見出し画像

Takram Workshop コンヴィヴィアル・テクノロジー「ちょうどいい道具とは?」

5/25(土)13:00~16:00に青葉山ガレージにてデザインエンジニアの緒方壽人さんをお招きして、「ちょうどいい道具とは何か?」について考えるワークショップが開催されました。

講演者である緒方壽人さんは東京大学工学部を卒業後、国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)、LEADING EDGE DESIGNを経て、ディレクターとしてTakramに参加されています。Takramは多くのプロジェクトを手掛けており、東北大発スタートアップispaceの月面探査ローバー「HAKUTO」の意匠コンセプト立案とスタイリングも行っている国内トップデザインファームです。

当日は学部・学年問わず約20人の学生が参加し、緒方さんによるご講演→グループワーク→質疑応答の順で行われました。

まず、緒方さんからのご講演では、緒方さんの最近の著書「コンヴィヴィアル・テクノロジー」の内容に関連して、テクノロジーの発展が加速していく中で"テクノロジーと社会・人間との関係性"がどのように変化してきたのか、そして、これから先どうあるべきか、"人間にとって「ちょうどいい」と感じるテクノロジーに求められる条件"についてお聞きしました。

その後のグループワークでは、参加者は4つのグループに分かれ、事前に考えてきた身の回りの「行き過ぎている」と感じる道具と「ちょうどいい」と感じる道具を紹介し合い、行き過ぎている道具がちょうどいい道具になるにはどのようにしたらいいかという解決策を考え、発表を行いました。

最後の質疑応答では、参加者から非常に積極的に質問が行われていました。また、他の人がした質問に関連して投げ掛かれる質問も多く、その場に参加したからこそ(?)の良い効果が生まれているなと感じました。

中の人的には、緒方さんのちょうどいいテクノロジーの条件の一つ「人がやめたいと思った時にやめられるもの」というのが印象に残っています。テクノロジーは"使ってなんぼ"なイメージが自分の中ではあったので、「”使わない”という選択肢がとれること」という観点が面白かったです。特に、参加者が行き過ぎていると感じるものに「SNS」が多く挙げられており、「やめたいと思った時にやめられない」という問題が顕在化している例だと感じました。テクノロジーを考える上で大切にしたい視点です🤔

また、グループワークにおいて緒方さんがおっしゃっていた「自転車的SNS」という言葉も印象的でした。これは「ちょうどいい道具がどうしてちょうどいいのかを抽象化して考え、それを行き過ぎている道具に当てはめて解決策を考える方法」の一例で、たとえば、自転車がちょうどいいので、それをちょうどいいと感じる要素をSNSになんとかして組み込むことができないかというものです。
よく言う新しいアイデアを創造する方法に「掛け算」というものがありますよね。掛け算と聞くと、どんどんいろんなものが足されていってより情報量の多いものに発展していくような様子を私は想像します。洗濯機と乾燥機が一体化してドラム式洗濯機ができあがるような感じ…?
ですが、この「自転車的SNS」という言葉からは、昨今のSNSのように情報量が多すぎて自分たちでの制御が難しいものを、自転車のようにシンプルかつ自分の力でスピードを調整できるようなものにするにはどうしたらいいのかという、いわゆる"引き算的発想"にも掛け算を利用できるよっていう気づきを与えてもらったような気がします。
日頃の研究生活・発想にも活かしていきたいです。

緒方さん、ご講演ありがとうございました🙌

緒方壽人さんの著書「コンヴィヴィアル・テクノロジー」:

(↑この本は青葉山ガレージや川内図書館にも蔵書されています👀)

著書に関連した緒方壽人さんのnote:


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?