もう騙されない、デザイナーの見分け方。
プロダクトデザイナーとして様々な地域に行って、いろんな会社の方とお話すると、年齢の高い方から
「昔デザイナーに発注したんだけど、騙されたよ」とか
「デザイナーは作品を作りたがって、商品を作らないんだ」とかとか
いろんな意見が聞こえてきます。
どの地域でも聞こえてくる話なので、きっと過去に本当にそういうことが頻発したんでしょうね。
今日は、この話題をきっかけに、僕が思ったことを書きたいと思います。
題して「もう騙されない。デザイナーの見分け方。」
インターネット以前の探し方
もしあなたの周辺に「デザイナー」がいなくって、お仕事の必要上「プロダクトデザイナー」を探さなきゃという状況になったとします。
インターネットが無かった時代にはどう探していたかというと
・デザイナーや工業デザイナーが所属する団体に問い合わせ
・雑誌や新聞などのメディアに掲載されている人に連絡する
・美大や芸大の先生に連絡してみる
あたりがありました。
でも、それらを経て会うことができたデザイナーを、本当に信用して良いのかわからないですよね。
信用のために、上記の要素に加えて
・何らかの賞を受賞している
という部分が参照されがちでした。
「国内外で様々なデザイン賞を受賞」なんて書いてあると「NASAが作った」って枕詞みたいに、脊椎反射的に「なんとなくすごそう!」って思っちゃいますよね。
これを、その当時のデザイナーの立場から見ると
・業界団体に所属している
・メディアに掲載される
・美大や芸大の先生、講師になる
・何らかの賞を受賞する
というのが仕事と信用を得るためにはすごく重要だったことがわかります。
昔風に言えば「タウンページに掲載されてるかどうか」くらい重要だったんですね。
なので、これら4つを達成する能力が高い人であるほど有利になる構造があり、デザイナーの多くはそこを重要視することになりました。
作品か商品か
さて、ここで1つお話したいことがあります。
もしあなたが何か製品を開発したい立場だとしたら、そもそも「デザイナーを探す」一番の目的は、なんでしょう。
デザインの業界で認められるため?
メディアに掲載されるため?
何らかの賞を受賞するため?
それも、もしできれば、いいかもしれないです。
でも、
それらはあくまで「手段」であって「目的」ではない気がするんです。
ひょっとすると、本当の目的は
作った製品が、多くの人に買ってもらえて使ってもらえて満足してもらえる
ことなんじゃないでしょうか。
最初に書いた
「デザイナーは作品を作りたがって、商品を作らないんだ」
って指摘は、この目的のズレから起きているんだと、僕は思います。
セッションの相手だから、相性も大事
また、もう1つ別のお話があります。
もしあなたがデザイナーと商品開発をする立場なら。
あなたとデザイナーとは「依頼して納品される」だけの付き合いにはとどまりません。
短くて半年、長くて数年間かけて、
あなたとデザイナーとの濃厚なセッションによって、製品は作られます。
つまり、世間でどれだけ評価されているデザイナーだとしても
あなたとの相性が悪かったら。最悪の結果を招く可能性もあるわけです。
でもセッションがうまく行くかどうかなんて、事前にどう判断したら良いかわからないですよね。
どうしたら良いんでしょう。困った。
さて、お待たせしました。
ここからがタイトル「デザイナーの見分け方」の回答になります。
デザイナーの見分け方
あなたが生活する中で、
自分で購入して使ってみて、心から気に入っている製品やサービスはありますか?
何かのメディアで見かけて「あら、お洒落」とか「売れてるらしいね」とか「海外で認められてるらしい」とか
「○○さんが褒めてた」とか「いいねが多い」とかじゃないですよ。
あなた自身が自腹で購入して実際に使って、心底惚れ込んでる、製品やサービスです。もしそういう製品やサービスがあったなら、そこが入り口です。
今はインターネットがありますから。
検索するだけで、その製品に関わった人を調べて、連絡をとることができるようになりました。
たとえばアシストオンは、作品ではなく製品を作る人のインタビューがいっぱい掲載されてますし、
あの製品のデザイン担当は?と調べたい時には、グッドデザイン賞のサイトも役に立つかもしれません。(受賞したものしかなく、かなり範囲が狭いため、ここでは見つからない可能性も高いですが。)
tetteが出た時はあまりの衝撃で、すぐ調べました。そしたら仲良くさせていただいているcolorさんだったというダブルの衝撃。
最近はSNSで仕事のことをアップしてる人も多いので、「製品名 デザイン」で検索すると、デザインした本人のアカウントが見つかることもありますね。
僕はこのシリコンのブランド SiNG の製品に痺れて
ネット検索から中庭さんに連絡とりました
あなた自身が惚れ込んでいる製品やサービスがあったら、それを作ったデザイナーを探せる時代。
連絡して繋がることができたなら、最高のセッションが始まるはずです。
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僕たちTENTも、ありがたいことに、いろんな方からお声がけいただける機会が増えてきました。
その中でも、やっぱり僕たちが作った製品を愛用してくれてる方とのプロジェクトは、成功の確率が高いです。
一方で、僕たちも万人が好きになるプロダクトを作ってきたつもりはありませんから。
「君たちが作るものを私は買おうと思わないけど、評判いいらしいね」みたいな感じだと、お互いの価値観をすり合わせるのにばかり時間が浪費されてしまう。
なので、僕たちの製品が性に合わない方は、ぜひ他のデザイナーさんを探して欲しいと思います。
そして、まだあなたに、実際に使って心底惚れ込んでる製品やサービスがないなら。
まずは身の回りを見渡して、そんな製品やサービスを探すところから始めるのはいかがでしょうかっ
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おまけ
見分け方として、こちらの記事も参考になると思います。
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