DAY0およびDAY365 2020年7月20日の日記

『30-DAY SONG CHALLENGE』なるものをTwitterで見かけた。一か月の間毎日お題に合う楽曲を紹介(作ってもいいのかな)し続けるという企画ハッシュタグだ。「踊りたくなる曲」だとか「曲名に人名の入った好きな曲」なんかの答えやすそうなものから「人生について考えさせられる曲」なんかの答えづらいものまで各種取り揃えられている。

楽しそうだったのでやろうかとも思ったんだけど、別にハッシュタグでやる理由もなければ一か月継続する理由もなかったため纏めて二日ぐらいでやってしまおうと思う。画像も勝手に拝借するのは気が引けるので省略です。30-DAY SONG CHALLENGEにハッシュタグをつければいくらでも見られると思います。

……をやろうとしたら困ったことに気付いた。大半の楽曲データを突っ込んでいるSDXCカードが見当たらないのだ。PCの容量にも限界があるため外部で保存していたんだけど、先日iPadが故障した際にiPad内のすべての楽曲データが吹っ飛んでしまい、再度SDXCカード→PC→iPadと復旧するのもあまりに面倒で放置してしまっていた。最近は基本的にSpotifyに移行してしまったのでそこまで困ることはなかったのだ。幸いなことにSpotifyに入っていないようなバンドの音源はiPhoneの方で全て再生できるようにしてあったし。

しかし、Spotifyは順序付けて音源をざっと眺めるのにはあまり向いていないプラットフォームである。ユーザーそれぞれに合ったプレイリストを作るなど、流動的な音楽再生サービスとしては優秀なのだけど、反面、管理するのはちょっと面倒になっている。この際だしiTunesに音楽移しちゃおうかなと考え、SDXCカードを保管しているはずの引き出しを開け、紛失に気付いたのがつい数時間前のことだ。

血の気が引くとはまさにこのことである。SDXCカードの紛失はすなわち、中学生のころから収集していた音源が無に帰すことを意味する。私を形作る万単位の楽曲が散逸するのはほぼ私そのものの記録の消滅と同義だ。そんなものなくすなという話だけど、なくなりようのない場所に保管していたはずだったのだ。

SDXCカードを保管していた引き出しは、文具や事務用品を突っ込む引き出しだった。付箋やらハサミやらマスキングテープやらが整然と並び、変わり種ではガラスペンや授業で使う解剖用のピンセット、大学にいる野良猫のブロマイドなんかも入っている。後ろ二つを並べて書くとなんだか不穏でよくなかったと思うけど、ピンセットは植物の根っこ引っ張ったりするのに使っているだけなので安心してください……。

自分で言うのもなんだけどデスク周りは綺麗にしていないと気持ちが悪いのでけっこう見通しよく収まっている。仕方がないので引き出しの中身を引っ張り出して確認したけれど、SDXCカードはどこにもない。消えようのない状況であるのにどこかへ消失した。これは実質密室殺SDXCカード事件と言っても過言ではないだろう。

密室にはいくつかのパターンが存在する。本当に密室だったのか(どこか別のところに紛れ込む余地がなかったか)、密室には抜け道はないか(引き出しの隙間に落ちていないか)、時間差などによって密室に見えているだけでないか(そもそもちゃんとしまっていたのか)などの可能性を検討したけれど、どれも空振りだった。

そう考えていて気付くことがあった。犯人が密室内に隠れていて、事件が発覚してから密室を出るパターンだ。これはこの引き出しの話だと、まだこの中に犯人が隠れていることを意味する。その瞬間、目に飛び込んでくるものがあった。可能性に思い当たったことで初めて意識に上ってきたのだ。「それ」に恐る恐る手を触れ、勢いよく横に引っ張ると、机の上にカランと落ちてくるものがあった。SDXCカードだった。

なんと、SDXCカードは関数電卓のカバーの中に潜り込んでいたのだ。プラスチック製のカバーと本体のその隙間は、ちょうどSDXCカードと同じ厚さだった。恐らくは新しく引き出しに突っ込んだ中綴じホッチキスに押し出されてドッキングしてしまったのだと思う。なんだか天然に生まれたミステリがちゃんとミステリの思考で解決できてしまったので少しうれしい。もちろんSDXCカードが見つかったのもうれしい。

だけど満を持してデータをPCに移そうとしたら、容量不足で弾かれてしまった。iPadに音源を持ってくるという目的は1ミリも達成できなかった。無念。『30-DAY SONG CHALLENGE』のDAY1は明日以降ということで……。

誕生日だったので円柱状のお菓子でストーンヘンジを作った。はぴば私。

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