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No.568 「体、委ねてしまえ」と川が言う

山とか川とか好きな、フリーライターのaoikaraです。緑はいいな。

noteでとある場所の美しい川の写真を載せている人がいて、「うわ、きれいだなぁ」なんて眺めていたら、ふと昔の記憶が蘇ってきた。

私がまだ社交的だった頃、というか人生マックスでコミュ力お化けだった頃、小学生時代の子どもの頃、思春期にもならない子どもの頃。

夏休みに、違う学校の知らない子たちと一緒にキャンプへ行く、という催しがあった。毎年行って、知らない子たちとちゃんと友達になり、キャンプを心から楽しんでいた。

今の私はといえば、虫も苦手、草木で肌がかぶれる、日焼けに弱い、人が多いところが苦手…キャンプオールキル状態。当時の自分と今の自分が同じとか信じられないくらい。蝉の羽化みたいに、“社交性”を脱ぎ捨ててしまったんだろうか。

たぶん、もうあの頃みたいにアクティブになることはないんだろうな、と思いながらも、「でもまたしてみたいな」と思い出したことがあった。それは、川に身を委ねること。


いくらキャンプだからといって、アクティブな私だったとはいえ、極力濡れるのは避けたかった。着替えるの面倒だし。きれいな川が目の前にあっても、それは「きれい」とまったり眺めるのであって、入ろうとは思わない。

でも、みんな川に入って楽しそうに遊んでいる。そうなると、自分だけが楽しめないのは、少しもったいない気がする。

試しにちゃぷんと片足を入れてみて、おや。ちゃぷんと、もう片方の足も入れて、おやおや。それでも恐る恐る。思い切ってざぶん、と全身川の中に入ると、すーっと涼しくなって、濡れるとかもうどうでもいいなって思っちゃう。

もちろんライフジャケットを着てね、でも服を着たまま、川の中に入る。ライフジャケットを着るから、浮力があるのね。そしたら川が言う、「身を委ねてしまえ」って。

仰向けになるように両手を広げて、足をまっすぐ伸ばしたら、体がぷかーっと浮かぶ。川に身を委ねてしまったら、川と自分が一体になったみたい。ただただ、気持ちいい。

ジャンプして川に飛び込むアクティブな遊び方も子供ながらには楽しかったけど、なんかぼんやりと、ぷかーっと、ただ川に身を委ねてみたいと大人になった今は思う。

暑くなったからかな。川に入ると涼しいんだよね。涼しさを求めているのかな。

こうやって詳細を書いたつもりだけど、なんとなくの記憶で、はっきりくっきりとはしてない。思い出しながら、補完しながら書いた感じ。ノンフィクションのつもりが、フィクションかも。

いろんなことが落ち着いたらね、穏やかな小川に行ってみようかな。もちろん安全には気をつけながらね。そしたら、また、川の声が聞こえるかもしれない。

2020年7月9日(木)

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