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濡れたラブレター

ラブレターを出したことありますか?

自分の想いを恋する人に伝えるために、
一語一句をしっかりと選びながら、
何度も書き直し、読み返し、
それでも想いを十分に表現できていないもどかしさを感じながら、
封を閉じ、そして神に祈る想いで郵便ポストに投函する。

ほんの少し前まで青春時代のこのような一コマが、
どこにでもあったのに、
メールが普及した今では、
きっとラブレターの使われ方、送り方も違っているのだろう。

ラブレターを日本語にすれば「恋文」。
「恋文」のほうが、その響きにさらに深いものがあり、
想いの丈がさらに濃い文章でしたためられているようだ。

「懸想文」という言葉もある。
さらにこちらは「想いを懸ける文」そのもので、
自分の想いのすべてを託し手紙に、
この恋の運命を委ねているかのような響き。

さらに「艶文」ともなれば、
心のみならず自分の体まですべてを捧げたい、
という気持ちまでこめられているようで、
男に対する女の情念に、手紙そのものが濡れ、
あるいは熱くなっているかのように感じられる。

自分が男に抱かれたいことを、
切々と文にしたためる女の情念が。

ラブレター
恋文
懸想文
そして
艶文

あなたが想う人に手紙を今宵したためるなら、
その手紙はどの定義がふさわしいのだろう。

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