天然O先輩の事件簿

前回からの振り返り

佐藤葵が在籍している全員キャラが濃いデイサービスではとある事件が発生していた。

またあなたですか……

こめかみを抑えて葵は再び事件の回収に向かう。果たして私の腹筋は天然O先輩に立ち向かって勝てるのだろうか？

第一話　プチプラ服を高級に見せる

　
O先輩はただの天然ではない。御年還暦間近というのに、実に「美魔女」という表現が適切だと思う。身長１５２センチ、体重はちょっとやせ気味。
お尻は我が軍団にいる難聴のピアニストＳ先輩が大絶賛する程のほどよい形状と小ささを誇っている。
笑顔でオッサンを殺せる破壊力を持っており、このほんわか笑顔でノックアウトされたじいちゃんは数知れず。一時期入浴介助でじいちゃんに襲われそうになったので私が止めた。

朝着替えた後に偶然裏口からO先輩が入ってきた。黒いノースリーブのワンピースに、同系色のサンダル。麦わら帽子まで被って気分はリゾートですか。超可愛いんですけど（萌え）

「Oさんおはようございます。その服可愛いですね」

「ありがとう！　これ、１２５０円で買ったの💖安かったからもう一着と違う色のも２個買っちゃった」

確認したいのは値段と個数だ。この可愛いお人形さんのような外見を１２５０円で作れるのか……（愕然）
そして黒、もう一着はいらなくないですか？黙って違う色３個にすりゃいいのに、ここが可愛い。

第二話　スペル、間違ってますよ

O先輩はデイサービスで月頭にお客様が塗るカレンダーを配布している。ネットでフリー画像を印刷して、カレンダー部分を下にぺたりして、A４サイズで作っている。
先月から「専属絵師」に目覚めたO先輩はネットで模索するよりもかわいい絵本のようなテイストの絵をかいていた。
元々絵が好きな先輩で、ぶっちゃけ普通に売れそうなくらい可愛い絵を描く。本人は自己肯定感が低いので「全然無理だよぅ・・」と言って高みを目指すことはない。何かきっかけがあればここで紹介させていただこうかなと思っている（勿論、このO先輩に関する記事はご本人から全て了承済）

「今月は兎さんと月か～可愛いねえ」

満月と２匹の兎さんがこっちをみて笑っている何ともファンシーな絵だ。
右上に『９月』とあり、下には英語で「Septeｎber」

ん？まてよ。何か引っかかる。

英語２のわたしでも気づいたぞ、間違い探しですかこれは？

「９月って、Septemberですよね？」
「ｎになってる。どうしようかこれ」

明日からカレンダー色塗りが開始される。担当のスタッフは不在。私と後輩Ｆちゃんは悩んだ末、絵の上にあるｎをひたすらｍに工作した。

ばれませんでした。

第三話　チョコが食べたい

休憩が一緒になると、Ｏ先輩はやたらおやつを食べたがる。本人は太らない体質なので困らないが、私と後輩Ｆちゃんはその有難い配給を受けるとみるみる大きく成長してしまう。
入社した時は細くてかわいかったＦちゃんが何とこの職場で５キロも太らされたらしい。衝撃だが、もっと衝撃なのは年々大きくなっていく元ヤンっぽい姉御ことＮ先輩だ。
彼女は「今マックス体重やばいよー」と毎年ぼやき、健康診断の一か月前から５～８キロというアスリートばりの減量をする。
その後しっかりリバウンドするのだが、Ｏ先輩はこんな努力皆無で常に痩せている。食べても太らない人が羨ましい橋本病のわたしが通ります。

今日もハッピーターンという麻薬を配給してきた。わたしはピザポテトの誘惑に打ち勝ち、現在もポテチ断ちをしている。なので、スナック菓子には手をつけていない。だが残念な事に体重は落ちない。何故に！！！

「ハッピーターン美味しい～いくらでも食べられる」

実に先輩は先ほど隣にあるスーパーで購入してきたハッピーターンを半分程食していた。それでも太らないのは多分、お弁当が小さいからだろう。
食べ終わった後、捨てられた子犬のような顔になっている。

「どうしたんですか？」

「チョコが食べたい」

えええええ……
そんな、あれだけしょっぱいもの食べたからでしょ……（困惑）
可愛い先輩のお願いを叶えてあげたいんですが、わたしはこの時推しのnoterさんの記事をマスクの下でゲヘゲヘ読んでいたので申し訳ないが無理。

「あ、休憩時間あと１０分しかない（絶望」

おもむろに冷蔵庫を開ける先輩。

「今日ねー、賞味期限切れてる色々なやつ捨てようかと思ってるのよ、だってごちゃごちゃだしさ」

「そうですね、確かに日によって何も入れられませんしね」

なんか、Ｏ先輩冷蔵庫開けたままゴソゴソしてない？
戻ってきたときは幸せそうな笑顔。

「冷蔵庫にさ、チョコレートシロップがあったんだけど、指につけて舐めてきちゃった（テヘペロ）」

子供かい！

多分、ヘルパーさんは忙しいから血糖値が下がるんですよね。だからきっと甘いものが欲しかったんだ。うん。
わたしも以前は業務スーパーにいつも行って翌日にチョコ配給してましたが、現在それどころじゃないので最近は配給してません。コロナもまた流行っているので、やっぱり自分の食べ物は自分で、の方がいいじゃないですか。あいつが持ってきたもので感染したかも？とか思われたくないし。

とりあえず３話編成で２０００文字になったのでもうやめます。
多分、Ｏ先輩のお話は本４冊分くらいのネタになりそうなので、今後も小出しにさせて頂きます。わたしのメモとして。

おわりに

「Ｏ先輩、まじで天然ですよね。本当にそういうの可愛いから羨ましい」

「私さ、それが本当に嫌で、一回ＯＯ（唐突に出てきた先輩の旦那名前）に相談したことあるの。『ＯＯ、私ってどうしてこうなんだろうね…』って」

一言言っていいですか。

相談する事がもはや天然だと思うのはわたしだけでしょうか。

因みに、わたしは天然とは真逆な「腹黒」なので、ごく一部の人にしか好かれません。お客さんもそうですし( ´艸｀)💙
腹黒だけど、いつか天然さんになってみたいな～と思うことが腹黒なんでしょうか。ブラックコーヒーばかり飲んでいるので、きっと胃も腸もまっくろくろです。