もうひとつのカイトの行方

今日は雨の一日で、半袖は寒くて困っていた青鳥(あおどり)なのです。
今日はおうち籠りの一日、なのです。

空はずっと灰色、けれども時々薄く日差しを感じられる瞬間があったり、安定しないお天気なのです。

そんな空を見ていると、先日白昼の月の下を風に乗るカイトを思い出すのです。
あのときは、本当に快晴で、青い空がきれいだったのです。
そして、思い出すもうひとつのカイト。

きっと子供が遊んで狭い道路で遊んでいたのだと思われるのです。
場所は古い民家がぎゅうぎゅうに立ち並ぶ生息地域の一画、なのです。
それには地上から見上げても分からなかったと思うのです。
見つけることが出来たのは、河川敷の土手を歩いていたから。
大抵の民家は、この土手より屋根が高いことはないのです。
なので、民家の屋根を見下ろしながら川を左に民家の屋根を右に見ていたのです。

土手のすぐ側の一軒の民家の屋根に違和感があったのです。
はて、なんだろう? と良く見ると、テレビのアンテナに、何かが絡み付いている。
もう数歩前進して見ると、はっきり確認できたのです。
派手な模様のカイトがアンテナに巻き付いている、ということを。

この辺の路地は細くて要り組んでいるし、風を捕まえるのも難しそう。
子供が走って風を捕らえる、にしても、そんなコントロールが効きそうな距離を稼げるわけでもなし。
きっと途中で力尽きたか、風に煽られて制御不能になりアンテナに巻き付いたか、というところかな、なんて。

誰も屋根に上がることなく、そのままのカイト。もしかしたら、この家の子供がしたことではない、としたなら、取りにもいけなかったのかも、なんて思うのです。

カイトが巻き付いているおうちの人が気がつくといいなあ、なんて他人事として通りすぎた青鳥、なのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?