見出し画像

珈琲とブランドエクイティ

刀の森岡さんの本を毎週のように読み返しています。最近は、確率思考の戦略論を読み直していて、内容の奥深さに舌を巻いています。ただ読めば読むほど面白い。自分の教科書にしていきたいと思って、少しずつ腹に落としています。

その中でも今、理解を深めようとしているのが、ブランドエクイティに関して。ブランドエクイティとは、ブランドが持っている資産価値のことを指します。

例えば、USJと聞いて何をイメージするか?それは「ハリーポッター」や「大阪のテーマパーク」「進撃の巨人」など、人によって様々です。その認知の先の、もう一歩先のイメージがブランドエクイティです。


自分が珈琲を毎日飲む理由

先日、セブンイレブンで珈琲を買いました。そのときに「あれ、珈琲のブランドエクイティはなんだろう?」と考えたんですね。

それは「目が覚める」「頭が冴える」でした。日本人の珈琲の認知度はほぼ100%に対して、それらの「頭が冴える」等のブランドエクイティの認知度は同じくらい高いのでは?と思ったんですね。

もし仮に、珈琲に「頭が冴える」というブランドエクイティがなかったとしたら。また、自分が知らないとしたらどれくらい飲む頻度が減るだろう?とも考えました。きっと自分の場合は、週に1回以下になります。

何が言いたいかというと、自分は珈琲をただ飲んでいるのではなく、「頭が冴える」という効能を知っていて、それを欲しいがゆえに飲んでいるんですよね。(もちろん、それらの効能抜きに美味しい珈琲があるのも知っていますし、好きです。)

ちなみに、数年前に紅茶にもカフェインが入っているのを知ってから、珈琲を飲むことが減りました。つまり、珈琲の「頭が冴える」効能に対して、紅茶の効能が競合になったんです。


消費者が求めているものとブランドエクイティがマッチしているか

これは、珈琲以外にも言えます。自分はほぼ毎日納豆を朝食べるのですが、それも「胃にいい」「健康になる」「タンパク質が豊富」というブランドエクイティが頭に入っているからこそです。珈琲の効能と同じく、それらのブランドエクイティを知らなかったとしたら、ここまで毎日食べることは無いでしょう。月1回も食べないかもしれません。

つまり、ここで重要になってくるのが、珈琲や納豆が持っているブランドエクイティを消費者が求めているかどうか?です。珈琲の持つ「頭が冴える」は強烈ですよね。多くの働く人、受験生が求めています。逆を言えば、その商品の認知が高いとしても、それが消費者が求めているものでないなら、買われる確率が低くなります。

上記の話は、To C(対消費者向け)だけでなく、To B(対企業向け)でも言えます。例えば、MATCHAでは、メディアによる「訪日客向けの情報発信」だけでなく、社員が現地に移り住みながら発信している「滞在型発信」や、そもそもの目的設定から入る「訪日客向けの戦略づくり」を行っています。

しかし、後者2つはあまり知られていません。いくら業界内の認知が高かったとしても、それらが知られない限り、またそれらがクライアントが求めているものでなければ、仕事につながることはないです。


選ばれる必然をつくるためには、ただの認知だけでは足りない

とりあえず「多くの人に知られればいい」「プロモーションに力を入れればいい」「プレスリリースはどれだけ転載されるか」というのは実はあまり意味がない。意味がないと言うよりは非効率なことが多い。

ちゃんと情報を届けるときに、ターゲットが求めているものを抑えられているか?買う必然性があるか?に繋がっている必要があります。そしてそれは小手先だけではダメで、商品として中身がないといけない。

その先に初めての購入(トライアル)があり、その期待通りの効能があれば、再購入(リピート)になります。期待以上の場合はファンになりえます。

今年のはじめに、SIGMA fpという20万円ほどするカメラを買いました。そのときに頭に入っていたSIGMA fpのブランドエクイティは、「世界最小のフルサイズ」「スタイリッシュなデザイン」「拡張性・革新性」でした。

自分がまさに求めていた商品かつ、上記3要素を満たす商品が他になかったので、この価格帯にもかかわらず他社カメラを比較することなく買いました。SIGMA fpは期待を大きく超える買い物になり、心底ファンになりました。その結果、上記の記事を書きました。

最近だと「最高品質のWEBカメラで、接続が手軽で簡単」というブランドエクイティがファンの手によって醸成され、売上を伸ばしています。ブランドエクイティとは相対的であり、時代によって変化するという好例です。


最後に

珈琲や納豆、MATCHAやSIGMA fpを例に、認知とブランドエクイティに関する解釈を書いてみました。認識違いがあれば、指摘いただけると嬉しいです。

自分が普段触れているもの、何気なくリピートして買っているもの理由はなんだろう?その理由はいつ、どんな風に自分の頭に入ったのか?その理由に対する競合は何なのか?を考えるのは、とても面白い。いざ自分が商品を作り、広げていく側に経ったときに役に立ちます。

MATCHAが持つべきブランドエクイティとはなにか?この問いがずっと頭から離れません。

ちなみにブランドエクイティの話は、上記のWHATの項目に書いてあります。長いですが、興味がいる人がいればぜひ。


最後まで記事を読んでいだきありがとうございます。毎日更新をしているので、よかったらまた読んでもらえると嬉しいです。