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怪談 two senses

このトンネルの左側は防空壕になっている。

なってはいるが、草が茂っていて、夜中は本当に歩きにくいし、非常に危険だ。地元の人間も立ち寄らない。

いつかの真冬、ここで幽霊を感じた

幽霊を感じたというというと霊能力者のようだが、少し違う。

深夜。その道をあるいていると、草むらの中からフッと誰かいた気がした。
初めは痩せた子供かと思ったが、後から女性だと確信した。

匂いだ。
石鹸のような匂いが風にのって、漂ってきたからだ。

しかし、風が止むと誰もいなかった。
幽霊の正体みたり枯尾花、という事か?

帰宅して、寝床につく。

すると、平日の深夜、アパートの廊下から

ぺたぺたぺたぺたぺたぺた

と、歩く音が聞こえた。

素足だ、と思った。

こんな真冬に?
ひょっとして、さっきの女がついてきたのか?
と思った。
震えてるのは寒さではない気がした。

しかし、何事もなく、朝を迎えた。
寝ぼけてきのせいだったかもしれない。

そして、アパートの扉を開けると、

ふわり

と、廊下から石鹸のような匂いが漂ってきた。

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