするが、脳の「思考」機能に助けてもらおうとはしない。そこで問題が発生する。  つまり強いストレスにさらされると「闘争か逃走か」 という選択しかなくなり、緻密なプレーをする余裕はなくなる。

・「ストレス」 という言葉はネガティブに捉えられがちだが、人間が機能するためにはストレスが必要だ。短期的なストレスなら、集中したり、思考機能を鋭くしたりすることができる。つまり、仕事で大変な1日や1週間があるくらいは問題はない。

・人間が生きてきた世界では、集団から追放されることは死を意味した。グループに帰属するのは安心感のためだけでなく、生存がかかっていたのだ。独りになったら生き延びられないのだ

・未来を予測する能力は、私たち人間が持ついちばん重要な特性かもしれないが、おかげで見たくないものまで想像できてしまう。クビになる かも しれない、捨てられる かも しれない、家のローンを払えなくなる かも しれない。そんな理由でストレスのシステムが作動するのは、知性を得た代償だ。現実の脅威と想像上の脅威を見分けることが、脳にはできないのだ。

すべての感情には理由があり、その大きな根源的な理由は「生き延びるため」である。蛇や狼に出会った時に、人は恐れを感じることで、逃げて生き延びる事ができる。そういった根源的な部分は昔と今では変わっていない。


集中が有限な資源になる

・ドーパミンの最も重要な役目は私たちを元気にすることではなく、何に集中するかを選択させることだ。つまり、人間の原動力とも言える。

・報酬システムを激しく作動させるのは、お金、食べ物、セックス、承認、新しい経験のいずれでもなく、それに対する 期待 だ。何かが起こる かも という期待以上に、報酬中枢を駆り立てるものはない。

・たいていの場合、着信音が聞こえたときの方が、実際にメールやチャットを読んでいるときよりもドーパミンの量が増える。「大事 かも しれない」ことに強い欲求を感じ、私たちは「ちょっと見てみるだけ」とスマホを手に取る。しかもこれを頻繁にやっている。

・「いいね」がついていないか確かめたいという欲求を起こさせる。その上、報酬システムがいちばん強く煽られている最中に、デジタルな承認欲求を満たしてくれるのだ。あなたの休暇の写真に「いいね」がつくのは、実は、誰かが「親指を立てたマーク」を押した瞬間ではないのだ。フェイスブックやインスタグラムは、親指マークやハートマークがつくのを保留することがある。そうやって、私たちの報酬系が最高潮に煽られる瞬間を待つのだ。刺激を少しずつ分散することで、デジタルなごほうびへの期待値を最大限にもできる。

・「『いいね』が1個ついたかも? 見てみよう」と思うのは、「ポーカーをもう1ゲームだけ、次こそは勝てるはず」と同じメカニズムなのだ。  このような企業の多くは、行動科学や脳科学の専門家を雇っている。そのアプリが極力効果的に脳の報酬システムを直撃し、最大限の依存性を実現するためにだ。金儲けという意味で言えば、私たちの脳のハッキングに成功したのは間違いない。

・マルチタスクなんてやめろと脳が忠告してくれてもよさそうなのに、そういうわけでもない。むしろマルチタスクをするとごほうびにドーパミンを与えて、気持ちよくさせてくれる。つまり、脳はあえて働きが悪くなるようなことを私たちにさせるのだ。それはなぜだろうか。

・この世のあらゆる刺激に迅速に対応できるよう、警戒態勢を整えておく必要があったせいだ。わずかな気の緩みが命の危機につながる可能性があるのだから、何事も見逃さないようにしなければいけない。

・結果、スマホを別室に置いてきた被験者は、サイレントモードにしたスマホをポケットに入れていた被験者よりも成績がよかった。実験報告書のタイトルが実験の結論を物語っている。「脳は弱る──スマートフォンの存在がわずかにでもあれば、認知能力の容量が減る」

・視界にスマホがあった人たちはあまり楽しくなかった上に、相手を信用しづらく共感しにくいとも感じていた。言っておくが、スマホはただテーブルの上にあっただけで、手に取ることは許さ

この本を読んでいて一番衝撃を受けたのが、Facebookが「いいね」を押す通知させるタイミングを意図的に分けているということ。Facebookにとって、自分たちの滞在時間がそのまま広告というお金に変わる。それを長くさせるために、人間の習性をハックしているという。

またスマホがあることによって、SNSの通知などが気になり、今に集中できなくなるというのは非常によく分かる。


スマホ依存症から脱却するために

・将来もっと大きな「ごほうび」 をもらうために、すぐにもらえる「ごほうび」を我慢するのは非常に重要な能力だ。実際、それができるかできないかでその子の人生がどうなるかだいたいわかるという。マシュマロをすぐに1個もらうより2個もらうために 15 分待てる4歳児は基本的に、数十年後に学歴が高くいい仕事に就いている。

・依存症 というのは、自分に害を及ぼすとわかっていても何度も繰り返してしまう症状だ。どういうことか、スマホの場合を詳しく見ていこう。「何度も繰り返す」については、若者も大人も起きている間じゅう 10 分間隔でスマホを手に取ることを考えると、間違いなくクリアしている。

・眠りが悪くなる、集中力が欠ける、後で考えると無駄だったと思うようなことに1日2時間費やす──そんなリスクを冒すのは「自分に害を及ぼす」行為だろうか。そのかわりに勉強したり友達に会ったり、運動や読書、楽器演奏をしたりすることもできたのに。そこにはもちろん明確なイエスもノーも存在しない。だが、害を及ぼしているかどうかを自分で考えてみてほしい。もし及ぼしていると思うなら、依存症と呼んでいいだろう。

・仕事から帰宅するとへとへとだ。ソファに倒れ込んでしまいたいと全身が叫んでいる。でも心を落ち着かせる一番いい方法は、ランニングシューズを履いて外に出ること。ランニングから戻るとストレスは消えている。さっきよりも気分がよくなって心が落ち着き、集中力も戻っている。もっと早くこのことを知っていればなあ。

・ただの始まりに過ぎない。基本的に すべての 知的能力が、運動によって機能を向上させるのだ。集中できるようになるし、記憶力が高まり、ストレスにも強くなる。

今の現代人の殆どはスマホ依存症になっている。1日に何時間もチェックをし、それが当たり前の状態になっている。スマホを触らなければ行けない理由なんてないのに、ついつい自分の手がスマホに伸びている。

それを解消する方法の一つが、運動をすること。自分自身もよく体を動かすようにしているのですが、運動をした後は、スマホに対する依存性が減っている気がする。


最後に

この本は現代人にとって欠かせないツールであるスマホと向き合う上で、非常に有用な本だと思いました。ツールは使うものであり、ツールに自分の生活を操作されるべきではない。ただ、操作されていることすら、現代のほとんどの人は気付いていないんだろうと、この本を読んで思いました。

かなり強烈な内容ですが、スマホに依存しすぎているな、なかなか今に集中できていないな、という方がいれば是非読んでてみてください。






最後まで記事を読んでいだきありがとうございます。毎日更新をしているので、よかったらまた読んでもらえると嬉しいです。