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スナックの変化を考える

「スナック」とは

業種としての「スナック」は、その名の通り「軽食を提供するバー」を指す。
店員と客、客同士がお酒を飲みながら会話をすることが主な内容で、風営法で0時以降の営業は禁止されている。

一方で、(これは個人的な解釈だけれど)「スナック的な店」は業種の枠を超えて存在している。
風俗営業に当たらないかたちで0時以降も営業するバーや小料理屋。これらも、飲食物の提供に加え会話を含む接客サービスが価値を生んでいるのだ。


新しい条例や特別措置法の下での変化

4月から施行された受動喫煙防止条例では、飲食店には禁煙または分煙が求められている。しかし、限られた空間で営業するスナックでは、喫煙室をつくることは難しい。喫煙可能な店とするにはどうしたらよいか。喫煙目的の「たばこ販売店(主食の提供は不可)」になる他に道はない。

重ねて、現在はウイルス感染拡大防止対策として、接待を伴う飲食店の営業自粛が求められている。この自粛要請は、他の業種や接待を伴わない飲食店と比べても、おそらく長く続くだろう。
このような状況下で、喫茶として昼間に短時間の営業を行っている店もある。
馴染みのママがいて会話があって一息つける、その価値が求められているのだろう。スナックの役割は単に「夜遅くにお酒を飲める店」に限らないのだ。


オンラインでできること

実際に人と人が会うことが困難な状況で、できることはあるだろうか。
オンライン会議システムを使えば、お酒を片手に会話をすることは可能だ。
アプリなどでファンと交流するアイドルのライブ配信では、投げ銭の仕組みも用意されている。キャバクラ嬢がこの仕組みをうまく使ったら、それなりに稼ぐことができそうだ。
ライブ配信へのアクセスは今のスナックの客層では難しい。それでも、1970年代の社交場であったカフェバーが客層の高齢化とともにスナックへ進化したという経緯になぞらえるなら、今後ライブ配信における「アイドル」が「ママ」へと成長していくことは十分に考えられる。

「スナック的な店」は在り続ける

社会の変化は、概念を変えていく。表現を多様にしていく。
人と会話をすること、お酒を飲むこと、歌を歌うことなどのコミュニケーションは人間の根源的な欲求だ。わたしたちはきっとこれからもその欲求を持ち続ける。
それならば、「スナック的な店」はそのかたちを変えながらも、誰かのために在り続けるのだ。

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