恋の障害

例えば学校で。クラス内恋愛だとか、部内恋愛だとか、そういうのっていろいろと面倒なことが起きる。例えば会社で。社内恋愛、オフィスラブ、だとか。そういうのも周りに疎まれがちだ。もしかしたら家庭内恋愛だとか。そんなのだってあるかもしれない。あぁ、内部で行われる恋愛は何かと障害がつきものなんだな。じゃあ外部の恋愛は………?家庭外恋愛。ダメだ、不倫の匂いがする。県外恋愛。遠距離だ。辛いだろうなあ。社外恋愛。距離を縮めるのが、大変そう。クラス外恋愛、部活外恋愛、学校外恋愛?外部での恋愛ってまず知り合うのが難しいんじゃないだろうか?そこから距離を縮めるなんて余計に難しい。あーあ、恋愛って、全部、難しい。なんか私のしてる恋愛も、ほかのものと同じように難しくて、障壁があって。そんなに私の恋だけが特別なわけじゃないんだなあ。だって、エッフェル塔に恋してる人だっているし。イルカに首ったけの人だっていたはずだ。象と恋愛なんてなんか素敵かも。象ってすごく優しそう。……うん、月が好きな人だってもしかしたらいるのかもしれない。ううん、きっといる。昔から月はすごく神秘的なもので、不思議で、人間を魅力してきたもの。ちょっと、悔しいな。

私は月を見てるけれど、月は私のことなんて認識してないのかも。そしたら私たちはまだ知り合いですらないや。それにすごくすごく遠いところにいる。とんでもない遠距離だ。県外どころの話じゃない。もしかしたら、一生かけても会えないかもしれない。

ねぇ、月に恋なんて突拍子もない話だと思う?これはただの詩的な、創作のお話だと思う?あなたは恋をしたことがあるかな。相手は誰だっていい。人間だって、オスだってメスだって、建物だって、なんだって。恋焦がれる気持ちを、身体中の血が沸き立つ瞬間を、目の前を覆い尽くすきらめきを、経験したことがあるかな。触れたいと思う気持ち、会いたいと思う気持ち、話したいと思う気持ち。私だってあるよ。相手はたまたま月だったけれど、この気持ちだけは普通のものと変わらないよ。相手が変わっても気持ちは変わらない。少しだけでも恋心が小さくなってくれれば楽なのに。せめてあなたが私を知ってくれればいいのに。

#短編小説 #小説 #月 #恋

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