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スナック青一 ドーナツモーニングブッククラブ_第13回 『13歳からのアート思考』(2020/04/27)

外資系広告会社マッキャンエリクソンのプランニング部が運営する「スナック青一」は、月1回朝も開店し、「読書会」を開催しています。

その名も「スナック青一 ドーナツモーニングブッククラブ」。頭がすっきりクリアな朝の時間帯に、本を肴にプランナー同士がディスカッションし、刺激を交換し合うイベントです。

毎月、指名されたプランナーが気になっている本を1冊紹介し、その場ではおいしいドーナツやパンも振舞われます。(2月下旬からは、コロナウイルス感染症の影響で、完全にTeams上でのリモート開催をしています。)

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第13回 :『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』

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第13回目は、マッキャンエリクソンの戦略プランナー、脇田さんが担当し、話題となっている末永幸歩さんの『13歳からのアート思考』を取り上げてくれました。

タイトルにある「13歳」という年齢については、脇田さん曰く、対象年齢ではないとのこと。美術教師でもある著者の末永さんは、小学校では人気科目だった図工が、中学校にあがる「13歳前後」のタイミングで美術になった途端に苦手意識が芽生え、「最も人気をなくす教科」のひとつになるという問題を発見しました。

また、アート思考はもともとは誰にでも備わっているのに、大人になるにつれて失われていくので、「13歳以降はしっかりと思い出していかないといけない思考のプロセス」という意味合いがあるのではないかと解説してくれました。

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今回のドーナツモーニングブッククラブは、Teams上での開催としては早くも第3回目を迎えます!脇田さんが本書で紹介されているワークを用意してくださり、チャット機能をメモとして活用しながら取り組みました。

「美術館にいると思って、次の絵を鑑賞してください」

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(まずは、こちらの絵画を参加者全員でバーチャル鑑賞。)

30秒を過ぎたところで、脇田さんから、「絵を見てから、解説を読むという確認のために目を動かされた方が多くいたのではないでしょうか」という問いかけがありました。確かに、私も確認作業に多くの時間を取られてしまいました。

脇田さん:実は、この絵の中に4歳の男の子だけが見つけれたものがあったそうです。男の子は、「カエルがいる」と言ったそうですが、見つけられた方、いらっしゃいますか?

でも、≪睡蓮≫の中にはカエルは描かれていないので、「どういうことだろう?」と不思議に思っていると、

脇田さん:その男の子の答えは「今、水にもぐっている」そうで、絵として描いてあるというよりかは、頭の中でそう見えたということですね。

この「カエルを見つける能力」こそが、「自分だけのものの見方・考え方」であり、これこそが「アート思考」だと説明してもらい、納得しました。

「アート思考」とは何か

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続けて、より具体的に「アート思考」の定義についてもご紹介いただきました。著者はアートを植物に例え、3つに分解して説明をしています。

①表現の花 ー 美術館などで目にする作品そのもの
②興味のタネ  ー その作品の作家の方の興味・関心・疑問(アート活動の源)
③ 探求の根 ー 作品が生み出させるまでの探求の過程

普段、目にする部分としては①「表現の花」が多いですが、その裏には②「興味のタネ」と③「探求の根」が存在している。特に③「探求の根」が時間・空間のどちらにおいてもアートの中でも大きな割合を占めており、「自分の内側にある興味をもとに自分のものの見方で世界を捉え、自分なりの探求をし続けること」を「アート思考」と定義されているそうです。

興味のタネから「アート思考」を育てる

その後も「すばらしい作品とはどんなものか」や「リアルさってなんだ」など考えさせながらも、楽しいワークがいくつも続き、Teams上でも様々な視点からの回答が飛び交っていました。

最後には、最近のコロナウイルス感染症の影響で始まった美術館や展示会のオンライン化の動きや「画面」を通した会議に参加する日々から生まれたという「興味のタネ」を脇田さんがシェアしてくれました。

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脇田さん:会議とかもこのようにバーチャルで行われていますが、私にはまだまだ違和感があります。「画面」に意識がいってしまい、あくまで「画面」を通してそのものを見ている感覚で、なんでも見ています。多分、この卒業展示会を見ても、やっぱり生で見るのとは違うなあと思ってしまうと思います。

でも、今見ているこの「画面」も、窓でいう「枠」や「ガラス」、絵画でいう「紙」のように私たちの意識の中に溶け込んでしまう、背景として意識しなくる日がもしかすると来るかもしれない。「画面」というものを意識せずに、「画面」の中にある「アート」をただ「アート」として見れるのかもしれない。

「いや、やっぱり生で見ないとだめだよ」と、無意識に抵抗しようとする人たちと、「画面」を当たり前としてつくられるアートの間で、化学反応が起きるんじゃないかと思います。

気づきと学び

今回は、盛りだくさんのワークと脇田さんからの問いかけを通して、ハッとさせられる場面が何度もありました。忙しい日々のなかでついつい「興味のタネ」を放置してしまったり、「探求の根」を投げだしたりしてしまいがちですが、今後より一層ひとつだけの正解がない世の中で生きていくためには、アート思考を鍛えて、自ら答えをつくる力をつけなければいけないと感じさせられました。

下記は、発表を担当された脇田さんのコメントです。

世の中の流れや、人の考えを読み取ることに注力しすぎていて、自分の興味のタネを忘れていたかもしれないと気づかされる一冊でした。プレゼン中にチャットを使ってみなさんにワークをしていただきましたが、想像を超える回答の多様さで、まさに「自分だけの答え」が見つかっていく瞬間を見ることができたと思います。アートに興味がある方、逆に「美術館に行くとどう鑑賞したら良いかわからなくて困る」という方にもおすすめです。私は後者でしたが、今はすぐにでも美術館に行きたい気持ちです。

(おわり/MR)