麻雀 永遠の『?』

 この前、場末雀荘にいた。

私は後ろで見ていたが、昔から『かなり変わってる』と有名な奴が入ってきた。

そいつは私とはかなり長い知り合い普段は優しいのだが麻雀を打つとどーにもこーにも変わるやつだ。

そして、私が彼と近況を話したりしていた。
で、ある客が3巡目に

「リーチ!」

と言ったら周りが

「早い!」というと

「遅いぐらいだ!」と返すと、そいつはいきなり

「ざっけんなまじで!!」

と、言い始めて周りを含んだ5人ぐらいが

「っ!?」

となった。そりゃなるわ。
そして、

「らすはん!!」

と、叫ぶとなんか奇妙な牌を切り始めた。
そして、いきなり

「あなたと私、初対面ですよね?」

と、リーチをかけた人に話し始めて、そのまま帰った。

5人は「?」となり、

私は「よお、どーしたよ?」と聞くと

「初対面で『遅いぐらい』はゆるされない!!」

と怒っていた。



麻雀をわからない人間は何を言ってるかわからないし、わかる人間も何を言ってるかわからない。
どちらもわからない。
ある意味ノベタンみたいな状況になる。

しかし、事実このような事が起きてしまった。
彼の中では『リーチが遅いぐらい』というのは家族か竹馬の友しか言ってはいけない聖なる言葉なのだろう‥か?
もう彼はいないので真実がなにか?なんてわからない。

残された者は思う、彼はなんだったのだ?
我々はどうしたら許されたのか?
その前に彼が叩いていた軽口は許されるのか?
何故、「リーチは遅いぐらい」だけは切れるのか?
彼の切れドコロはどこなのだ?


酒を飲みながら、心のなかに答えが出ないままぐるぐると出口を探していた。


風が、夏の始まりだけを教えてくれた。








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