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種を植えた話

COVID-19が蔓延し始めた頃、東京のスーパーから野菜が消えた。野菜だけじゃなくて、色々、消えた。

職場で賄いが出るので、最悪生き延びることができるだろうとそこまで焦らなかったけれど、何かしら対策を取る必要がある思った。
コレは、序章に過ぎない。いつ収まるのか、そもそも収まるかすら分からない。輸出入が途絶えるかも、物価が上がるかも、仕事を失うかも、物流はこのままなのか?このタイミングで地震が来たら?

色々なことを想像した時に、自分で作るのが1番だと思った。味噌と梅干しは田舎のグランマが毎年仕込んでいるので大丈夫。米も、友人から購入できるはず。必要なのは野菜だ。
簡単な家庭菜園でも、きっと助けになるはずだと思い、固定種の種とプランターを購入して色々植えた。
ハーブを数種類と、ミニトマト、茄子、カブ、小松菜、ネギ、ミックスリーフ。

それからすぐに自粛となり、日々の水やりの時間は癒しの時間となった。白湯か、珈琲か、ホットティーを片手に我が子を愛でる(眺める)だけのひと時に、今思えばすごく救われていた。

小松菜は種を植えてから芽が出るまでが早いとか、ミニトマトは水をあげすぎてはいけない(でも乾燥させてもいけない)とか、茄子の一番果は小さいうちに収穫しなければいけなったのか〜とか、を今さらながら知った。

3月末に植えたトマトは未だ収穫出来ていないけど、それ以外はひととおり収穫できた。

先週、冷蔵庫・冷凍庫のものをほぼ使い切るまで何も買わないことにした。日々食材が減るので作れるものが限られてくる。レシピを見て作る料理ではなくて、あるもので作る料理。それが自分で育てた野菜というのは気持ちがいい。同じ素材だけど違う料理を作ろうと頭を働かせるのもいいし、冷蔵庫スッカラカンだわと思ってもプランターにはすこしの野菜とハーブがある。何かしら作れる。
バジルが育ちすぎてるから使いたいな、パセリと小松菜もよく育っている、よし、パスタにしよう。とか、パクチーとカブとネギで何かできないかな、フォーにしてみよう。とか、そんな感じ。

地元にいるときも多少は育てていたけど、今の方が毎日欠かさず様子を見ている分、何かが違う気がする。土や野菜たちと対話をしているような感じもする。

この3ヶ月、特に何かを成し遂げたとか、次へのプランを練ったとかはまったく無かったけど、これは良い気づきだと思う。
都会で、庭や畑がなくてもそれなりにできることが分かったのも大きい。

今はコンポストにも挑戦したくて、野菜の傷んでいる部分を捨てずに冷蔵庫に保管中。小庭のほんのちいさなスペースに混ぜて、土を育ててみたい。

「土を育てる」なんて、考えたことがなかった。実際、過去にチャンスはあったけど、その時はまだ、自分のものに出来なかった。

将来は、ちいさな畑と庭でできるだけ自分で育てて収穫する暮らしがしたい。半農半Xじゃ足りないから半農半XXで、畑と料理と映像。結局は、ここに帰ってくるんだな、ということを今改めて思った。


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