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ハマダイコンとダイコンとジャコウアゲハ

兵庫県浜坂の海岸で、ハマヒルガオに混ざって花が咲いていたのは、
姿は菜の花系(アブラナ科)。見た範囲ではこの一株だけ。
白っぽいムラサキハナナ?と思ったけれど、
ハマダイコン」という植物があったのだった。確かにダイコンだ!!
十字型の4弁花で、色は濃淡のある淡赤紫色、まれに白色、花弁には紫色の線が入る。
下の方は細長いサヤ状の果実になっている。
果実は上向きで、ぷっくり膨れて大きくなっているのもある。
ダイコンの特徴として、果実は数珠上にくびれ、熟しても裂けず、
くびれ毎に1個ずつ、計4個前後の大きな種子が入っているのだそう。
ムラサキハナナ(オオアラセイトウ)は花期は3~5月で、
果実は10cm前後の細長い線形で角ばっていて、熟すと裂け、多数の種子が入っているとのこと。
触らなかったけれど、葉は表も裏も粗い毛が生えているそう。
ムラサキハナナは茎も葉も無毛。
根は直径2cmほどで地中に深く伸び、野菜のダイコンのように太くはならない。
これは、4月下旬に、うちの近所の畑で花が咲いていた野菜のダイコン。
地上部は「ハマダイコン」も野菜のダイコンもそっくり。
この畑は、後ろがダイコンで、手前がエンドウマメ。
花の下の方には、果実がでたくさんきていた。
タネを採るために収穫せず花を咲かせていたものだと思う。
この時は、ダイコンの花にモンシロチョウ、アゲハチョウ、シジミチョウが10頭以上いて
しばらく見とれてしまうほどにひらひら飛び回っていた。
このアゲハチョウは、黒い翅で、翅の下の尾状突起が長く、オレンジ色の模様がある。
調べると、オナガアゲハか、ジャコウアゲハか?
身体にもオレンジ色の模様があったので、ジャコウアゲハのオスみたいだ。

ハマダイコン」は日本全国の海岸の砂浜や河口の砂地などに生えるということだけど、琵琶湖の湖畔にも群生地があることを今回初めて知った。見頃は4月中旬~5月上旬と。写真を見ると菜の花畑の淡紫色バージョンでとてもきれいだ。機会があれば見てみたい。
ハマダイコン」は、Wikipediaによると、
「日本には、もともと外来で入ってきた植物とされる。多くの植物図鑑などでは、かつて栽培されたダイコンが古い時代に野生化したものとする説が主流であるが、これに疑問を持つ研究者もおり、遺伝子を調べた研究ではダイコンとは別系統の種類であるとする報告もある。」
「栽培種が野生化した種と考えられていたが、遺伝的研究では日本の栽培種とは差が大きく、栽培種とは全く別の系統に属す可能性が高い。比較検討の結果としては、古い時代にもともとの原産地である地中海沿岸から中国を経由して人間の移動と共に入ってきた野生ダイコンが起源であるとする説が唱えられている。」
とあって、栽培種の野菜のダイコンとは全く別系統の、古い起源をもつダイコンである可能性が高いというのがとても面白いなあと思う。
野菜のダイコンよりも葉や根は硬く、強い辛味と香りがあって、1 ~3月頃の花茎が伸びる前の若苗と若い根を食用にすることができるそう。

ハマダイコン(浜大根、学名: Raphanus sativus var. hortensis f. raphanistroides)
アブラナ科ダイコン属の越年草(多年草とする文献もあると)。
花期は3~6月。
別名、ホソダイコン、ノダイコン、イソダイコン

ジャコウアゲハ(麝香鳳蝶、麝香揚羽、学名:Atrophaneura alcinousまたはByasa alcinous)
雄の成虫が麝香のような匂いを発することから「ジャコウアゲハ」の名前とのこと。
雄の翅色は光沢のある黒色だけど、雌は明るい褐色。
幼虫は黒く、突起があり、終齢になっても黒いままで、ウマノスズクサ類(毒草)を食草にする。
体に、ウマノスズクサ類に由来する毒を蓄積し、一生毒を持つので、ジャコウアゲハを食べた捕食者は中毒を起こしてほとんど吐き出してしまい、その後ジャコウアゲハを捕食しなくなるのだそう。
なので、ジャコウアゲハ類に擬態して身を守る昆虫が複数存在し、よく似た姿のクロアゲハやオナガアゲハ、ガに分類されるアゲハモドキはこのジャコウアゲハに擬態しているとされているそう。
ウマノスズクサ類が成育する河原や荒れ地、畑の生け垣近くで見られることが多い。<今回ジャコウアゲハを見たダイコン畑は川沿いだった>

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