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Vol.10 困ったときほどおもしろおかしく

 ここまでの投稿を振り返って、うまくいった話しか書いてないじゃんと思われたかもしれませんが、20年を超える起業家人生の中では新聞店の資金がショートしかけて社員の給料を自分の500円玉貯金で払ったり、、新聞店に併設したレストランの経営に苦労したり、思ったようにいかず悩むこともしばしばでした。

 ただ、僕は子供のときから都合の悪い情報をいい話に書き換える癖があるんです(笑) 
 
 MIKAWAYA21を創業した後も社員が一斉に辞めたり、逆に従業員をリストラせざるを得なかったりといったことがありました。お買い物代行サービスに関連して、ドローン宅配の実証実験に大金をつぎ込んだこともあります。もちろん、うまく行きませんでした。こういう「黒歴史」はよほど意識して思い出さないと出てきません。本当に起業家向きの性格だと思います。

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朝ご飯とおやつはパンの耳

 今から思えば、子供のときからそうだったように思います。つらいことや嫌なことはたくさんありましたが、それを遊びや笑いに変えて乗り越えてきた人生だったように思います。

 父親は新聞販売店の辣腕営業マンでしたが、母親がかなりの倹約家で、子供のときの生活はどちらかといえば貧乏でした。

 青木家は年1回、家族みんなで正装して、フランス料理を食べに行くというよく分からないイベントがありましたが、それを除くと、毎日のごはんは質素なものでした。毎朝の朝食とおやつはパンの耳ばかりで、近所のパン屋さんにパンの耳をもらいに行くのが僕の仕事でした。子供ながらに恥ずかしいので、「ウサギのエサにするのでください」と言ってパン屋さんに行っていました。思えば、このころからトークの才能が磨かれていたのかもしれません。

 また、私は4人きょうだいの3番目だったので、洋服やおもちゃはすべて兄や姉のお下がりです。小学校に上がるとき、まわりはピカピカのランドセルなのに、僕は中学に上がった兄が使っていたぺったんこのランドセルでした。音楽で使うリコーダーも、友達は茶色の新品でしたが、僕は兄が使っていたつば臭いリコーダー。しかも、中を掃除する棒を兄がなくしていたので、棒の代わりにカラフルな菜ばしが入っていました。


「青い自転車」のためにお金を稼いだそのやり方

 僕自身、性格は明るい方でしたから、ぺったんこのランドセルもつば臭いリコーダーもつらいとは思いませんでしたが、親戚の女の子の自転車がお下がりできたときは絶対に嫌だと思いました。だって、ピンク色でリボンの騎士の絵が描いてある自転車ですよ。これに乗って遊びに行けば、間違いなくいじめられます。そのとき、子供ながらに何を思ったかというと、「もう青い自転車を自分で買うしかない」と腹をくくりました。小学1年生のときの話です。

 ただ、当時の僕にお金はありません。そこで、アルミ缶を拾ってリサイクル屋さんに持っていこうと考えましたが、ペッタンコのランドセルを背負った子供がアルミ缶を拾っていれば完全に物乞いです。友達に見つかれば、それこそ馬鹿にされます。「どうしようか」とない知恵を絞って散々考えて、あるゲームを始めました。

 両手にアルミ缶を持って、足でアルミ缶をカランコロンと蹴って帰る。ゴールは僕の家。途中、田んぼや側溝に落とせば負けで、3つある命が1つなくなる──。そんなファミコンのゲームのようなことを始めたんです。

 初めは一人でカランコロンと空き缶を蹴っていましたが、すぐに「何してんの?」と友達がわらわらと集まってきて、みんなでカランコロンと空き缶を蹴りました。ゴールは僕の家ですから、空き缶はどんどん集まります。それで、「バイバーイ」と行って友達が角を曲がった瞬間に、集まった空き缶をガレージに入れました。結局、大きなゴミ袋6つ分の空き缶を集め、6000円を稼ぎました。僕にとっての初めての成功体験です。

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金欠はアイデアで乗り越える

 正直言って、会社を起業してからはずっと資金繰りとの戦いです。新聞販売店のときは6億円くらい借りていましたし、MIKAWAYA21を創業した後もいつもお金がありません。ただ、スタートアップにお金がないのは当たり前。その中で目標を達成するには、アイデアで乗り越えていく以外にない。そのアイデアも、なんか楽しそう、なんか面白そう、という人が集まるような雰囲気をつくらないと、資金繰りを乗り越えるようなアイデアは出てこない。少なくとも、眉間に皺を寄せて仕事をしている間はアイデアの神様は降りてきません。

 僕にとっては、この自転車を買った経験が原体験でした。ピンクの自転車に乗るのは嫌。自転車に乗らず、友達が自転車で遊びに行くときに後ろを走って行くのも嫌。AかBの選択を迫られて両方嫌だとなったときに、「よし、Cをつくってやるぞ」という原体験です。

 大阪府寝屋川市で新聞販売店を経営していたときもお金がありませんでしたが、壁に「have fun」と書いて「楽しめ」と。「楽しもう」ではなく命令形であることが事業においては大切で、命がけの仕事を楽しんでやり切った人しか最後は勝てないと思います。

 さて、だいぶ昔の話が長くなってきましたので、この辺で時計の針を進めて、まごころサポートの話をしようと思います。今回のコロナによって、MIKAWAYA21とまごころサポートは大きな影響を受けました。ただ、ネガティブなことばかりではありませんでした。


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