回答 2021年7月26日の日記

気が向いたので質問箱で質問を募集するやつをしました。多くのご質問ありがとうございます。以下、質問とそれに対する回答です。

【明日の運勢を占ってください】

マジ超ベリベリ最高ハッピー吉。なにをやってもやりながら自分でもびっくりするくらい上手くいきます。上手くいきすぎて逆に不安になってくるかと思うのでアンラッキーアイテムを提示しておきます。今この文章を読んでいるデバイスです。脚力を鍛えるといいことがあるかも。運勢を私に聞くな。


【一番好きな小説はなんですか?】

一番となると難しいですね。四年ほど前から小説を読み始めたのですが、一番はじめに手に取ったネヴィル・シュート『渚にて』(東京創元社)は今でも印象深いし、影響されているように思います。

ちょうど一年ほど前に伊藤計劃の『ハーモニー』で読書会を開いてSFって面白いなに至ったので、そういう意味でも『ハーモニー』は大好きです。そういう人、めちゃくちゃいるので面白くない回答かと思いますがご容赦ください。その流れで読んだ円城塔の『オブ・ザ・ベースボール』、草野原々の『大絶滅恐竜タイムウォーズ』も最高に好きです。より物語の構造みたいなところに意識的になったきっかけだと思います。

短編で言えば朝比奈あすかの『初恋』が好きです。百合やシスターフッドと呼ばれる小説で初めて触れたのがこれだったからということもあるのですが、描かれている人間のアンバランスな危うさみたいなところに今でも強く惹かれます。近いところにある小説として柚木麻子の『本屋さんのダイアナ』も好きです。

最近読んだものですと波木銅の『万事快調(オールグリーンズ)』や上田岳弘の『ニムロッド』、宮木あや子の『雨の塔』、宮内悠介『盤上の夜』、千早茜『あとかた』、SFマガジン2021年6月号「異常論文特集」収録の鈴木一平+山本浩貴(いぬのせなか座)『無断と土』、円城塔『バナナ剥きには最適の日々』収録の散文「equal」あたりが大変好みでした。

すっかり書き忘れていましたが、私自身が書いたものも好きです。いっぱい読みたいのでいっぱい書かなければならない。

好き放題好きなものを語り散らしてしまいましたが、むしろおすすめの本を教えてほしいです。床が抜けるんじゃないかと思うくらい積んでいるので、すぐには読めないかと思いますが。


【最近見た映画で面白いのあったら教えてください!】

普段あまり映画を見ず、年に多くて10作ほどなのであまり面白い回答はできないかと思います。申し訳ない。最近ですと『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』は二回見ました。TVシリーズも好んで見ていたのですが、劇場版は初見では消化しきれなかったですね。小説の創作論としてよく「説明ではなく描写をしなさい」と語られているのを見ますが、私はあれをあまり信用していなくて、正確には「表現したいことに対して適した手法を取ったほうがいいよ。多くの場合、状況を説明するだけだと不足しているからさ」なんだと思う。劇ァはそういう意味で非常に挑戦的なことをやっていて、表現したいこと(おそらくは「既に舞台に立っていること」「そこから先に進まなければならないこと」など)を見せるために、最小限のシンプルな説明だけを用意して、あとは圧倒的な描写だけを行ったというのが非常に面白かった。構造と表現したいことの主従関係に映像的な手法で一石を投じた作品と言えるんじゃないかな。最高。もう一回くらい見にいきたい。

あとは少し前だけど『名探偵ピカチュウ』も見ました。映像が最高にかわいいというのは勿論なのですが、ポケモンという存在を実写にしているのはどういうロジックかというのがメタ的な手法ではなくきちんと映像世界の中で説明されていたのが面白かった。というのも、終盤(だったはず)に登場するポスターや気球に描かれたキャラクターとしてのポケモンというのが、普段私たち視聴者が現実世界で目にするイラストのポケモンになっているのだ。つまり、ポケモンという生き物が実際に存在していて、それをキャラクター化したものを普段私たちは見ているけれど、実写の世界ではそのポケモンという生き物自体を映しているんだよという、ポケモンのイデアのようなやり方で「実写」を処理しているのだ。こういう細やかさが全編通して施されているので、ポケモンたちが生き生きとして見えるのだと思う。

映画、もっと見たいなとは思っているのですがなかなか家でタブレット端末やらで見ていると集中が続かないんですよね。映画館に通わなければならない。


【今専門にしていること以外ならお金を出してあげる、もう一度大学に入り直して研究していいよ、と言われたら、何を研究したいですか?】

私の専門は生き物なのでそれ以外でということですね。今の純粋な興味としては認知言語学や生成文法などの言語学や、現代の文学理論、分析哲学や分析美学、理系だとコンピュータサイエンス、統計学などが考えられますが、どうせイチから勉強できるのであれば完全に門外漢の学問を触りたくもありますね。

音楽や美術が好きなのに全くそちら方面への体系的な教養がないので、歴史やら技法やらを織り交ぜて一つの大きな流れとして勉強してみたいですね。こういう学問について、主観が極力排された定説が書かれた入門書を探す方法がよくわからなくてなかなか手が付けられていないというのも大きいですし。あとは博物館学なんかも面白そうですよね。書き物に直接役立てられそうということから薬学なんかも楽しそう。ここまでくると完全にイメージでしかないですが、夢が膨らみますね。


【好きな小説について語ってください】

上でかなりたくさん作品名を並べてしまいましたが、共通点としては構造的な面白さや、語り、カメラワーク、何を書かないかなどの技法がその小説の主張に強く結びついているものだということが挙げられるのだと思います。

音楽で言うマスロックや、自由律俳句のように表現対象のためにオーダーメイドで「型」を作るという発想が非常に好きで、そういう意味でもその作品がなぜその形態をとっているのかということに自覚的な作品に(小説に限った話ではないですが)興味があります。分かりやすい例で言えば叙述トリックなんかもそうですね。叙述トリックがなぜその書き方を選んでいたのかがテーマに漸近するような形で氷解するものは特に好きです。内容や文章の巧拙も勿論目に入るけれど、結局のところその作品全体がどのような形をしているのかが気になってしまうかな。


【ペット飼うなら何飼いたいですか!?!!!!!?????】

でっっっっっっっかいいぬ!!!!!!!!!!!!!!!!!

現実的には意思疎通ができない生き物はいい距離感を保てそうでいいなと思っています。クラゲとか、カブトエビとか。動物でなく植物もいいなと思っているのですが、専門が専門なのであまり家でまで育てたくないというのもある。家庭だと機材の見劣りがすごい。水草や苔なんかだとちょっと普段と違うので良いかもしれない。スギゴケとか好きです。


【初心者におすすめの豆乳はありますか?】

キッコーマンから出ている抹茶と白桃がぶっちぎりでおすすめです。キッコーマンの豆乳は大きく分けて二種類の方向性に美味しさの指針を取っているのだと私は勝手に分析していまして、抹茶と白桃はその一つの極に位置する傑作だと思っています。

豆乳としての特性を生かすことで美味しさの極を目指しているのが抹茶や白桃で、抹茶については大豆(きな粉)の香ばしさと抹茶の深みが混ざることで和スイーツとして上手く成立させているし、白桃については豆乳のそのとろみを桃果汁のとろみに転換させ、舌に濃厚な甘みを絡みつかせることに成功している。なぜその味を豆乳でやる必要があったのか、という楽しみ方ができる2フレーバーなので、初心者にもおすすめです。

反対にこの味を豆乳でやってしまうのかと驚けるフレーバーもある。バニラアイスや今は生産されていないようだけどマンゴーラッシーなんかはその代表だと思う。個人的には黒ごまが好きなのだけど、これはかなり好みが分かれると思う。ざらざらとした舌触りに、鼻を抜けていく濃厚な黒ごまの甘ったるいようで清涼感もある香りというのは他の飲み物では味わうことのできない唯一無二のものだ。

キッコーマンの豆乳は毎年春と秋に新作が出るので「今年の新作はどうかな」と手に取るのも楽しい。ほぼスタバ。今年の夏はすいかとココナツマンゴーが出ているのだけど、どちらも美味しかったので売っているうちにぜひ。すいか味はかなり繊細な味になっているので、他の食べ物や飲み物を摂取する前に飲むことをおすすめします。キッコーマンから豆乳アンバサダーに選ばれたい。マジで頼む。キッコーマンさ~~~ん!!私に豆乳を勧めさせてくれ~~~!!!

多くのご質問ありがとうございました。気が済んだのでしばらく質問箱は開けないかと思います。なにかご質問やお話があればDMを開けておりますのでそちらまで直接ご連絡いただければ。空リプもできる限り見ています。

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